配信が終わり、「アーカイブ配信を~~」の画面になったとたん、喪失感がハンパない。
終わってしまった。エリザベートが終わってしまった。
わたし、スポーツにまったく興味がなくて去年のあの盛り上がりについていけなかったが、
トートの一挙手一投足に心乱される、生観劇&生配信は、
ワールドカップで盛り上がってるカンジと似てるんじゃないかと思った。
テレビの前で、歓声あげて、拍手しまくって。
スポーツ観戦と同じテンションに違いない。
なにが言いたいかというと、
生で、リアルタイムで見るからこそ得られるモノがある。
今日は、どんなアレンジでくる?あの場面では、どんな表情をする?まわりの俳優たちは、どう引っ張られていく?とか、いろいろ予測していても、いつも想像を上回るカードを切ってくる。
幕がおりるまで、まったく油断ができないのが、エリザベートなのだ。
それが終わってしまったのは、ワールドカップが終わってしまったくらい、喪失感がハンパないのだ。
しかし、今日の配信はスゴかった。
生配信とは思えない、カメラワークとカット割りだった。カメラの切り替えが、ほぼほぼ完ぺき。
撮影チームも、相当練習したと思う。カメラ台数、7台(たぶん)!
auのアカウント作るのに相当抵抗感があったが、auマネーあってこそのカメラ7台だとしたら、ありがたやと文句はおさめておこう。
井上芳雄ファンとしてのわがまま言えば、井上芳雄からカメラをはずすな!やったけど、作品全体を考えると当然のカット割りなのだ。このわがままな不満も、大人だから、飲み込もう。
でもそんな不満も軽く飲み込めるぐらい、すばらしい配信だった。
しかも、1週間ぐらいアーカイブでみれるから、からっぽになったココロを埋められそうだ。
「一挙手一投足に心乱される」とか書いておきながら、あんまり舞台に集中できなかったのだ。
前述のように、ちょいちょい仕事目線でチェックしてしまう職業病が悲しい。
そのせいで、見落としてるところが、けっこうある。
イヤだ、この職業病、あっち行け!
カメラ1台100万円とか、新規獲得5千件以上とか、
そんな計算すんな!と4時間前の己を叱り飛ばしたい。
さて。
以前、井上芳雄が千秋楽は初心にたちかえって、意外とアレンジ少なくしてしまうと言っていたが、その通りだった。
妖しさ(エロさ)も抑え気味で、感情表現も控えめ。噛みしめるように、ひとつひとつを大事に演じていたように思う。
1回目は、ワクワク爆発。2回目は、エロさ爆発。3回目は・・・。
そうか、今思い返すと、共演者に「長い戦い、おつかれさまでした」とエールを送るような、演技だった。相手を労うというか、尊敬の念を送るというか、ガッツポーズをするというか。そんな丁寧さがみえたトートだった。
けど、最後には黄泉の国に送ってしまうのだけど 笑。
オープニングの「エリザベ~~~~~ェ~~ッ♪」をきいたら、やはり一気にテンションがあがる。今日もノドの調子、絶好調!と期待感があがるのだ。
生観劇と比べると、すべて3割減ぐらいになるのだが、今日も井上芳雄のトートは絶好調だった。
サウンドバーをつけてはいるが、博多座の音響にくらべると1/1000なのが残念だ。
それでも、井上芳雄の歌唱は心地よい。
わたしの大好きなシーン、ドクター変化のところも。今日は死にかけのジイさんの声で、けっこうその声をひっぱっていて、グラデーションでなく、3段階ぐらいでトートに戻り、最高におもしろかった。
「待っていた、エリザベート!」と言いながら、コートを脱いで正体を明かすシーンは、
最高に変態だった(褒めてる)。コートの脱ぎ方が、露出狂っぽくておもしろかったw。
次に好きなマエストロのシーンは、アンサンブルに画面を譲ることになり、あまり映ってなかったのが残念。
あと、涼風真世ゾフィがちょいちょい見せる、激オコな顔や、ふくれっ面をするかわいい場面が、ひとっつも映ってなかったのが悔しい。この人のゾフィは怖いだけでなくて、かわいい一面があるのに。それをぜひ、もう一度見たかった。
上山ルキーニは、今回、しっかり歌うルキーニやったな。芝居よりのほうが私は好み。
シュガーの晩年フランツも、よかったな。
ことしの演出は、芝居にも重きが置かれてて、全体的に分かりやすくなっててよかった。
正直いうと、これまでのエリザベートは、大声で歌いあげる合戦だと思っていて、演者たちの声量に圧倒されっぱなしで、登場人物たちの感情があんまり入ってこなかったから、今年は歌にも芝居がはいってて、よかった。
ま、結局は、すべて素晴らしかったのだ。
なんやかんや言うて、だいすきなミュージカルなのだ。
生観劇の3割減でも、配信でみても最高のエンタメだったのだ。
やっぱり井上芳雄といえば、エリザベートであり、トートなのだ。
井上芳雄にガツンと骨抜きにされたのは、エリザベートだから、
この唯一無二のトートという役を定期的にみたい。
年々ブラッシュアップされる彼の演技を、
トートという役で確かめたい。
ストプレに積極的に出演して、感情表現、感情の種類が多くなった井上芳雄を2023年も確認できた。
毎年とはいわないが、3年に1回ぐらいは確認したい。
年をどう重ね、積み重ねたものをどうカタチにするのか彼の集大成をみる作品だと思っている。
次、いつだろうか。
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2023年1月30日 配信UP!!!
@博多座
脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞:小池修一郎
音楽監督:甲斐正人
美術:二村周作
照明:笠原俊幸
出演:井上芳雄、愛希れいか、佐藤隆紀、甲斐翔真、上山竜治、涼風真世、未来優希、
乾直樹、五十嵐耕司、岡崎大樹、小南竜平、澤村 亮、鈴木凌平、山野 光、渡辺謙典、井伊 巧
古川トートもみたかったが、井上芳雄トートの記憶をしっかり残すために断念。
今年で最後の芳雄トートだと思っていたから、カーテンコールみる限り、次もありそうで、ホッとした。
花總まりが正式に卒業することになったから、続投せざるを得なかったのだろうか。
小池修一郎に喰いさがっていたカーテンコールは爆笑。
せっかくシンミリのお涙お別れシーンが、爆笑でおわったのは流石。
土下座するとみせかけ、クラウチングスタートに変えた瞬間、
機転の速さと、場の空気を読む能力の高さを発揮してた。
あんなカーテンコール、はじめたみたわ 笑。
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<今日のいちまい>
買って満足して、読んでなかった特集本。
歴代ルドルフのコメントはなかなかの読み応え。
エリザベートを宝塚で上演することを赤裸々に語っている小池修一郎のインタビューもおもしろい。
体調が悪く、御園座から現場にきてないと言うてはったが、
芳雄トートの稽古はリモートだったのだろうか。
小池先生、長生きしてくださいませ。