おっと、これまたエゲツない10歳の子役発見!!
と思って調べてみたら、もう17歳になっていた。
子役としての渾身の演技は、これ一作のみ。
でも、この役がトラウマにならず女優を続けていてひと安心。
とにかく、人生が台無しだ!と思うほどの癇癪持ちの10歳少女・ベニー。
思い通りにならなければ大声で叫び続ける。
そこらへんの物を全力で投げつける。
大人も子どもも、グーで殴る。
髪を引っ張って机に叩きつける。
血が噴き出しても、癇癪を止められない。
母親は彼女の破壊力を恐れ、育児放棄。
養護施設も彼女の癇癪に手を焼き、保護を拒否。
精神病院は「12歳以上でなければ収容できない」と拒否。
さらに困ったことに、幼いころに父親から受けた暴力がトラウマとなり、
他人に顔を触られるとパニック発作を起こし、最凶暴になる。
彼女に心を寄せていた人々は、その破壊力に絶望し、
そして、みんな彼女から手を引く。
ベニーは幼すぎて、本来なら保護すべき施設に入れない。
居場所がない。
それこそが、この社会構造のなかでもっとも残酷な点なのだと、
この映画は問題提起している。
この物語は完全なフィクションだが、
監督が出会った少女の壮絶な体験が、
この映画を撮るきっかけになったらしい。
社会環境が世界トップクラスで整っているドイツでさえ、
システム上、保護できない少年少女がいる状況を嘆いている。
ちゃんと愛したいと思っているのに、対面するたびに絶望する母親。
思い上がってしまった自分に失望する、通学付添保護師。
ベニーを救う万策が尽き、心が折れた保護師。
だれもがベニーに寄り添う努力をしている。誰も悪くない。
でも、制度が邪魔する。
この問題は日本にもある。
日本でも「法の隙間に落ちる10歳」は、実在する。
そして“万能な受け皿”は、残念ながら日本にも存在しない。
困ってる子供がいて、
困っている親がいて、
助けられる環境があるのだから。
法がどーのこーのでなく、柔軟に、
すぐ手を差し伸べることができる社会にならんもんかな。
法やルールって、時にめっちゃ不便。
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2019年/ドイツ
監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
