私も皆さんも日本に住んでいれば、誰しもが経験するであろうこと、それは買い物の際のレジ通過でしょう。
他の国ではマイクロチップ埋め込みや生体認証などで店からただ持ち出すだけでクレジット決済で済むという最先端の方式もあるようですが、日本ではまだ、ほぼ見かけません。
大半がレジにいる店員に商品を渡し、支払いを行います。
ここにもやはり数、算数、数学は潜んでいるものです。
代金の支払いだろうと思いますか。
確かにそれも正解ですね。
お釣りを少なくする。
後の食事会のために万札を崩しておく。
その時々の理由により様々な払い方があるでしょう。
ただ今回話す内容はそれとは違います。
それは、スーパーでよく見受けられるレジを切った商品のカゴからカゴへの入れ替えです。
新しい一週間の買い出し等でカゴいっぱいに買ったことが一度や二度ではないはずです。
そんなカゴの中の商品は潰さないように下に重いもの、上に軽いものといったように入れ替えつつレジへ持って行くことでしょう。
さてここから、店員の数学が出来るかどうかの力が問われてきます。
つまりどういうことかというと、空間認識力です。
同じ商品群を入れたカゴであっても、空間認識力の優れた店員とそうでない店員とでは、スピード、カゴへの商品の配置の仕方などで速さや違いが明確に表れます。
皆さんも、「その置き方じゃシュークリーム(もしくは卵など)が潰れちゃう」のようなヒヤリとした経験があるのではないでしょうか。
一方、空間認識力の優れた店員はそんなことはなく、キレイに整頓したかのようにカゴへの入れ替え作業が終わっているはずです。
この違いはどこから来るかといえば、空間認識の優劣からです。
空間認識が乏しい人はとりあえず一番上にある手前のものからとってカゴへ移していきますが、空間認識が優れた人は無意識にカゴの中のもの全てを大体把握して、隣のカゴに移した光景を思い浮かべることができ、どれからバーコードを読み取っていくかを判断しているのです。
では、どのようにすれば空間認識力が培われるかというと、経験の数に他ならないでしょう。
ただ、自分の子供に将来困ることのないように空間認識力を持って欲しいと思うのであれば、会話のなかに丸、三角などの図形の言葉を入れたりすることで頭の中でその形を思い浮かべるようにさせたりする方法があるようです。
他には積み木などの知育玩具によく触れさせることもいいでしょう。
レゴブロックも中々良いという話も聞きますが、大きいブロックや小さいブロック、特殊な形のブロックなど種類が多く、作ろうと思えばどんなものでも作れてしまう自由度の高さがあることから、逆に個人的にはオススメしません。
形状が制限された十数種類から数十種類程度のブロックのセットで試行錯誤しながら組み上げていく方が力がつくかと個人的には思っています。
(また、レゴは高いですよね。)
というわけで今回は身近なレジにも空間認識力が必要ですというお話でした。
数学者・サイエンストランスミッター
平間達也