ってコトで、いまだにボクは酸っぱいものが苦手です。
だから、酢の物なんか余程のことがない限り食べようとしない。
ゆで蟹を食べるときもカニ酢を使うのはほんのたまーにで、ほぐしたそのままを食べることが多い。
そんなボクが、人生2回目の「清水の舞台からの飛び降り」を決行したのは、小学校4年生のときだっただろうか。3年生だったかもしれない。
とにかく、そのころ。
年に一度、学芸会という行事があった。正しくは「学習発表会」という名称だったんだけど、ボクらはみんな「学芸会」と呼んでいた。なにも、日頃の学習の成果や研究テーマの披露をするワケじゃなく、「演劇」や「合奏」などを保護者を招いて披露するワケだから「学習発表会」よりも「学芸会」の方が的を射た・当を得た表現だと言えるよね。
その学芸会において、クラスをいくつかに分けた「班」ごとに何がしかの出し物をすることになっていて、ボクらの班は自主的にその出し物の練習を土曜日の午後に決行することになった。
当時の小学校は土曜日は毎週登校日となっており、ただし半ドンで給食はなし。午前中の授業が終わったら下校することになっていた。
その土曜日。ボクらは授業終了後の「帰りの会(ホームルームってヤツね)」を終えて、教室の一部に集まった。
と、恵子ちゃんがおもむろにカバンから包みを取り出し、包みを開き、フタを開けた。そこには俵型のおにぎりが入っていた。「みんな、食べよ。」
当初からそんなに長時間を要する練習の予定ではなかったので、ボクも含めて他のヤツらはお弁当など持ってきていない。
恵子ちゃんの「○○クン(ボクのことね)も食べる?」という声に促され、ボクは「うん、ありがと!」とおにぎりをひとつ手にとった。
恵子ちゃん。
活発で走るのが速く、少し浅黒い肌と長くも短くもないボブの黒髪。習字を習っていて字がうまく、勉強もできる。やや垂れ目ながらクリっとした目と、少し気の強そうな顔立ち。
あの頃、ボクは恵子ちゃんが好きだった。大好きだった。
その、大好きな恵子ちゃんにもらったおにぎり。
大喜びで、だが、それを気取られることのないように、ボクはそのおにぎりにパクついた。
手に残ったおにぎりに目を落とすと、そこには何やら紅い色が・・・。
!!!
<梅干しだっ!>
<あちゃー!梅干しが入っとる…。ワシ、梅干し嫌いなんじゃー…>
<でも、大好きな恵子ちゃんがくれたおにぎり。残すワケにはいかない、いや、残したくない!>
<えーい!ままよっ!(当時も、そんな言葉は知らなかったけど)>
ひゅ~ん(←清水の舞台から飛び降りる音)
ぱくっ!
紅の色を目にしてから2口目をほおばるまでに、どのくらいの時間を要しただろうか。覚えていない。
その梅干しに種があったのかなかったのか。覚えていない。
その後、どんな出し物の練習をしたのかも覚えていない。
いまだに梅干しは嫌い。
あれから30年が経とうとしている今なお、梅干しを目にするたびに、梅干しそのものの酸っぱさではなく<甘酸っぱい>記憶がボクのココロに蘇るのでした。