マンガ 外道の歌 / 渡邊ダイスケ “復讐”はありなのか、なしなのか | 気むずかしい いろいろ

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Amazonが、いつもおススメしてくるマンガにこの「外道の歌」があり、

なんでこんなタイトルの作品をすすめてくるんや?

と思って邪見にしていたのだが、最新刊から坂口拓をモデルにしたキャラクターが登場とあり、

興味本位で読んでみたら、めちゃくちゃおもしろい!

 

Amazonがすすめた理由は、

わたしが心理学系と猟奇殺人のノンフィクション本を多く読んでいるからだった。

こういう視点のマンガとみじんも思わず。

 

しかも、犯罪心理をふかくふかく紐解いているし、

実際の事件もよく研究されている。

 

ありがちな残虐な事件の上辺だけをなぞったマンガでなく、

加害者心理、被害者心理も研究されているなと思った。

 

法的な処罰ではまったく納得できない被害者と被害者家族の悲しみ、怒り、憤り。

被害者にかわり、犯罪者に同等の痛みで復讐しようとする人たち。

いろいろな手口、解釈で、己が正義と思い復讐代行をする、いろいろな人たち。

 

復讐が必ずしも正義ではないとしながらも、鮮やかな手口で、残酷な復讐をする。

すぐに殺してしまうようでは、復讐にならない。

痛みを、苦しみを同等にあたえてこそ、復讐は成立する。

 

2012年に発覚した「尼崎事件」をモデルにした犯罪者側の心理と、

復讐の手口は、猟奇的でおもしろかった。

 

このマンガの主人公のモデルは、

1999年の「山口県光市母子殺害事件」の被害者の夫でもあり、父でもある男性と思われる。

犯人は未成年であったが、犯人の死罰を強く求めていた姿が強く記憶に残っている。

 

大切な配偶者を、我が子を失った家族の気持ちどれほどのものか計り知れないが、

“復讐”はありなのか、なしなのか。

一概に否定できないなと、思いながら2回も読んでしまった。

 

薬学の知識をフル活用した近藤というキャラクターも今後きになる。

 

「善悪の屑」、販売されてないんやな。

久しぶりにおもしろいマンガに出会った。