立川談春独演会 2月公演 / 白井権八、紺屋高尾 | 気むずかしい いろいろ

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大阪10ヶ月連続公演の2回目。

小春志さんを連れて。

 

またしても、開演はじめって5分ほど遅れる。

せっかち故、待つ時間がもったいなくて、ギリギリを攻めてしまうが諸刃の剣である。

切られる回数の方が多いが・・・。

 

 

立川小春志「一目あがり」

「軸」のほめ方を習って、町内のいろんな人の家にあがっては「軸」をほめて、じぶんの賢さを披露しようとするアホ咄である。

 

ここにきて、落語の起承転結のパターンがみえてきた 笑。

粋な人の言動・振る舞いに憧れて、学のない男が、見よう見まねで同じことをするが、本質がわかってないから、トンチンカンな会話になってしまうという。というアホ噺パターン。

 

笑い噺ではあるが、なにごとも真似からはじめるのが、てっとり早い。

アレコレあたまで考えるより、行動するがヨシ。笑われても、失敗しても、気にせず学習しながら習得がヨシ。てなことを考えてしまった。

 

 

立川談春「白井権八」

まず、まくら。小春志ちゃんのイジリをうけて、小春志ちゃんの落語について。なぜ真打になるのに七年かかったのか。なぜ1年間、休業させたのか。なぜ小春志の落語は、談春落語とちがうのか。

これまですべて師匠の談春さんの悪行(笑)とされていた、数々の謎が打ち明けられた 笑。

 

まず、真打になるのに時間がかかったのは小春志が、師匠にまだ自信がないとかで辞退した。

2020年の前年に1年で3日しか休みがなく、全国あっちこっちで落語をしてボロボロになっている小春志をみて、「これは死んでしまう」と危機感をかんじた談春さんが、「1年間、立川こはるの名をつかって仕事してはダメ。仕事したら波紋。と言いつけて強制休業に。しばらく放っておいたら10月まで連絡がなかった。

 

もうそろそろいんじゃないかと、談春さんから小春に連絡を入れると「わたし、本当に死ぬ直前だったんですね」とケロリとした様子に呆れたと。そこから、落語の稽古をみっちりつけて、句読点の位置、間、音をしっかり仕込んで小春志の落語を“うまい落語”に仕上げたと。その後、ほかの師匠方も認めるほど落語がうまくなった。なのに、ある日、小春志が泣きながら師匠に言うた。「落語はうまくなりましたけど、面白くないんです。わたし落語がうまくなりたいんじゃなく、楽しくやりたいんです」と言われた時に、のけぞったと。

 

んじゃ、なんでお前は、オレを師匠に選んだんだよ!「圧です」、と。

人にはあえて伝えない、師匠と弟子のやりとりをされていた。

 

ぱっと見、頑固で、自分の信念だけを貫く難しそうな人にみえて、新しい考え方や、自分とちがう価値観も柔軟に許容しようとされている姿に、いつも驚く。試行錯誤。談春さんの試行錯誤、勉強になります。

 

で、本題。

 

鈴ヶ森で、強盗まがいの駕籠屋が狙った刀二本差しの色男。襲おうとしたところ、逆に襲われた。色男は、見事な太刀筋で駕籠屋を退治。ただモノではないと、その若侍に目をつけたのが、幡隨院 長兵衛。なんとか、話をしようと呼びつけるのだが、一向に首をたてにふらない若侍の後を追い・・・。オチわすれた。

 

談春さんが色男を演じる姿に重なって、本当の色男若侍がみえる。

 

 

立川談春「紺屋高尾」

なんど聞いたかわからない、談春さんの紺屋高尾。

今回は、談春さんなりの解釈が濃厚に入った展開があった。

花魁はなぜ、お金のない手先が真っ青な染色職人に惚れたのか。

花魁という職業は、どんな業を背負っているのか。

“これからの芝浜”から、談春さんの落語は、女性という存在をとても深堀しているように思う。

 

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2024年2月28日

@森ノ宮ピロティホール

 

やっぱりこの40周年興行はDVDに収めるみたい。やったー!