デイサービスの連絡帳は、スガ婆のその日の行動を書いてくれるので、できるだけ目を通している。
その日は、例のスタップ細胞の小保方春子が記者会見を開き、その放映がデイサービスのテレビでも流されていた。
そして、スガ婆はそれを見て「私も泣いてしまいそう」などと言った、と連絡帳に書かれていた。
それを書く必要が一体どこにあるのか、疑問に思うが・・・
おそらくスタッフはこう思ったのだろう。
「スガ子さんて何てやさしいんでしょう。私は感動してしまいました。だって認知症なのに、テレビを観て泣くんですよ。そんなの素敵すぎます」
あまい。あますぎる。
ということで、真相を解説するとしよう。
ほとんど芸能ニュース化した放送に、スガ婆はあまり興味を示さなかったが、やがて小保方春子が涙を流すと、体内スイッチが入った。
「かわいそう、かわいそうばい」
そう言うと、目をこすり悲しそうな顔をする。
内容を理解しなくとも泣くことができるスガ婆。
正確には泣いているというより、泣いている風にしているのである。もちろん涙などない。
「なんで泣くの?」とスタッフがきくと、
「この人が泣いているから」とスガ婆。
認知症とはこういうものらしい。いや、これが認知症の真実だ!(って何それ)
どんな理由があるにせよ、怒った相手は「怖い人」であり、泣いている人は「かわいそうな人」と識別される。
だから自分も泣くのが当然といった理由が成り立つ。(はい?)
泣く理由は一切関係ない。相手の気持ちなど、どうでもよく、何の価値もない。尿をため込んだ尿パッドのほうがまだましだ。
その証拠に、泣かない小保方春子にはまるで興味がなくなり、自分の紙パンツをまさぐりはじめる。
「バッ、なんきゃ、こりゃ?」
紙パンツの濡れたパッドに異様な反応をみせるスガ婆。
恐るべし認知症。自己中心主義の極み。
スタップ細胞で、なんとかしてください。
(ハイハイ)