映画 コレクター 暴かれたナチスの真実 ナチスに便乗した強盗大量殺人 | 気むずかしい いろいろ

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2016年オランダ/オランダ

監督:ティム・オリウーク
出演:ガイ・クレメンス、アウス・グライダヌス

 

 

WOWOWは最近、“事実に基づいた”映画の上映が多い。

私が好きだから、目につくだけなのだろうか。

 

舞台は1970年代。

30年前のナチス親衛隊による虐殺を暴き有罪判決に持ち込むまでのジャーナリストの戦いである。

 

これは歴史的背景と地理的なことを把握してないと、

日本人には理解が難しい話。

島国日本は、陸続きの国の事情が想像しにくい。

 

私は学生時代は歴史はまったく興味なかったのだが、

先日、NHKの「新・映像の世紀」というドキュメンタリーを

一気見したので、その知識でなんとか理解できた。

 

というのも、登場する国が多すぎる。

ドイツナチス親衛隊の指揮官ポーランド人ピーター・メンテンが、ソビエトの小さな村で、

ユダヤ人だけでなく非ユダヤ人を「アカ」認定して虐殺した。

ナチスからの指示があったわけでなく、

ユダヤ人たちが保有している美術品強奪目的のために、約1000人を射殺したと言われている。

なんでポーランド人がソビエトまで出ていく?という不思議さがある。

陸続きだから、県マタギぐらいの気軽さなんだろうか。


この映画で裁かれているのはポーランド人のピーター・メンテンという富豪。

日本語で検索してもなにも情報はでてこない。

10年の禁固刑を言い渡されたのに、2/3の刑期を終え、1985年に出所している。

その後、認知症を発症し、3年後の1988年に介護施設で死亡している。

この男は、一言も謝罪していないし、認めてもいない。

 

彼を献身的に支えた嫁は2016年に90歳で死去した。

この嫁もまったく反省していないし、夫の無実を信じ切ったままだった。

 

この裁判、ピーター・メンテンが美術品をオークションに出品するニュースが流れたのが発端。

当時の生き残りと、殺された遺族の告発からこの裁判に発展した。

事件から30年もたってからだ。

シラを切りとおし、司法省やら政府の役人を金で操るメンテン。憎い。

告発者側の証人を金で寝返りさせて、虚偽の証言をするメンテン。憎い。

 

あわや無罪かと思われたところ、強力な証拠が提出された。

ここの詳細を描かなかったのが、よかったな。

静かな勝訴だった。

 

ピーター・メンテンの虐殺事件は、おそらく氷山の一角。

虐殺者はピーターだけではない。

ポーランド人によるユダヤ人虐殺事件「イェドヴァブネ事件」なんてのもある。

 

戦争は人を狂わせると言うが、

狂う素質があった人のスイッチを単に押しただけなんじゃないかと思う。

先日見た「ゲッティ家の身代金」のゲッティの中にも同じ狂気を感じる。

手に余る富を求める人は、怖い。

 

この事件を執拗に負い続けて、人生をかけた記者クノープが

なぜキャリアを失ってしまったのかが分からない。

彼がユダヤ人だからか?

 

ナチスは本当に怖い。

ヒットラーだけでなく、ヒットラーを信奉する親衛隊、便乗するやつらが本当に怖い。

北のあの国もそうなのかな。

 

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<今日のスムージー>

・小松菜 3株

・香川の柑橘類 1個

・キウイ 1個

リュープリンで失っているカルシウムを、小松菜で補給。