ミュージカル 二都物語 役が覚悟する瞬間 | 気むずかしい いろいろ

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最前列のセンターブロックだった!

井上芳雄ファン歴9年になるが、こんな最高席に座れたのは2回目である。

オペラグラスなしで、こんな間近で表情がみれるなんて、最高!

 

もう1回みる機会があるから、詳細ははぶくが、

この距離だからこそ気づけた、感動してしまった瞬間をメモしておく。

わたしは、この日の観劇が、二都物語の初見で、

事前になんの情報も入れてない状態で、物語の移り変わりを楽しんでいたのだが・・・。

 

「あれ?シドニー、身代わりになる気なの?」と、

役が決心した瞬間が、わかったのだ。

 

バーサットが刑務所に出入りできると知り、

酒場にバーサットに会いに行った場面。

バーサットと肩を組み、上手で長い手足を伸ばして

チャールズを葬って、ルーシーを寝取るつもりなんだと、おどける場面。

おどけが終わったすぐ後、シドニーの表情が少し曇って、悲しい顔に変わった。

この時の表情の変化が、絶妙で・・・。

 

人の表情の変化に敏感なわたしは、

「あれ?シドニー、身代わりになって死ぬ気なの?」って不安にかられたのだ。

 

その後、シドニーの一挙手一投足に注目した。
「えっ?なぜ他人のために命を捧げる。やめて。思い直して」と、

役だと分かったうえでも、ヤキモキしながら見守るように見てしまった。

 

そしてやっぱりの展開で。

 

井上芳雄の演技力は、恐ろしいほど豊かにどんどんなっていく。

大きい舞台用の大きな芝居だが、それでも、舞台上では役を生きているんだなと思わせる。

 

歌のシーンでもないし、セリフのシーンでもない、

無言のシーンなのに、表情と間で、役の決心と覚悟をカンジさせるなんて、

ほんまに恐ろしい役者やなと、思った。

 

そこからは、もう涙ボロボロでみたのだった。

井上芳雄という偉大な役者に出会えた感動と、

役の覚悟に感銘して、もう涙をボロボロと流すことを自分に許可して解放してみた。

 

ムーラン・ルージュとはまた違う、感動があった。

 

井上芳雄のオフビートな演技もみてみたい。

声をはらない、普通の温度感での会話演技もみてみたいと、思った。

 

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ミュージカル 二都物語(A Tale of Two Cities)
2025年 日本
翻訳・演出:鵜山仁
脚本・作詞・作曲:ジル・サントリエロ
追加音楽:フランク・ワイルドホーン
原作:チャールズ・ディケンズ『二都物語』
出演:
井上芳雄(シドニー・カートン)、浦井健治(チャールズ・ダーニー)、潤 花(ルーシー・マネット)、未来優希(マダム・ドファルジュ)、岡 幸二郎(エヴレモンド侯爵)、福井貴一(バーサッド)、宮川 浩(ジェリー・クランチャー)、橋本さとし(ドファルジュ)、福井晶一(ドクター・マネット)、奥山 寛(ジャビーズ・ローリ)、塩田朋子(ミス・プロス)他
美術:松井るみ
照明:服部基
衣裳:前田文子
映像:栗山聡之
音楽監督:八幡茂
指揮:若林裕治
オーケストラ:東宝ミュージック・ダットミュージック
制作:東宝

 

今回、衣装をみてすごく不思議だったことをひとつ。

中世ヨーロッパが舞台の場合、女性の衣装は、

テロテロで、光を反射するサテン生地のようなポリエステルやナイロン素材を使うのだが、

この舞台で女性たちの衣装は、綿100%だった。

まったく、光を反射しない。

 

シドニーと、チャールズの衣装の生地も、おそらくコットンだ。

ジャケットの仕立てがものすごくよいが、シドニーのパンツはフィット感はいま一つ。

 

衣装の生地が、結構斬新だった。

最前列だから気が付けたポイントだけど。

もしかして、マイクロプラスチック問題を意識してのことなのかな。

もしかして、「市民」であることを意識してのことなのか。

 

前田文子の衣装は、いつもおもしろい。挑戦的。