四十九日 (大滝菜々美) | 劇潜サブマリンBLOG

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毎度ディープブルーな作品づくりをしております。
我々と一緒に心の深海に潜りましょう。素潜りで。


大滝です!

今日は、私の祖父の話をさせて下さい。
(飛ばしてもいいので、最後の方の画像の文だけでも読んで頂けたら嬉しいです!)




今日は、母方の祖父の四十九日です。


母の実家は、みかん農家で他にも米や野菜を作っていました。
が、祖父母の年齢とともに手入れが大変な蜜柑からキウイへと移行し、蜜柑は、数年前に食べることが出来なくなりました。
大好きな世界一美味しい蜜柑🍊

…自慢の蜜柑でした。



二人は雰囲気もやさしくて、まさに日本昔話に出てくるような良き夫婦。
やさしいお爺ちゃんとお婆ちゃん。

10年前に金婚式をみんなで騒がしく楽しく祝い、今年の2月はダイヤモンド婚でした。



しかし、
2017年6月にパーキンソン病と診断をうけ、
2018年5月末には脳腫瘍が見つかり、
2019年5月10日、ホスピスへ転院。



私は丁度本番前の稽古期間中。
悩んで悩んで…生きてるうちにと思い、会いに福岡へ帰りました。


骨と皮だけの枯れ木のようになっていたおじいちゃん。
もう何かを口にすることも、動くことも喋ることも出来ない状態。
しかし、目が動かせずともしっかりと見つめているのが分かりました。
気持ちは伝わっている気がしました。



父母、兄たち、自分の死。
大切な人達や、ましてやすれ違う人々の死でさえ敏感に感じ、『死』に対しずっと思考を巡らせ、怖くて仕方がない期間でした。



福岡に居た1週間は、いとこ夫婦も含め大勢で病室に集い、金婚式の映像を見、楽しい奇跡のような日々でした。

金婚式では、父のギターに合わせて、私はカントリーロードを歌いました。
当時は恥ずかしくて、それからも金婚式の映像は一度も観ていませんでした。

そこに映っていたものは、
皆がテーブルを囲んで食事をしてるなか、
祖父だけが椅子ごと私へ向けて静かに聴いている背中でした。
涙をぬぐっている仕草もありました。


そんな風にして聴いてくれていたなんて、知りませんでした。



入院してからずっと、
「家に帰りたい」と言っていたおじいちゃん。

後悔したくない。
そう思い、改めて録音し、
東京へ戻る前夜、祖父の耳元で聞かせました。


祖父は静かに涙を流してました。




次の日、5月25日。


東京へ戻る帰り道、
「亡くなった」と連絡がありました。

祖母の「種まき、終わったよ」を聞き、
眠るように亡くなったそうです。


まさに、自然と共に生きたおじいちゃん。


母は物書きではありませんが、そんな祖父のことを書いたエッセイを応募したら…
なんと地元の新聞に掲載され、賞もとったとのこと。


これらだけでも読んで頂きたい。











享年85歳。

あれから月日が経ちました。
日々の中でふと思い出します。


この道をずっといけば
故郷に続いてるのかなぁ、と。




そして、そこには





…もう、いないんだなぁ…。








じーちゃん




夢でもいいから会いたいです。









では、潜水。