2016年初版、始めは実話怪談集かと思いスル-しようとしたのですが「岡本綺堂」の名前を見て手に取りました。あ、実話怪談集が悪いと言っているのではありません。ただ僕はメディアファクトリーの『新耳袋』を高く評価しており他書はどうも喰い足りないというだけの話です。
綺堂がトップバッターですが「停車場の少女」という短篇、実に語りがうまいのです。駅の雑踏のなかで見知らぬ少女から今別れてきたばかりの友人の死を告げられ、驚くものの少女を見失い急いで戻れば友人は死んでいたという話です。説明も謎解きも一切ありません。ただひたすら怖いだけです。
小泉八雲、泉鏡花、森鷗外、田中貢太郎と怪談の大御所が目白押しですが、いずれの書き手も語りが抜群にうまいです。普通の人に降りかかる災異は理不尽の一言につきますがそれがまた怖い。他のアンソロジーで読んだ作品が6割ほどでしたが「語り」の魅力で充分面白く読めました。近年のアンソロジーとしては優れたものの一つと思う次第です。
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