【これからの「新しい平和学習」とは?その⑥】
本会の3年間の活動から、「新しい平和学習」のあり方について検討し実践していくことが求められていることに結論を得ました。これまで「新しい平和学習のあり方」について、「①問題の把握」・「②解決のための取組の明確化」・「③具体的な取組内容と効果」・「④これからの展望」に触れながら紹介しています。
前回はここから→これからの「新しい平和学習」とは?その⑤ | PIECE of PEACE 島根教師の会
今回は、「③具体的な取組内容と効果」から、授業「ヒロシマと島根との関わりについて考えよう」の学習モデルについて紹介したいと思います。
【授業3】「ヒロシマと島根との関わりについて考える」
〇基本授業内容〔担任又は外部講師による授業〕
〔出会い①〕原爆投下による被害概要について知る
〔出会い②〕原爆と関わりのある島根の人々の体験
〔出会い③〕島根県内の原爆の光・音・雲の確認状況
〔出会い④〕「大切な3つのこと」を考え始めよう
〇授業を受けた児童の主たる振り返り内容
・広島平和公園や資料館の中で、教室で聞いたあの時のお話の事だなぁと何度も思いながら見学した。
・「かわいそう」ではなく、「どんなに苦しくつらかったんだろう」と考えられるようになった。
〇授業後に児童に出会わせる読本資料内容〔担任による指導〕
「広島の街に路面電車を走らせた女学生たちの話」「私たちの島根からきのこ雲は見えたのか」
を教師と共に読み、授業内容の理解の深化を図る。
〇発展的授業内容〔担任による指導〕
・「私たちの〇〇(例:学校等)は本当に暴力のない真の平和な状態だろうか」
・「私たちが取り組まなければならないことは何か」について意見交換する
〔授業3の意図〕
この授業では、広島方面へ修学旅行に出かける島根県内の子ども達に、ぜひ考えほしい学習課題「広島への原爆投下は私たちの島根の人々とどんな関係があったのだろうか?」という問いからスタートします。学習対象を被爆地・広島に限定するのではなく、つながりを意識した別視点からヒロシマの出来事を考えることをねらいとした授業です。
また、授業の最終部分では、一連の学習のまとめとして、「大切な3つのこと」を子ども達に伝えています。
①「もっと知る」「もっと考える」「もっと伝える」
② 戦争の時代に生まれた人々と今を生きる私たちと
③「平和」と反対の意味の言葉を考える
特に「③平和と反対の意味の言葉を考える」は、児童が座学から今後の行動(実践)へと学びを進める際の指針となる内容を含んでいます。平和と反対の意味の言葉を、「戦争」ではなく「暴力」ととらえ、自分達の現在の社会は「暴力のない真に平和な状態か?」と問うことで、その実現のために行動すべき内容を児童が自ら具体的に描くことをねらうものです。
これからの平和学習は、資料化された戦争体験者の体験や戦争遺跡からの学びを物差しとして、現在の生活の中に溶け込んでいる「平和な世の中の当たり前」を具体的に描き出すことを重視します。そして「一方向的な戦争体験の伝達」ではなく、「多様な世代による双方向の平和体験の共有」に基づき、それを未来に向け守り抜こうとする非戦のための学びが、すべての戦後世代に求められているのです。
【広島原爆ドーム】
