私小説作家の極北などと、だいそれた題にしてみたのだが、そもそも、極北という意味もよくわかっていない。
ただ、ちょっと、なんだかかなり重たい気分で、じゃあ、こんな気分の時、ちょっと手にとって読んでみたい小説は、なんだろうと思って、手に取ってみたのが、ブックオフで100円で買った葛西善蔵と嘉村磯多の日本文学全集の一冊だった。
それで、今読みたいと思ったのは嘉村磯多ではなく、葛西善蔵の方で、とりあえず、『湖畔手記』という小説を読み始めた。
ああ、いい。なんていいんだろう、と冒頭の部分を読んで、そう感じた。
私小説というのは、日本独自の小説形式で……、世界的に見たら、小説ではない、というような意見もあるのだろうけれども、やはり、いいものはいいのだ。
そして、太宰でもなく、安吾でもなく、阿部昭でもなく、やはり、なんと言っても葛西善蔵なのだ。
私小説作家の極北、研ぎ澄まされ、暴力的でありながら、繊細で、非常に透きとおった冷たい水のような作家。それが、葛西善蔵だ。