映画 死刑にいたる病 なにを言われても、平常心を崩さない心がうらやましい | 気むずかしい いろいろ

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阿部サダヲ史上、いちばん、不気味な役やったんちゃうかと思う。

 

控訴中の連続殺人鬼(阿部サダヲ)が、立件された事件のうち1件だけ、冤罪だと主張をし、冤罪の証明を、むかし仲良がよかった元中学生で、現在大学生になった筧井雅也(岡田健史)に依頼し、じょじょに真実が明かされていくミステリー映画なのだが…。

 

阿部サダヲ演じる、榛村大和が気味が悪い。阿部サダヲは小柄なのに存在感のある顔立ちをしているから、人のよさそうな役柄も演じられる。あの人のよさそうな表情で、淡々と快楽殺人の経緯をはなしだす。公判でも、人のよさそうな表情で、無感情なまま、淡々と犯行を告白する。

 

あの表情が、めちゃくちゃ、怖い。いったい、誰がモデルなんだろうか。雅也が面会室で、つぎつぎと真実を明かしていくのだが、まったく表情が動じない。かすかな動きはあるものの、すぐに元の薄笑みにもどる。これが、怖い!

 

わたしが生きるうえで、大切にしている格言のひとつにこれがある。

 

あなたの許可なくして、

誰もあなたを傷つけることはできない。

No one can make you feel inferior without your permission".

~エリーナ・ルーズベルト(ルーズベルト大統領夫人)~

 

阿部サダヲの表情をみながら、思ったのはこの言葉。

人は、誰かを傷つけよう、悲しませようとして、罵倒したり、毒をはいたりする。だから、そんな相手の思惑にハマることなく、平常心を保てというふうに理解しているのだが、「怒り」も、またしかり。

 

この映画、後半は殺人鬼・榛原と、事件の真相を追う大学生・雅也のマウントのとりあいのような会話がなされるのであるが、起伏は少ないものの、感情が顔にでている雅也は、すぐに完敗してしまう。榛原は、どんな言葉にも、どんな文脈にも、動揺しないで、自分の中心を維持し続けているのだ。

 

正直、その平常心がめちゃくちゃ、うらやましかった。外国の映画でもよくみるシーンだが、どんだけ真実を暴かれようが、眉をちょこっと上げただけでやり過ごす人たちが、めちゃくちゃうらやましいのだ。

 

ちょっと視点がずれたが、そういった視点で見ると、阿部サダヲの演技はめちゃくちゃ素晴らしかった。それに対する雅也演じた岡田健史のバランスもいい。演技が過剰だったり、棒読みだったりすると、会話のバランスが崩れてしらける演出なのに、いいバランスで感情を押し殺してた。

 

映画中、いちども感情を取り乱さなかった榛原。ほんとうに、不気味だった。

 

この殺人鬼、いったい誰がモデルなんだろうか。誰をイメージして役作りしたんだろうか。

 

そしてこの榛原という男のこわさは、無感情、無関心とも違う、強烈な支配欲なんだろうか。プーチンでさえ、怒り狂う時があるのに。人間の感情のスイッチを知り尽くしていて、めちゃくちゃ怖い。オチまでずっと、怖い。

 

上映30分ほどで、退場するカップルおったけど、わかる。阿部サダヲやから油断してた。顔を背けたくなる場面がいっぱい。白石和彌らしかったわー。


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2022年日本

@梅田ブルク7

原作:櫛木理宇

監督:白石和彌

出演:阿部サダヲ岡田健史岩田剛典宮崎優鈴木卓爾、田口トモロヲ、岩下志麻子、成河、音尾琢真中山美穂

 

・あれ?成河どこにでてた?

・岩井志麻子、いつもケバいばばぁでちょい役が多かったのに、いい演技してたな。

・鏡面を利用した撮影が、よかった。かぶせるタイミング、かぶせる角度とか、めちゃくちゃよかった。わたしも写真とる時、鏡面はよくやるから、すきな演出やった。

 

 

▼監督のインタビューもおもしろい

 

 

▼ルーズベルト夫人は、いい言葉をたくさん残してる。

 

 

・「梅田ブルグ7、いよいよ閉館!」。いよいよって・・・。

 

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<今日のいちまい>

きくところによると、人の腸には3~5kgの宿便がたまっているらしいので、

それならいっちょ!と、いちじくさんをしてみたのだけど、

ビフォー、アフターで、みじんも体重が変わってなかった。

 

どういうこっちゃ。

 

そんだけへばりついてるってことか?もしくは、ないのか。

ま、便秘ちゃうねんけどね。