映画館で。
疲れた・・・・辛かった・・・。
ブラックホーク・ダウン以上に疲れた。
映画館という逃げ場のない空間で、強制的に戦争を疑似体験させられた気分だ。
観てるだけなのに、パニックになりそうな臨場感だった。
ある任務のためにイラク人の住居を占拠し、
銃をかまえて、敵の拠点を襲撃する機会をうかがっていたネイビーシールズの小隊。
些細な見過ごしで、小隊は敵兵に囲まれ負傷者が出た。
負傷者を救出にきた装甲車に乗り込もうとしたところ、爆撃にあい、
さらに仲間二人が負傷する。
一瞬で現場は地獄と化し、パニックが広がる。
映画のような的確な指示を出すヒーローはいない。
みな、冷静さを失っていく。
・成す術をうしない呆然と立ち尽くす大尉
・負傷した痛みにこらえ切れず叫び続ける兵士
・負傷した同僚をなんとか助け出そうとする兵士
・混乱の中でモルヒネを自分に刺してしまう兵士
・インカムをオフにしてしまう通信係
特殊訓練をうけたネイビーシールズでさえ、
戦況が一変したとたん、うろたえてしまうのだ。
映画を観ている側の人と大差ない人間なのだから。
特筆すべきは音響設計だ。
兵士たちの荒い息遣い、
断続的な銃撃音と爆撃音、
建物が崩壊する音
が立体的に重なり、観客を絶望的な状況へ引きずり込む。
爆撃後、あちこちから聞こえる
住民の叫び、
負傷者のうめき、
無線から流れる指令。
それらが混濁し、正常な判断を奪っていく演出は、本当にしんどかった。
A24は恐怖の演出をよく心得ていらっしゃる。
日本人はこの映画を「疑似体験」として観るしかないが、
身近に帰還兵がいるアメリカ人なら、全く違う受け止め方をするのだろう。
愛する人が、こんな経験をする、もしくは経験をした。と思いながら観るのは、
しんどすぎるんちゃうかと思う。
ラストシーンが象徴するように、
イラクの一般市民にとってこの戦争は何だったのか。
次は、彼らの視点から描かれた映画を観てみたい。
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2025・アメリカ、イギリス
監督: アレックス・ガーランド、レイ・メンドーサ
原案・脚本: アレックス・ガーランド、レイ・メンドーサ
製作: A24、DNAフィルムズ
配給: ハピネットファントム・スタジオ
出演: ディファラオ・ウン=ア=タイ、ウィル・ポールター、ジョセフ・クイン、コズモ・ジャーヴィス、キット・コナー、チャールズ・メルトン
あらすじ: 2006年、イラク戦争。最も危険な地域とされるラマディで、アルカイダ幹部の監視任務に就いていたアメリカ軍特殊部隊の小隊。しかし、事態を察知した敵兵による先制攻撃を機に、想定外の全面衝突が勃発する。反乱勢力に完全に包囲され、次々と負傷者が出る絶望的な状況下で、兵士たちはただ「生き延びる」ための地獄のような戦いへと放り込まれる。元海軍特殊部隊員である共同監督レイ・メンドーサの実体験に基づき、戦場のリアルを徹底的に追求した、圧倒的没入感のミリタリー・アクション。
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