リハビリに行くための送迎車を待っていた
この日は曇っていて今にも雨が降りそうだった
植え込みの陰にさざんかの花びらが落ちていて
そして主張していた
落ちてもわたしは綺麗だと・・・
実際このどんよりの空気の中では浮いた存在だ
わたしも花びらに伝えた
「 もう終わったのね でもとても綺麗よ 」
送迎車がリハビリ施設に着いた
新しい利用者さんがきてはった
ご挨拶
「 わたくし 96歳 」
「 有料老人ホームにいます 」
とてもおしゃれさんやなぁとそのとき思った
椅子に座るとわたしに向かって
「 おいくつ? 」
さっそくおいでなすったわ
「 みなさんと同じくらいです 」
「 それじゃ 昭和一桁生まれ? 」
わたしはもうちょっとで椅子から転げ落ちるところやった
綺麗なアメジストのブローチ
洋服も高級感あり
「 わたくしはなんでも高島屋で買いますの 」
「 コーディネートもしています 」
ゲッ!
お顔にしわも少ない
「 一週間に一度パックしてますの 」
ゲッ!
よく見たら
眉もかいてアイシャドウもしている
「 ブラもちゃんとつけていますわよ 」
ゲッ
そして更に極めつけ
「 でもね 最近歩くのが少し不自由なの
どうしたらいいかしら 」
「 杖を使いはったらいかがですか 」
「 オホホ それじゃまるでおばあさんでしょう! 」
ゲッ
わたしは服はユニクロ
そしてときには娘のお古
お化粧はしない
( がんの手術のとき全部捨てた )
大きな声では言えぬがブラもつけていない
( これも全部捨てた )
あはは〜
肌襦袢 ももひき 腹巻き 着用
せやけど・・・こころは花模様
せやけどね
この日リハから帰って娘におねだりしてん
「 あのな 悪いけどブラ買うてきてえな〜 」
「 ふうん スーパーのんでええやろぅ 」
・・・・・・・・
チ~ン
すぅ
ありがとう❤
感謝