おそい思春期 | 気むずかしい いろいろ

気むずかしい いろいろ

芝居、ミュージカル、落語、映画、
後輩、神社・読書・心理・呪いと祟りも。

「香さん、もっとボクをうまいこと使ってください」

 

と、本間の抗議がとまらなくなってきた。

 

手が回らないほど仕事量がふえ、

視点を高く高くとばして広域でものをみて、

火種をみつけて瞬時に行動しなければヤバイ状況にあり、

手元の些末な問題ごとにかまえない日々を送っている中、

 

息抜きにと、本間を誘って飲みに行くと、仕事よりしんどい抗議をされるという苦行が続いている。

 

ほんの数か月前までは、うつ病の回復期で、仕事に後ろ向きだったのに、

いまではすっかり、前傾姿勢に。

前向きなのは喜ばしいのだが、圧が強すぎて手を焼いている。

 

「ボクは、天才なんですよ。分かってます?

 誰よりも仕事できるんですから、もっとボクを頼ってくださいよ!!」

 

「オマエはわたしの最後の切り札だから、最後までとってんの!」

と、テキトーにごまかしているが、もひとつ本間の真意がみえず、

扱い方がよくわからんくなってきた。

 

こういう時は、ブログに書くのが一番。

文字化していくと、本質がだんだん見えてくるはず。

 

いったん事象を整理。

 

先月末から関係がギクシャクしている。非常にやりにくい。

イライラがつのりわたしも感情的になるし、本間も感情的になって歯車が合わず、効率が悪くなった。

 

わたしの仕事量が一気にふえて本間に気が回らないコトと、

本間にお願いしている仕事量も増えて、残業が続いているコトへの不満だろうと思っていた。

<ひとりでお留守番イヤ期>みたいなもんだろう、

ほっといたらおさまると、思っていた。


だけど、いっこうに抗議がおさまらない。あれから1か月。

酒をのむたびに、グダグダと抗議される。
22時すぎたあたりから、ずーっと「ボクをもっと~~~」がはじまるのだ。

そして繰り返し、繰り返し、同じことをいう。

 

「ボクをもっと頼ってくださいよ!」なのだそうだ。

 

仕事をたくさんおねがいしているのだから、

それって頼ってるってコトちゃうの?というたら、違うらしい。

なにを、どう頼れと?どのパートを頼れば不満がおさまる?

具体性がなく、察してくれ的な言語化をして抗議してくる。

 

めんどくせぇ。

 

わたしが本間の本意を読み違えていて、

もっと深く深層心理を観察しなければならんらしい。

 

ならば少し、環境をかえて観察してみようと罠を仕掛けてみた。

 

二人で地方出張にでかけた時、

いつもなら二人でベラベラしゃべって移動時間をつぶすのに、

わたしはサングラスをかけたまま、ヘッドホンをして、一言もしゃべらず車窓をながめていた。

機嫌がわるいのか、シンドイのか、感情を読み取られないように、サングラスをしたまま無表情で。

 

本間は、わたしの機嫌が悪いと読み取ったようで、

大きなため息をついて腕を組んで目をつむっていた。

 

本間が露骨に怒りの感情をだすのは、はじめてのこと。

わたしの様子をうかがうでもなく、怒っている。

1か月近くつづいているすれ違いに、うんざりして怒っている。

なるほど。すぐに罠にかかる単純なヤツめ。

 

さぁ、わたしはどう出ようかと3パターンぐらい考えた挙句、

C案でいくことに決めた。

 

駅に着く直前に伸びをして

「あぁ~、癒された。窓側ゆずってくれてありがとう」と言うたら、

「え”っ?!癒されてたんですか?!」

「音楽ききながら、海みて、山みて、ちょっとスッキリした。

 先週ぐらいから、もう会社辞めたろかなって思うぐらい、しんどかってん」

「・・・・・・・ww」

 

久しぶりに、本間のほんとうの笑顔をみれた。

ようやく突破口がみえた。

 

仕事を片付けて、明るい時間から商店街でふたりで酒をのんだ。

かつおのタタキと、ひなどりをつつきながら、いろいろ話ができた。

 

・上長と二人で、しょっちゅう打ち合わせをしているコト。

・本間に相談せず、独断で仕事をひきうけるコト。

・本間を入れず、わたし一人で取り組んでいる仕事があるコト。

 

おもに3つの方向で不満らしい。

 

わたしはながく、ひとりで仕事をまわしてきたから、人に相談する習慣がない。

公私ともに、人に相談する習慣がない。

また、わたしの仕事スタイルは、多忙になればなるほど、

閃きと勢いをセットにして瞬間にさばくので、相談している時間がない。

と言うても、「決める前にボクに相談してください!」を繰り返す。

 

わかった、と返事をすると満面の笑みをうかべ、

帰りの電車のなかで、ロング缶片手にご機嫌だった。

行きの電車の時とは、真逆の表情。

「ボク、いま、すごくフラット(な気持ち)になりました」と、安堵の表情をしながら言う。

罠を仕掛けられたとも知らず、かわいいヤツめ。

 

「なんで、会社辞めたいと思うほど抱えてたのに、

 ボクに相談してくれないんですか?頼ってくれないんですか?」

と、また新たな攻撃を電車の中でずっとうけ、

わたしを励ますつもりか「明日、飲みに行きましょう」と誘われ、

地下鉄に乗るまで見送ってくれた。

 

いちおう、わたしを気遣う気持ちはあるらしいww。

本間31歳、おそい思春期の中で承認欲求を爆発させてもがく、かわいいヤツ。

 

不満の本質をまとめると、こういうことかと。

・いつまでも子ども扱いすな

・頼られない=一人前と認められてない

・あんなヤツ(上長)を信用して、ボクを信用しないってどういうコト?

・解決策ならヤツ(上長)よりも、ボクのほうが持っている。

 

なるほど、こういう感じか。

わたしも33歳の頃、信頼していた上長にこんなカンジの不満を募らせてたことがあった。

わたしの場合、すぐに上長に執着するのをやめたのだけど。

本間は拠り所がわたししかない。だから執着している。

 

政治的なコトで、現場作業の負担を増やしたくないという配慮からなのだが、

疎外感をあたえて拗ねさせてしまったようだ。

なるほど、疎外感か・・・。

 

不満の根っこは疎外感。抗議の目的はわたしと<チーム>でいること。

 

野球が好きで、チームを強くするためにいろいろアイディア出してきた、と散々いうていたから、

わたしと<チームプレイ>をするコトが、彼の中で重要らしい。

 

彼を動かす言葉は「チーム」か。

 

よし、しばらく「チーム」という言葉を使って、様子をみてみよう。

彼が機嫌よく実力以上の力を発揮してくれたら、わたしの試みも成功する。

 

 

なんつぅか・・・・

書いてて気が付いたけど、

こりゃ、イチャこらしてるだけやな・・・。