ムーラン・ルージュ!④ 風車の真下あたりで見たもの | 気むずかしい いろいろ

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2週間ぶりのムーラン・ルージュ。

ほんとこのミュージカル、開幕までのグラデーションはじまりがすてき。

舞台は幕をおろさずセットそのままを見せ、それはさながらお店を訪れたかのような錯覚にさせ、写真OKとするのは、店内装飾を歩き見る気分にさせる。

 

 

そしてなんの予告もなくはじまる、プレショー。キャストが、ゆっくりゆっくりと舞台をただよい歩き、観客の目をひきつける。2階席前のモニターには、カウントダウンの時計が映し出されているのだった。

 

キワドイ衣装をきた男女が、観客ひとり一人をねぶみするかのような視線をおくり、プイとよそを向いたり、貴族とおもわれる男性キャストに、からみつくような目線をおくったり。花魁さながらのプライド高めの仕草がカッコいい。

 

そして、美女二人による剣のみ。ほんとうに飲み込んでるわけないねんけど、毎回、ドキドキする演出。ゆっくりと剣をのみこみ、またゆっくりと剣を取り出し、拍手をもらって優雅にさっていく。ここ、開幕したてのころは、二人の動作がぴったりだったのに、ちょっとズレてきていた。ほんの0.5秒動作がズレているだけで、美しさが半減してしまうのがもったいない。

 

 

さて、4回目の観劇となるこの日のわたしの席は、A列の超下手席。風車の真下。見切れがたくさん。だが、表情はバッチリみえるし、生声もきけるから、ラッキー!とおもっていたのだけど、Crazy Rollingがはじまった時、じごく!

井上芳雄の歌声はきこえるが、姿が見えず。舞台の手前に設えられた電飾の15㎝ぐらいの高さが、じゃま。そのバー高さのせいで、井上芳雄がまったく見えない・・・。

 

あぁぁぁぁぁ!!!この時の表情の変化みるの楽しみにしてたのに・・・・泣。これは、舞台あるあるやねんけど・・・・。そしてこのミュージカル、手前の舞台の方が高くて、奥が低くなってる逆八百屋舞台やった。奥行きだすためか。よけい見えへん・・・泣。

 

いうてもしゃーなから、最後までグッと世界に入って楽しんだ。この日は、初Kデューク。伊礼彼方デュークに慣れてしまったから、この若くて、IT長者のような金持ち具合になかなか慣れず。けど、Kの方が歌詞がしっかり入ってきた気がする。せやけど、伊礼彼方の粘着質なほうが好みやった。

 

開幕から3週間以上たったこの回、キャストがだいぶんお疲れモードだった。声が出てない人、キレがわるい人。ハッとする場面で、ハッとできへんかったな。そんな中、主役の望海風斗と井上芳雄は圧倒的な声圧で、センターに立ちづつけられる人と、そうでない人の違いはこういうトコロにあるんやなと思った。

 

2019年のエリザベートでも、井上芳雄以外、ぜんいん疲れて見えたのに、この人だけいつもイキイキしてるのは、逆に変態なのかしら?と思うほど差があった。あの育三郎でさえヘトヘトのルキーニだったのだから。

 

お客さんもリピーター多めで、もうイチイチ手拍子しなくなってた 笑。わたしも。見る方に集中したくてさ。

 

ほんまに、このミュージカルは総合芸術やなと感動しつつボーーーっとした気持ちで劇場をでるも、暑すぎて、熱すぎて、すぐに正気に戻る。あぁ、余韻をたのしみたかった。

 

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2023年7月20日

@帝国劇場

原作:バズ・ラーマン

演出:アレックス・ティンバース

脚本:ジョン・ローガン

振付:ソニア・タイエ

音楽関係:ジャスティン・レヴィーン

装置デザイン:デレク・マクレーン

衣装デザイン:キャサリン・ズーバー

照明デザイン:ジャスティン・タウンゼット

音響デザイン:ピーター・ハイレンスキー

ヘアデザイン:デヴィッド・ブライアン・ブラウン

音楽プロデューサー:マット・スタイン

出演:望海風斗、井上芳雄、橋本さとし、K、上野哲也、中井智彦、加賀楓ほか