『Beethoven ハンマークラヴィーア』 リヒテル | ジョリのブログ

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 もしベートーヴェンのピアノソナタが、29番で終わっていたとしても、ほとんどベートーヴェンのピアノ・ソナタ全体の価値が変わっていなかったのではないかと思えるほど、『ハンマークラヴィーア』は、すごい曲だ。



 以下、11月2日の、ポリーニの感想です。むちゃくちゃ長いのでクラシックに興味がない人は、退屈かもしれません。

 簡単に11月2日のポリーニの感想を言うと、ポリーニは、けっこう調子が良かったんじゃないかと思う。とりあえず、10月23日よりも、調子が良かった気がする。
 
 ミスタッチかなと思える箇所も、いくつかあった。絶頂期のポリーニと比較するならば、もうポリーニはダメになったという、ネット上にありそうな意見に納得する人もいるかもしれない。だが、個人的な意見を言わせてもらえれば、そもそも体調不良で延期にしたポリーニが、実際に日本に来て、僕たちの目の前で弾いてくれて、生の音を聴くことができたということだけで、うれしかった。
 ポリーニが、上手にピアノを弾くことを期待して聴きにいったわけではない。ポリーニのピアノが奏でる精神性を感じるために行ったわけだ。その意味で、今回の演奏も満足のいくものだった。

 もしリヒテルやリパッティ、サムソン・フランソワ、ルドルフ・ゼルキンみたいな、歴史に名を残すピアニストが生き返って、サントリー・ホールで弾いてくれるなんてことがあったとしたならば、ポリーニじゃなくて、そっちに行きたいと思うかもしれない。が、今、自分が生きているこの時代にはポリーニしかいない。
 2012年という今、この時代に、ポリーニの絶頂期に比する技巧と、リヒテルのような情念を持ち合わせた、とんでもないピアニストが誕生したとしても、自分にとって本当に聴いてみたいと思うピアニストはポリーニしかいない、ということを再確認した一日だった。

 あとはベートーヴェンについても、また考えさせられた。ベートーヴェンは頭が狂っていた。あれだけの曲を創りだしたというのは、どれだけ、人生が苦悩だらけだったことか。そんなことを思った。

 人生のすべてを音楽に費やした作曲家の曲を、人生のほとんどすべてをピアノに捧げたポリーニが弾いてくれた。まさに、すばらしいひとときだった。 
 
 ただ感動という点でいうと、何年か前のオールショパンプログラムには負ける。あれは名演中の名演だった気がする。選曲そのものもすごかったし、会場の熱気もすごかった。次から次へと観客の方が驚くほどやってくれたアンコールもすごかった。あのときはS席のピアノ前のあたりに座って聴いていたが、とにかくポリーニと聴衆がひとつとなって、熱狂の渦になったような感じだった。

 できることならば、またショパンを弾く、ポリーニを聴いてみたい。アンコールでショパンをやってくれないかと、ちらりと思ったが、そんなわけはなかった。あくまでも今回はベートーヴェン。アンコールもベートーヴェンだった。

 ところで演奏の合間の、休憩時間の20分に、アンコールで本当に聴きたいのは何かと考えた。ショパンもいいが、シューベルト。シューベルトの後期ピアノソナタを聴いてみたいと思った。
 
 たしか、こんどルプーが21番を弾く。ルプーだって文句なしの素晴らしいピアニストだ。だが、やはりポリーニで聴いてみたい。
 
 まだ終わってないが、また違う曲目で、来日してほしいと思った。
 
 あと予定があって行けないが、7日のハンマークラヴィアー、本当に聴きたい。NHK様、ぜひ放送をお願いします。