気むずかしい いろいろ -28ページ目

気むずかしい いろいろ

芝居、ミュージカル、落語、映画、
後輩、神社・読書・心理・呪いと祟りも。

System Crasher ポスター、少女が棒付きキャンディをくわえている

おっと、これまたエゲツない10歳の子役発見!!

と思って調べてみたら、もう17歳になっていた。
子役としての渾身の演技は、これ一作のみ。

でも、この役がトラウマにならず女優を続けていてひと安心。

 

とにかく、人生が台無しだ!と思うほどの癇癪持ちの10歳少女・ベニー。
思い通りにならなければ大声で叫び続ける。
そこらへんの物を全力で投げつける。
大人も子どもも、グーで殴る。
髪を引っ張って机に叩きつける。
血が噴き出しても、癇癪を止められない。

 

母親は彼女の破壊力を恐れ、育児放棄。
養護施設も彼女の癇癪に手を焼き、保護を拒否。
精神病院は「12歳以上でなければ収容できない」と拒否。

 

さらに困ったことに、幼いころに父親から受けた暴力がトラウマとなり、
他人に顔を触られるとパニック発作を起こし、最凶暴になる。

彼女に心を寄せていた人々は、その破壊力に絶望し、
そして、みんな彼女から手を引く。

 

ベニーは幼すぎて、本来なら保護すべき施設に入れない。
居場所がない。
それこそが、この社会構造のなかでもっとも残酷な点なのだと、
この映画は問題提起している。

 

この物語は完全なフィクションだが、
監督が出会った少女の壮絶な体験が、
この映画を撮るきっかけになったらしい。

 

社会環境が世界トップクラスで整っているドイツでさえ、
システム上、保護できない少年少女がいる状況を嘆いている。

 

ちゃんと愛したいと思っているのに、対面するたびに絶望する母親。

思い上がってしまった自分に失望する、通学付添保護師。

ベニーを救う万策が尽き、心が折れた保護師。

だれもがベニーに寄り添う努力をしている。誰も悪くない。

でも、制度が邪魔する。

 

この問題は日本にもある。

日本でも「法の隙間に落ちる10歳」は、実在する。
そして“万能な受け皿”は、残念ながら日本にも存在しない。

 

 

困ってる子供がいて、

困っている親がいて、

助けられる環境があるのだから。

法がどーのこーのでなく、柔軟に、

すぐ手を差し伸べることができる社会にならんもんかな。

 

法やルールって、時にめっちゃ不便。

 

________

2019年/ドイツ

監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京