英語と、標準語と、エセ鹿児島弁と、鹿児島弁と。
“言語”と“言葉”を、こうもおもしろおかしく演出する三谷幸喜は、さすが!と唸る。
字幕の扱い方、差し込みタイミングが、とくにおもしろかった。
役者の演技から極力、目を離させず、日本語翻訳の字幕をみせるあの演出がとくにおもしろく。
字幕も、舞台美術のひとつと捉えればいいのかと、斜め上の発想に驚いた。
宮澤エマの流暢で、まくしたてる英語とタイミングがぴったり息が合っていた。
柿澤勇人は、どんどんコメディ上手になっていっている。
緩急と、間がどんどんよくなってきていて、
若さゆえの暴走する正義感と、翻弄される慌てぶりが、役柄となじんでいた。
そして、英語の発音がバツグン。
宮澤エマは、安定のうまさ。
最近、堂に入ってきた。
30歳半ばをすぎ、これから“中年女優”として、
どういう方向の女優となっていくのか楽しみな人でもある。
どんな芝居のどんな役を受けるかによって、印象がどんどん変わる気がする。
名バイプレーヤーになりそう。
で、迫田孝也である。
出てきた時、この人が、この役柄のまま終わるわけないな、と直感していたのだけど、
そっちに行くか~!という、また斜め上展開。
あの変化ぶりは、タランティーノ映画「レザボア・ドッグス」を彷彿させる。
役者って、ほんまにスゴイ。
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2024年2月1日
@森ノ宮ピロティホール
作・演出:三谷幸喜
音楽・演奏:荻野清子
出演:柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也
ナレーション:横田栄司
美術:松井るみ
照明:服部基
衣装:前田文子
映像:ムーチョ村松
企画制作:ホリプロ
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