そこで,自治体が空き家の流通・活用促進を後押しする意義としては,民間住宅ストックの有効活用と本市への移住定住につなげるという視点であり,それらを市全域で取り組む必要があり,質問を行いました。
 なお、テレビ等報道の影響なのか、「ニュータウンの空き家」がクローズアップされがちですが、春日井市においては、ニュータウン以外の市域の方が空き家率が高いことを併せて指摘しております。 (末永けい 本会議一般質問)
(戸建て住宅空き家率)

末永けい

(1)空き家の状況について

続いて,空き家の流通・活用には,弁護士や税理士,司法書士,不動産鑑定士,宅建協会などの士業団体や商工会議所との連携により,流通・活用が図られるよう,今後新たに効果的な取り組みを行うことが必要と考えますが,所見を伺います。

(3)空き家バンクについて

また,空き家バンクの現在の登録件数,成約件数,工事実績をお尋ねします。

(市の答弁)

(1)空き家の状況についてでございますが,総務省統計局が実施しました平成25年度住宅・土地統計調査結果によりますと,別荘や賃貸用・売却用住宅以外で人が住んでいない住宅は,市内に5,290戸で,住宅総数13万4,350戸に対し,占める空き家率は3.94%となっております。
 次に,近隣住民からの空き家に関する相談につきましては,平成29年度の件数は132件,内容は雑草の繁茂や家屋の破損などに関することでした。
 また,空き家所有者への不動産鑑定士による無料相談会につきましては,月1回開催しており,平成29年度の件数は21件,内容は資産の売却や相続などに関することでした。
(2)市の取り組みについてでございますが,
空き家に関する市全体の目標値につきましては,春日井市空き家等対策計画で定めておりません
 また,空き家の適正管理を啓発するために昨年度実施しました空き家調査の実績につきましては,市が144件,高蔵寺まちづくり株式会社が412件を調査し判明した空き家件数は,市が50件,高蔵寺まちづくり株式会社が118件でした。
 関係機関との連携につきましては,これまでも商工会議所を初め,弁護士や司法書士,宅地建物取引士など専門家を講師や相談員として招き,空き家管理セミナーを開催してまいりましたが,今後も空き家の流通や活用の促進につながる効果的な取り組みについて検討し,実施してまいります。

(3)空き家バンクにつきましては,春日井商工会議所が事務局となり,高蔵寺ニュータウン地区の空き家を対象としまして,売却等を希望する空き家所有者からの申し込みを受けた物件情報を無料で掲載し,リノベーション案を付加して住宅流通を促すサイトでございます。サイト上では,あらかじめ事務局に登録料3,000円を支払い登録した登録事業者が,リノベーション案の作成や購入希望者と不動産売買契約等の締結に携わることができます。登録事業者が不動産売買や工事施工契約等に至った場合,契約内容により1件当たり1万円から3万円の空き家バンク情報掲載料を事務局へ支払うことになっており,春日井商工会議所及びその会員の双方が利益を得る仕組みとなっております。
 現在の登録事業者の内訳は,不動産事業者15者,建築士6者,建設事業者16者となっております。また,空き家バンクの登録件数は,平成27年度1件,28年度1件,29年度1件の合計3件の登録がございましたが,これまでに空き家バンクを通じた成約及び工事に至った実績はございません。現在の登録件数は2件となっております

 

末永けい

 空き家所有者への不動産鑑定士による相談会は月1回とお聞きしておりますが,相談会以外で,ふだん空き家の所有者から市の窓口に相談や問い合わせがあった場合,どういう対応をしているのかお尋ねします。

(市の答弁)

 空き家所有者から市に相談があった場合,まずは内容を十分伺い,内容に応じて専門家の助言が必要な場合は,土地家屋調査士会や税理士会などを御案内しております。

 

末永けい

本市の空き家施策に関する目標値,KPI,成果指標の設定については,空き家対策の達成度合いや施策の効果を検証するためにも目標値を設定する必要があります。本市の民間住宅ストックの流通・活用という視点を強化する意味においても,都市計画マスタープランで設定すべきであると考えますが,市の所見をお尋ねいたします。

それから,先ほど市が行った  空き家  調査の実績についてお聞きしました。調査により確認された  空き家  件数は,市調査分が50件,高蔵寺まちづくり株式会社への委託分で118件とのことです。そこで,これらの  空き家  調査において判明した  空き家  の所有者に対して,利活用の意向に係るアンケートやリノベーションなどの情報提供など,流通・活用促進が図られるよう,何かしら働きかけやアプローチはしているのか,お尋ねします。

(市の答弁)

 都市計画マスタープランでの空き家に関する目標値の設定につきましては,都市計画マスタープランがまちづくりの将来像や地域別の方針など,中長期的な見通しを持った本市の都市計画についての体系的な指針を示すものであり,計画の進行管理の達成状況を確認するための成果指標として,総合的なまちづくりの指標となる目標値は設定いたしますが,今のところ個別の項目となる空き家などの目標値について設定する予定はございません。
 また,空き家調査で判明した所有者への取り組みにつきましては,それぞれに放置空き家にしないよう適正管理を文書でお願いしております。さらに,解体費補助や解体ローンなどの市補助制度及び売却や賃貸について掲載したパンフレットもあわせて同封し啓発に努めているところですが,今後も効果的な取り組みを検討し実施してまいります。

 

ひらめき電球現在、春日井市の空き家対策にかかる計画において、KPI(業績指標)を定めていないということは、結果にコミットした空き家対策を行えていないということであり、非常に心もとない状態だと言えます。海図を持たずに航海をしているようなものです船あせる

末永けい

せっかく市の予算を使って空き家調査を行って,現地確認もしているわけですので,事業目的を空き家の適正管理としてだけ実施するのではなくて,活用・流通を後押しするような働きかけを空き家の所有者さんに行っていくことも重要だと思います。

そこで,空き家所有者にとって活用策の一つの手段,入り口,選択肢になるのが空き家バンクですが,その点については後ほどお聞きします。

それから,今,都市マスの考えはお聞きしましたが,市の空き家に係る施策の進捗や効果を定期的に検証し,市が効果的な施策を打つためには,どちらにせよ成果指標は市として設定すべきだと思います。ニュータウン計画では成果指標があるのに,市全域ではないというのも,どうも不自然です。市として成果指標,KPIを設定することについて,どのようにお考えでしょうか,お尋ねします。
(市の答弁)
 空き家の転用につきましては,空き家所有者の意向調査や他市の取り組みについて情報収集を図っているところです。今後も,庁内の関係各課等と連携し,空き家の転用に関する取り組みについて研究してまいります。
 空き家に関する目標値の設定の御提案につきましては,今後空き家等対策計画などを見直しする際の参考にさせていただきます。

 

末永けい

 高蔵寺ニュータウン空き家バンクについては,成約及び工事に至った実績はなく,空き家バンクの登録は2件とのことです。(仕組みがうまく回っていない!)高蔵寺ニュータウン空き家バンクの空き家の登録件数が伸びない要因をどのように分析しているのかお尋ねします。

(市の答弁)

 空き家バンクの登録件数が増加しない要因につきましては,物件掲載に当たり,リノベーション案を付加することがハードルとなっていることに加え,中古住宅へのニーズや流通が少ないこと,空き家バンクの周知がまだ不足していることなどが挙げられます。

 

末永けい

 今,要因の中で言われました流通が少ないという点,私も同感でして,ニュータウンの平成29年度調査では,空き家戸建て・タウンハウス286戸,分譲マンションが146戸という状況ですが,その一方で,市全域で見ると,平成25年時点で空き家総数は1万5,210戸,賃貸用・売却用住宅等を除いても5,290戸となっています。高蔵寺ニュータウン空き家バンクの対象地域は,高蔵寺ニュータウン地区の空き家を対象にしているとのことですが,対象地域を市全域に広げれば,母数が格段にふえるわけですから,空き家の登録件数もふえるのではないでしょうか。また,空き家バンクの周知不足についても,市全域で取り組むことで,知名度,認知度も向上しますニュータウン戸建て住宅の空き家率,平成26年3.2%,一方で,先ほどの答弁での市全域の空き家率は平成25年3.94%となっています。ニュータウンが3.2%,市全域が3.94%。年度や対象物件などは若干異なるものの,実はニュータウンよりも市全域のほうが空き家率が高くなっている状況にあります。きょう現在取り組んでいる空き家の適正管理や放置空き家対策という環境保全以外の目的で行政が空き家問題にかかわる意義としては,民間住宅ストックを有効活用することで新たな世帯を移住定住につなげたり,まちの新陳代謝を通じて市内を活性化することにあります。ニュータウンよりも市全域のほうが空き家率が高く,ニュータウン以外の空き家についても当然流通・活用の対象にしていくべきですから,空き家バンクについてはニュータウンだけでなく,市全域で民間住宅ストックを活用し,移住定住につながるよう,宅建協会など関係機関と連携を行う中で,しっかりしたスキームを構築するべきではないでしょうか。速やかに全市的な取り組みとすべきだと考えますが,所見をお尋ねいたします。

(市の答弁)

 高蔵寺リ・ニュータウン計画に基づく取り組みにつきましては,その成果を市内全域に適用することを見据え実施しております。
 したがいまして,空き家バンク等の住宅流通促進の取り組みにつきましても,移住定住を促進するため事業の効果等を検証しまして,効果のあるものにつきましては,関係部局はもとより,関係機関等とも連携し,今後市内他地区へ展開していくことを考えております。

 

(参考)

春日井市空き家等対策計画

空き家対策(春日井市)

高蔵寺リ・ニュータウン計画

高蔵寺ニュータウン 空き家バンク

(末永けい関連質問)

高蔵寺まちづくり株式会社のコンプライアンスの問題と、なぜJR春日井、勝川、神領駅周辺地域にまで?