映画 ディザスター・アーティスト 映画ファンの愛の深さを知る | 気むずかしい いろいろ

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芝居、ミュージカル、落語、映画、
後輩、神社・読書・心理・呪いと祟りも。

えっ!これ兄弟で主演してたんや。

眉毛って、やっぱり重要やな。

 

これは2003年に公開された映画「ザ・ルーム」の製作プロセスをドラマ化した映画。

なぜ、製作プロセスを映画化したか?

それは、「ザ・ルーム」が史上最低最悪の最高映画として、

映画ファンから愛されているから。

 

この説明をみた時、なんのこっちゃ?と思うたが、

観てみたら、映画をあいする人は、こういう深いところまでみて、

映画を愛するのかと、映画ファンの愛の深さを知る。

 

まったくのド素人で、ちょっと演技をかじったぐらいの

年齢不詳、職業不詳の金持ちトミー・ウィゾー。

この男が演劇学校で仲良くなった相当年下の俳優を目指すグレッグと出会うところから話ははじまる。

 

間ははしょるが、俳優としてまったく目が出ない二人が、

映画に出演するため自主映画を製作することに。

ここまではよくある話だけど、トミー・ウィゾーは底なしの金持ち。

資金は潤沢にある。

なのに、出来上がりは悲惨としかいいようがない。

プロのスタッフのアドバイスをムシし、親友グレッグの苦言もムシし、

自分の撮りたいように、カメラをまわす。

 

物語も、人物描写も、前後関係も、まったくトンチンカン。

演技もクソ。スタッフの扱いもヒドイ。

 

それでも力づくで映画を公開するも、

試写では観客から大ブーイングの後、大爆笑に。

 

呆れすぎて笑う。

やり切ってるところが気持ちいい。

類の笑いが会場にどよめく。

 

トミー・ウィゾーが観客に期待した反応とはまったくちがったが、

お客さんを幸せにできたのなら、結果オーライ。

 

そんな製作の裏側を描いた作品。

B級、C級映画や、自主製作映画を愛する人なら、

この映画に共感できるんじゃないだろうか。

 

特に男が好きな映画だと思う。

 

ただひたすら、現実から目をそむけ、

理想を追い求める、男の話だが、

その男の理想が誰一人つかめない。

 

映画がすきなのか、自分が大好きすぎるのか。

大いなる勘違いの中、誰にも理解されずに生きてきたトミー・イィゾー。

ある意味、ジョーカーみたいな人だよね。

 

おもしろい映画だった。

特にジェームズ・フランコのなりきり具合が、見どころ。

完全にシンクロ。

 

「ザ・ルーム」もみてみたが、

わたしの映画愛は、まだそんなに深くないかもしれない。

 

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2017年アメリカ

監督:ジェームズ・フランコ

出演:ジェームズ・フランコ、デイヴ・フランコ、セス・ローゲン、ジョシュ・ハッチャーソン