AD配信 わたしの、幼い息子イマド ISにさらわれた2歳の息子の2年後 | 気むずかしい いろいろ

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イマドが2歳の時、母と、弟と家族3人がISに拉致された。父親はイラク軍の兵士として戦いにでていたため留守だった。

幼かった弟は、母のそばでそだったが、長男イマドはISの戦闘員として徹底教育された。IS戦闘員としての名前をつけられ、母親から離され、虐待をうけ、銃を持たされ、人を殺すことを覚えさせられた。

母は弟を育てながらも、ISの戦闘員の性奴隷となり、生き抜くことに精いっぱいだった。

 

2年後、イマド4歳の時にISから解放。家族3人と祖母との暮らしがはじまったが、悪魔がのりうつったかのように、激しい怒りと、攻撃的な行動を繰り返すイマド。イマドも弟もISから、女は邪悪な存在だと洗脳され「女はキライだ!さわるな!」と母と祖母を拒絶する。

 

 

近所の子供にも暴力をふるい、おもちゃの銃をぶっぱなし、頭の中で人々を銃殺する遊びをひとりで繰り返す。

 

イマドの表情が、悪魔的に怖い。4歳で眉間に深いしわを寄せ、思い通りにならないことに怒りを表す。村は女と子供だらけ。男はみな戦場に行っており、誰もイマドを制止できず、弱り果てる母と祖母。絶望的な凶暴性に、唖然としてしまった。

 

 

かわいいイマド。わたしのイマド。もうあの頃のような笑顔をみせてくれないのか。母としてなにができる?

終始、頭をかかえる母の表情に、胸が痛くなる。母自身がうけた虐待の傷だけでも精いっぱいだろうに、それに加えて愛しかった息子が・・・。

 

 

そんな絶望な中、ボランティア団体のカウンセラーが、辛抱強くイマドの怒りを解きほぐそうと寄り添う。ほんとうに、辛抱強く。手を噛まれ、なぐられ、罵倒されながらも辛抱強く、母を愛する息子に戻るまで、イマドに教える。怒ってはダメ。殴ってはダメと。

 

イマドの凶暴ぶりは、日本だと警察沙汰レベルだったが、このカウンセラーの対応がすごい。これまで、イマドのような子どもたちをたくさん見てきた人なんだろう。とても衝撃的だったのは、イマドが遊び部屋にたくさんの子供たちを招いて遊ぼうとした時、イマドが女の子たちの頭をけっこうな強さで叩いていた。4~5歳ぐらいの女の子たちだ。即、絶叫の嵐になるだとうと思っていたのだが「なんで、殴るの~」と笑っている。まわりの男の子もゲラゲラ笑っているだけ。

 

この村の子どもたちは、暴力に慣れすぎているのだ。しかも、理不尽な暴力に。

ISは、なんちゅうことをするんや。残酷すぎるやろう。どういう信念で子どもたちを犠牲にできるのだ。正義とはなんだ。オマエたちの主張はなんなんだ。ほんとうに、それでオマエたちが豊かになるのか。考えろ!思考を止めるな!どんなカラクリなんや、踊らされてるだけやぞ!と、無性に腹が立ってきた。

 

プーチンおまえもやで。何人、子どもたちを殺してると思うてるねん。

 

 

凶暴、凶悪すぎるイマドだったが、しだいに心がほぐれ、カウンセラーと笑いながら遊び、祖母に数字と文字を教わっては嬉しそうにしていた。希望はある。

 

だが、村には次からつぎへとISから解放された、鋭い目つきの子どもたちが戻ってくる。

 

地獄はいつ終わる。

 

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@アジアンドキュメンタリーズ

2021年 スウェーデン

原題:Imad's Childhood

撮影地: イラク
監督・脚本・製作:ザハヴィ・サンジャヴィ  
撮影監督:ヘシュマトラ・ナレンジ  

「ママー!ママー!」と母をよびながら、家に入っていくイマドの後ろ姿で映画が終わった。泣けてくる。



<あらすじ アジアン・ドキュメンタリーズより>
クルド人でヤジディ教徒の男の子イマドは2歳のときISに拉致され、2年以上拘束された後に解放された。拘束中はIS戦闘員に連れ回され、銃の扱いを練習。殺人や斬首の映像を見て育った。大人の男と一緒にいることを好み、女性やヤジディ教徒を敵視。同世代の子どもを殴り、人形の首を切って遊ぶ。凶暴な発言と暴力的な行動に、周囲の大人もなす術がない。孤立するイマドに、母と祖母、児童心理学者のベリバンが寄り添うが、母のガザラは夫が拉致されたまま戻らず、自身も性奴隷にされた恐怖体験から立ち直れずにいる。IS統治の被害に遭った子どもや女性たちが、平和な日常を取り戻すために困難な道を進む姿を克明に捉えた作品だ。

 

 

▼いろんなドキュメンタリー映画みれるから好きなんだけど、体力奪われる。

 

 

▼ウガンダで6歳の時に拉致され少年兵としてそだち、20歳で亡命してボクシングチャンピオンになったオウマのドキュメンタリー

 

 

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