密やかな結晶 | 気むずかしい いろいろ

気むずかしい いろいろ

芝居、ミュージカル、落語、映画、
後輩、神社・読書・心理・呪いと祟りも。

原作:小川洋子

演出:鄭義信

出演:石原さとみ、村上虹郎、鈴木浩介、山内圭哉、ベンガル

 

私の嫌いな新歌舞伎座。高低差があまりないから、

後方席はいろんな人の頭がかぶって隙間から見ないといけない。

そして、オペラグラス忘れたから、雰囲気しか分からない。

 

そんなボンヤリした視界の中、力強い発声が。

大好きな山内圭哉の登場。

 

それまでは顔見えないから、石原さとみがどうかは分からなかった。

目立って素晴らしい演技でもない。

なぜかオジイサンと呼ばれる村上虹郎はユニーク(独特)な雰囲気だった。

鈴木浩介も、まぁまぁかと思っていたら。

 

終盤、石原さとみが言葉を失う、あの長いラストシーン。

あれは二人とも素晴らしい演技だった。

薔薇の花びらが散る演出も素晴らしかった。

 

毎回、毎回、あの熱量でラストをするのなら、

体力だいぶん消耗するだろうな。

あれは、すごかった。

 

架空の国の、架空の島。

政府の陰謀なのか、謎の現象なのか、

人々は次から次へと様々なモノが消滅し、記憶が消滅する。

消滅する世界で生きる小説家の女と、

そのお世話をするオジイサン。

小説家の女の編集担当者。

消滅したモノを廃棄し、記憶を保持する者を取り締まる秘密警察。

 

この4人の微妙な関係を描く物語。

モノが消滅していく話は、

ジョージ・オーウェル著「1984年」を彷彿させる。

 

これ、新歌舞伎座じゃない場所で観たかったな。