1994年初版、今回もまた既読の本からのご紹介です。時は1572年、舞台は新旧両教徒の争いに揺れるフランス、シャルル9世の御代ですが病弱な王に代わって王母カトリーヌ・ド・メディシスが実権を握っていました。

8月24日のサン・バルテルミーの大虐殺がひとつのヤマになる訳ですが、それに至る登場人物たちの動向も目が離せません。シャルル9世の妹マルゴは政略結婚でブルボン家のナヴァール王アンリに嫁ぐことが決められます。因みにナヴァールはピレネー山中の小王国で婚姻関係からブルボン家のものとなり、ブルボン家は200数十年前に王家から別れた名ばかりの親王家でしかもプロテスタントでした。

ただ王母の気がかりは3人の王子が揃って病弱で子が無く、このままでは男系主義からブルボン家に王位が移ってしまいかねないことでした。王母は陰謀を巡らします。婚約者という名目でアンリをルーヴル宮に軟禁しやがては無きものに!アンリは知恵を絞りマルゴと「同盟関係」を結ぶことに成功します。ですがこれではすみません。マルゴを溺愛するシャルル9世が絡んでくるのです。

サン・バルテルミーの日、プロテスタント虐殺の命を降した王はアンリに狂ったように詰めよります。「死か、ミサか、バスティーユか?!」ミサは改宗、バスティーユは投獄を意味します。アンリは絶体絶命の機知でこの場を切りぬけることができるのでしょうか?

かの大デュマの傑作を面白評伝の鹿島茂先生が編訳した本です。面白くなかろうはずがありません。また、同じテーマを扱った本にメリメの『シャルル9世年代記』があります(岩波文庫)。どちらも自信を持ってお勧めできます。

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