自分でできる相続登記 | 農業機械のブログ

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農業相続登記

○○農地の所有権を相続によって移転登記する手順○○


≪遺産分割協議≫

農地の相続をどうするのか相続人同士で協議を行う。協議と言っても、一人ずつ「俺の名義に変更するので実印の捺印と書類 印鑑証明書と戸籍抄本取ってきてくれ。」でもいいし、相続人みんなが集まっているときにそう言ってもいい。


遺産分割協議書の作成≫

法務局に提出する遺産分割協議書が法律上の決め手になる。

遺産分割協議書に何を書き込んだらいいのか?ネット検索で金融資産や負債のことまで書き込んでいるものを参考にしては無駄なものが多くなる。

遺産分割協議書に書き込むものは、登記する対象物だけでいい。もし、農地だけなら農地だけでいいし、宅地を含めた土地全部ならそれでもいい。あるいは、土地と建物の相続登記が必要ならそれでもいい。

要点は、登記する対象の遺産分割協議書を作成すればいいのである。

次のような内容で十分だ。


≪遺産分割協議書の書き方の一例≫


 

       遺産分割協議書     右上に実印の捺印(訂正印用)


被相続人 ○○○○

生年月日 昭和○○ 年○○ 月 ○○日

本籍   ○○○○○○○○○○○○


被相続人○○○○の死亡(平成 ○○年 ○○月 ○○日)により、相続人全員が協議し、以下の不動産を●●●●が相続することに同意した。


所在    地目     地積      ㎡

所在    地目     地積      ㎡

所在    地目     地積      ㎡(宅地だけ小数点2位まで


平成 年 月 日

相続人1 住所 氏名 実印捺印

相続人2 住所 氏名 実印捺印

相続人3 住所 氏名 実印捺印

相続人4 住所 氏名 実印捺印

*************

ワードで作成、プリンターに出力、複数枚用意したほうがいいだろう。A4のコピー用紙を使用した。

相続人の住所、名前を自筆署名して実印捺印。

私の場合は、相続人に自筆で住所と名前を書き込んでもらった。

上記のような内容を印刷、相続人に書き込んでもらう。

※記載内容の書き間違いの訂正が必要になると、認め印では訂正できない。あらかじめ、用紙の右上に相続人全員の実印を捺印しておいた方がいい。提出段階で間違いがあると、その場で相続人全員の実印の捺印はできないことを頭に入れておいた方がいい。


≪相続関係図≫

これはエクセルで作成した。簡単でいい。

死亡した被相続人とその配偶者、その子供、太めの線で関係づけて表示。

死亡した被相続人は「被相続人」と表示、死亡年月日、住所。

農地を相続する人は、「相続」と表示、住所と出生年月日。

ほかの相続人は、「分割」と表示。

これも印刷。A4コピー用紙。

相続関係図を提出すると法務局側が何やら書き込む。提出の義務はないらしいが、書類の一部が返還されるとのこと。


登記申請書

相続の所有権移転登記用の書類は、インターネットからダウンロードする。

申請書ダウンロード先

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

登記申請書を印刷する。A4コピー用紙。

不動産なども一緒に入力して印刷する。

住所氏名などを自筆署名。印鑑は認印でよかった。

不動産の表記の仕方には種類があるが、好きな方を選べばいい。

※登記申請書の形式は、財産分与や売買譲渡とは異なるので注意。


必要書類≫・・・すべて自治体の役所からもらった。

1 死亡した被相続人は、生まれた時の戸籍と死亡時の戸籍が必要。

○除籍謄本

○改製原戸籍・・・戸籍謄本

○死亡時の戸籍・・・戸籍謄本

被相続人の生まれた時の戸籍とは、自分から見たら祖父母の代の戸籍になり、たいてい
『除籍謄本』になる。それよりもやや新しい被相続人の戸籍は、改正前の原戸籍謄本。それは、祖父母の代の戸籍だが、死亡や結婚などで籍を離れている叔父叔母を除いた被相続人の戸籍。さらに被相続人が戸籍を持った時の戸籍。そのまま死亡まで戸籍が変わらなければそれが死亡時の戸籍になる。

戸籍謄本の附票

○被相続人の本籍を記載した住民票(死亡時点のもの)

○被相続人の住民票で除票と呼ばれるもの


2 相続人の証明書

○相続人全員の印鑑証明書

○相続人全員の戸籍抄本(個人事項証明書


3 不動産を相続する相続人


○住民票

○住所が複数あった場合は、その証明書(住所遍歴があればその証明書


4 相続する不動産の証明書


固定資産評価証明書(土地だけなら土地だけを申請して交付してもらう。私の場合は土地、農地だけだった。住居となる建物は登記対象から除外。)



以上を用意できたら法務局に持って行って登記申請する。書類などに不備がなければその場で受理される。
登録免許税分はその場で印紙代を支払って印紙を貼り付ける。受理したらその日が受理の日として登記簿に記載され、登記が完了したら相続日は被相続人の死亡年月日になる。



○○雑記○○


書類一式を法務局に提出する場合は、前もって
予約する。電話で十分だ。

受理されたら、その場で印紙代で登録免許税を支払う。印紙を購入して法務局担当者が用紙を出すので印紙を貼り付ける。

担当者が登記完了証を交付する日時を言ってくれる。それに必要な用紙をその場でもらう。何かあれば電話で連絡するらしく、何もなければ予定の日時に完了証を取りに行けばいい。

その足で
農業委員会に届出を行えばいい。法律では10か月以内だそうだ。

登録免許税は、私がやった時点で固定資産評価額の1000分の4。

証明書類の交付額と登録免許税の実費だけで費用が足りる。

遺産分割協議書は、ほかの相続人が遠方の場合、49日法要などを利用して実印と印鑑証明書と戸籍抄本を持ってきてもらえれば、みんなが集まって時に書類は出来上がる。

みんなが集まる時以外に遺産分割協議書や証明書類が集まらない場合は、簡単に郵送でやることも可能だ。


○○生前贈与と納税猶予制度の活用○○

農地の相続登記をやらないままだと被相続人が死亡次点の相続人の一人が死亡した場合、その子供に相続権が移る。そうなると場合によっては芋づる式に相続人が増えてしまい、自分の相続人の誰かが相続する場合、遺産分割協議書が作成できない場合がある。

農業後継者のために、自分の土地をスムースに、相続人同士の争いなどを考慮したら、農業相続を
生前贈与でやるのもいいはずだ。贈与税が支払困難なケースでは、贈与税の納税猶予制度を活用するのもいい。農業委員会、税務署、法務局を相手にすることになる。

○○先代の登記○○

私のおやじの代では、遺産分割協議が骨肉の争いでごたごたになったが、それでも
裁判調停せずに結果的には丸く収まった。最初の登記は、遺言による死後贈与だったが、その方法だと遺留分がほかの相続人に発生する。そのため死後贈与では土地の半分しか所有権移転登記できなかった。それでは基盤整備などで大問題になる。そこでまた登記をやった。その方法が一応相続登記だが、おそらく、遺留分の処理方法としてほかの相続人から『相続不存在証明書』を作るものだ。それは相続するものはございません、との証明だが、結果的にはその証明書には実印の捺印と印鑑証明が必要だった。遺産分割協議書とは異なるが、そういう方法をとったようだ。いずれも業者任せとなるので、登記費用は2回やったので60万円くらいかかっただろうな。昭和の終わりの時代だが。