親が死んで農地を引き継ぐ際に、遺言では中途半端になる。農地の遺言による遺贈の登記だ。
農地の遺贈登記は半分だけしかできない。そうなるのはほかの相続人に遺留分があるためだ。だから登記では法律にのっとって半分だけの登記になる。
残り半分をほかの相続人すべての相続の不存在証明書の添付で登記することになる。
手間が増えるし、金もかかる。
農地の相続登記に関しては、次の二つしかない。
1 遺産分割協議書の添付による相続登記
2 裁判所の調停・審判による相続登記
先に述べた遺言では中途半端になる。結果的にほかの相続人すべてから相続の不存在証明書を作ることだから、早い話、遺産分割協議書を作れるはずのものを遺言を優先して進めたために手間と金を増やすことになる。
ほかの相続人の相続不存在証明書が作れることは遺産分割協議書も作れることだ。
結果的に、親に遺言書を作ってもらうなら、かなり厳しいが、生前贈与と納税猶予の制度を使ったほうがいい。死後争いになるなら、裁判所の調停・審判のほうが確実だ。争うなら裁判所が一番公正だ。電話や口頭での言い争いは避けたほうがいい。
遺産分割協議書は、農地の相続登記に使うだけだ。ほかに使うところがない。
ネット検索すると不動産と金銭をまとめて書いた協議書を示しているが、『公に』使うものはかなり限定されている。
年金の受け取りでも、ゆうちょ銀行、信金、JAでも遺産分割協議書は必要ない。つまり、金銭も含んだ不動産の遺産分割協議書というのは、登記には必要ない。
もしかしたら、農協、ゆうちょ銀行、信金以外に遺産分割協議書を求める金融機関があるかもしれないが・・・