【平和について考える広島への旅②~被爆電車乗車体験に参加して】
 

 日本平和教育学会研究大会の翌日9月20日(日)は、「ピースループ653」の開催日でした。
 これは、被爆電車653号に乗車して市内を巡回できる体験会です。以前から乗車体験機会があることは知っていましたが、研究大会翌日に設定されていることを知り、事前参加申込みをしていたものでした。
 このツアーは8月から10月の指定休日に開催され、被爆電車として今も特別運行している電車に乗車し、原爆投下当時の広島の街について学びながら巡るツアーです。653号は1942(昭和17)年に製造された車両で、1945年8月6日に江波(広島市中区)付近で被爆大破しましたが、4か月後には復旧した車両です。被爆当時の車体色であった青色に塗装・復刻され、現在もイベント時などに運行されています。ツアーのコンセプトが次のように紹介されています。
「新たな玄関口である「広島駅」から、被爆当時の塗装に復刻した特別な被爆電車「653号」に乗車して、2026年3月開業の広島電鉄循環線を2周するルートを走りながら、広島市内中心部をガイドとともにめぐります。
 1周目で平和について考えるきっかけをご提供しながら、2周目で現在の広島の街の魅力も発信。県外からの観光客の方々に、広島の歴史と今に触れていただけるのはもちろんのこと、広島県内の皆様にも広島の新たな魅力を発見いただくきっかけをご提供いたします。」
 循環線一周が約40分。1周目は、4本の映像資料をタブレット視聴しつつガイド解説を聞き、当時の原爆投下による被害の状況等について学習しました。そして2周目は、現代の広島の街を紹介する解説を聞きながら巡りました。
 これまでにも、広島で路面電車に乗車した経験はありました。しかし、今回の被爆電車乗車体験では、車窓に映る現代の広島の街に、当時の「被爆の証」を重ねて映し出していくという不思議な感覚を体験することができました。広島の街を巡る途中の各所では、この被爆電車653号にスマホやカメラを向ける多くの市民や観光客、鉄道マニアの方々の姿がありました。
 念願だった貴重な体験ができた広島の旅2日目となりました。

 

【広島駅に入って来た被爆電車653号】

被爆電車653号、広島の旅


 

【平和について考える広島への旅①~日本平和教育学会研究大会に参加して】
 

 2026年9月19日(土)、広島大学東広島キャンパスを会場に、日本平和教育学会第1回研究大会が開催され参加しました。
 全国から大学の研究者を中心に約150名の参加がありました。全体会でのパネルディスカッション後半には、隣席4~5人グループでの協議の機会もあり、私以外は大学の研究者の皆さんでした。各府県における平和教育の取組や課題について情報交換する中で、島根県での平和学習の状況や本会の取組について紹介させていただきました。
 また、この学会の村上登司文会長へ直接ご挨拶をして、持参した本会の取組資料をお渡ししました。3年前に京都教育大学を通じて村上会長へ連絡を取らせていただき、平和学習の実践資料を送っていただいたお礼を直接お伝えすることもできました。
 研究大会に参加して感じたことを簡単に報告したいと思います。

〔報告①「平和」を創っていくための学術研究と教育実践の協働へ〕
 学会設立初年度の第1回目の研究大会であることから、小・中学校からの研究発表レポートも、附属学校での実践が主だったように思います。広汎な公立学校における平和学習の実践レベルを高めていく提言等はまだ少なく、トップランナーとしての大学研究者と附属学校教員、学部生が連携した授業実践報告が中心でした。これからの実践研究成果の広がりと、学術的な理論構築が期待されている部分が大きいと感じました。
〔報告②平和について考え、行動する児童生徒の育成〕
 「どのような戦争の事実を学ぶのか」の部分と、「平和について何を考えるのか」の部分、そして「平和のために何を実践するか」を含む幅広い単元指導計画モデルの提示が期待されるところです。今回の研究大会で語られた多くは、「戦争」ではなく「平和」についてでした。
 「平和」を考えるために何と出会い、何を学ぶのか。島根県内で展開されている平和学習実践において、一番課題とされるテーマが積極的に議論されていました。戦争の事実を学ぶことを手段として、平和について多様な視点から学んでいくことのできる学習指導計画の設計と、これからの平和教育に関する基本的な考えを学ぶ必要を強く感じました。
〔報告③「戦争体験の次世代への継承」サイクルを創る〕
 これまでの「戦争体験者を中心とする継承活動」から「次世代間による継承活動」へとシフトする中で、永続的な継承システムを構築する必要を強く感じました。個人的なボランティアガイドの取組だけに依存することなく、ガイド養成や語りの場の確保、関係機関との連携等、永続的な取組に必須である「組織(仕組み)」の早急な構築が必要です。
 研究発表では、地元大学が自治体や学校と連携し、学生ボランティアガイドを授業を通じて養成し、学校の平和学習へ派遣する大阪堺市の事例紹介がありました。やはり、ボランティアガイドとして期待されるのは、高校生・大学生の事例が多いようです。今回の研究大会に寄せられた研究発表レポートも、高校における研究実践が多くを占めていました。
 小学校の平和学習が、総合的な学習を中心に実施されている点から、各学校の若手から中堅教員に対して指導に必要なスキルを養成していくことが必要だと感じました。

〔全体感想「今・ここ・自分」を中心とする平和学習実践の蓄積を〕
 平和な時代しか知らない我々戦後世代が、平和教育に取り組む際の基点は「今・ここ・自分」です。今とこれからを生きる私たちが、日々の生活を営んでいる場所〔ここ〕であるふるさとで、自分自身とつながる視点から戦争の事実を知り、平和について考えていく。この学びを通じて変化させることのできる対象もまた、「今・ここ・自分」だからこその基点です。
 変えることのできない過去ではなく、過去と未来の接点である今のあり方をよりよい方向へ変えていく、それによってその先にある未来が形作られていきます。自分のいるこの場所から変化を起こしていく、自分の意識や行動を変えていくことで、大きな課題の解決に参画していける道筋が見えてくるとあらためて確認できました。

【研究大会会場の案内看板と全体会場入り口】

日本平和教育学会第1回研究大会の案内


 

【10月の平和学習出前授業等の実施予定】

〔2学期の広島方面への修学旅行の実施が集中する月に入ります〕
 多くの学校で2学期がスタートして1週間が経ちました。2学期の広島方面への修学旅行の実施が集中する10月が近づき、各学校とも事前学習がスタートしています。
 10月実施予定の授業等予定は次のとおりです。
 なお、まだ一部調整中の学校もあり、今後変更追加がある予定です。

 

〔注釈〕…

「〔PM〕」の記載ありは午後実施。記載のない日は午前実施。

ただし同一日に午前・午後両方実施の場合は「〔AM〕」も記載

【10月の出前授業実施予定】
1日(木)…

〔AM〕出雲市立長浜小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」

〔PM〕 出雲市立荒木小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」
2日(金)…

〔AM〕松江市立忌部小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」
〔PM〕 出雲市立今市小学校:現地見学②
5日(月)…

〔AM〕出雲市立灘分小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」
〔PM〕出雲市立出東小学校:授業「基地建設と空襲被害」
6日(火)…

〔AM〕雲南市立加茂小学校:授業「基地建設と空襲被害」
〔PM〕出雲市立荘原小学校:授業「基地建設と空襲被害」
8日(木)…

〔AM〕出雲市立神西小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」
〔PM〕松江市立法吉小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」
9日(金)…

〔AM〕出雲市立長浜小学校:授業「基地建設と空襲被害」
〔PM〕出雲市立朝陽小学校:現地見学
12日(月)…斐川町氷室2自治会高齢者サロン:「ふるさとにあった戦争」
13日(火)…出雲市立西野小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」〔PM〕
14日(水)…

〔AM〕出雲市立朝陽小学校:授業「ふりかえり」
〔PM〕出雲市立長浜小学校:現地見学
15日(木)…

〔AM〕出雲市立さくら小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」

〔PM〕 出雲市立荒木小学校:授業「基地建設と空襲被害」
19日(月)…出雲市立灘分小学校:授業「基地建設と空襲被害」
20日(火)…

〔AM〕出雲市立出東小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」

〔PM〕奥出雲町立横田小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」
21日(水)…出雲市立長浜小学校:授業「ヒロシマと島根との関係について考えよう」〔PM〕
27日(火)…出雲市立平田小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」
28日(水)…出雲市立荘原小学校:現地見学①〔PM〕
29日(木)…出雲市立塩冶小学校:授業「戦争の時代に生きた子ども達の体験」〔PM〕

30日(金)…奥出雲町立横田小学校:授業「基地建設と空襲被害」〔PM〕

  
児童向けの出前授業だけでなく、先生方向けの模擬授業形式による研修会にも対応しています。

 まず実際に授業を体験していただき、授業内容や教育的効果等についてご確認・ご検討いただければと思います。
 ご希望やご質問等は、本会の次のメールアドレスまでお知らせいただければ、対応させていただきます。

    【本会メールアドレス】pieceofpeace2023※gmail.com
 「※」を「@」に換えて送信してください。

 【6月1日ブログはこちらから】

      平和学習授業 | PIECE of PEACE 島根教師の会