1993年初版、軍国プロイセンを一代で造り上げた王フリードリヒ2世の評伝です。スタンダールの『パルムの僧院』でモスカ伯爵が政敵のコンティ将軍のことを「戦争に2回しか行かないのにフレデリック大王を気取っている変な男です」と評するくだりがあります。それほどにヨーロッパの将軍たちから崇拝されていたのです。ホーエンツォレルン家のドイツ帝国が1871年に出現してからはその傾向はますます募りました。ご承知の通り同家はプロイセン王家だったからです。その悪しき影響を受けた人に後のヒトラーがいます。

本書は「大王伝説」を極力排して素顔のフリードリヒ2世像を追い求めた好著です。何しろ「戦争は博打」フリードリヒを「思い切りのよい冒険家」と言うのですから痛快であります。事実、七年戦争では思い込みによる見通しがことごとくハズレ、ベルリン陥落の瀬戸際に追い詰められる(一説には死を覚悟したとも)のですが折よくロシアのエリザヴェータ女帝がなくなり、跡継ぎの甥ピョートル3世が熱烈なフリードリヒのファンだったため単独講和をしてくれ危うい命を助かったというのは有名な話です。

本書は戦争ばかりでなくロココ人としてのフリードリヒの生活にも多くのページを割いています。なかなか一筋縄では行かない複雑な性格をもった人物のようです。

本日もお付き合い下さりありがとうございます。