ドキュメンタリー映画 さよならテレビ 向けた刃が、己にかえる | 気むずかしい いろいろ

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ヤクザと憲法」というドキュメンタリー映画がとてもよい作品だったので、

同じ監督がつくったこの作品をみてみることに。

 

監督・圡方宏史が給料をもらう東海テレビの報道部に、

カメラを向けたドキュメンタリーだ。

 

さすがに、自社内にカメラを向けるとなると、

切れ味と、踏み込みが甘いなーと思ってみてたら、

最後の3分ぐらいで、自らが撮る“ドキュメンタリー映画”への問題提起になるという。

 

自分が撮影するものを、

自分で否定するという驚きの展開に。

 

おそらく、政府側に寄り添いすぎるTV局のスタンスを批判する映像を作りたかったんだと思う。

自分が思い描く会社批判の映像を集めるうち、

ベテラン記者が、監督に問う。

 

「カメラがまわってる状況って、日常的な風景っていえるんですかね?」

圡方宏史は答えないまま、カメラはまわる。

 

そして映画は、しばらく生ぬるい映像が続く。

「セシウムさんテロップ問題」以降、自分の意見を言えず弱腰になったアナウンサー。

36協定問題で残業できず、人手不足の中、雇われた派遣社員の新人記者。

カメラをまわす圡方宏史に「ドキュメンタリーってなんぞや」を鋭く問う、経済系新聞の元記者。

 

アナウンサーは、東海テレビの社員だが、記者二人は派遣と契約。

結局、東海テレビの社員から取材拒否をされ、立場の弱い社員外が荷を負うことに。

 

結果を出すことに焦り、確認を怠り、取材映像がボツになった派遣社員の若い記者が、

圡方宏史に態度をあらためるよう諫められると

「いい成績を出さないと、次の契約があぶないんで焦ってしまって。・・・・・・。

 でも、TV局も使い捨てするんじゃなくて、新入社員をいちから育てたほうがいんじゃないですか」と。

この問いにも、圡方宏史は答えていない。

 

上層部に直接カメラを向けず、立場の弱い記者ばかりをとり、

相変わらず、なにを、伝えたいんだ?ただの上から目線の傍観者か?

と、イライラが頂点に達しそうな頃に、思いもしない展開に。

 

最後の取材だから、言いたいことを言わせてくれと、ベテラン記者が、問い詰める。

「ピンマイクをつけて、場をセッティングされた状況って、リアルなんですか?

この映画のテーマはなんなんですか?何を伝えたいんですか?

本当にリアルなんですか?

結局、自分の頭の中にある絵を選り抜いて、映画にしてるだけじゃないんですか?」

 

この手の質問に答えてなかった、監督の答えは・・・。

 

最後の3分ぐらいで、監督はこれまでの映像のウソを暴く映像をながす。

会社の上層部に向けたはずの刃は、自身に鋭く返ってきた。

その暴き方が、おみごと。

 

本来、ボツにすべき企画を、自身を顧みる編集手法で、

作品に仕上げるところが、ズルささえも感じる。

 

卑怯で、ズルイが、これこそがテレビ業界のリアルなんだろうな。

会社にいたら、先輩だろうが、後輩だろうが、挨拶しないタイプだわ、

こんな人ww。

 

コロナ禍で、またTV業界はより一層厳しくなっただろうから、

Part.2も作ってみてほしい。

 

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2018年日本

監督:圡方宏史(東海テレビ)

出演:福島智之、渡邊雅之、澤村慎太郎

 

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<今日のいちまい>

井上芳雄、来年の夏公演は、なにに出演するのかなかなか発表なかったが、新作きた!

「ガイズ&ドールズ」

このミュージカルのキャストが、おもしろい!

元宝塚の男役トップスター二人に、浦井健治。

 

楽しそうだな。井上芳雄は、グレート・ギャツビー並みにパリッとスーツを着こなすんだろうか。

これは絶対におもしろいわ。

大阪公演あるのかな。あるやろうな。きっとある。

 

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今日は、ずっと在宅できたから、めちゃくちゃカラダがラク。

明日は、朝っぱらから、ガチガチに仕事した後、パ・ラパパンパンへ。

演劇、久しぶりやわ。