「雪国」ははじめ、ピンと来なかった。
シンメトリーに構成された曲順の中心に位置するこの曲に、どれだけの林檎女史の意味合いがあるのだろうか?とずっと思っていた。
しかし、ここ最近「雪国」を聴いて、その考えはあっさりと払拭されることになる。
「雪国」はきわめてヘヴィである。
もはや、希望や夢やそういったものを思い切り弾圧してしまう世界観がここにある。
それは、しんしんと降り積もる雪のように、冷たく痛い。
椎名林檎の唄声のド迫力がすさまじい。もはや、エモーションなどという域のものではない。
声そのものが感情であり、声自体が鋭利な生命体なのである。
生きているうちに、こういう衝撃的な唄声にめぐり合えたのは実に幸福なことである。
また、それだけヘヴィな唄声を出せる椎名林檎に脱帽である。
「女が待てば男は黙る
溶け出したなら急いでほら
忘れてしまえ
男は殺すのさ
早く立て
凍えてしまわぬように」
この曲の歌詞もまたきわめてヘヴィだ。
しかし、それがここ「殺す」という単語が出ているからだとか、そういうわけではないのだ。
ここにあるのは、衝撃的なまでの<事実>である。
男と女という生命体の決定的な違いである。
ここにあるのは、<恋愛>という枠で語られているものではない。
椎名林檎は、この唄を「女」の唄として唄っているのである。
生命体としての根本的な差や、<女>という生命そのものの感情部分を唄っているのである。
男や女という性が起こす摩擦、それによる憤り、悲しみ、諦め。
椎名林檎は、そこに<恋愛>という匂いを付け足したのだろう。
全くもって驚異的である。
椎名林檎の、唄い手としての衝撃的なまでのポテンシャル(歌手生活をずっと続けていながらも、未だに彼女は<唄い手>としての高すぎるスキルを完璧なまでに見せてしてくれる!)や、
<女>という存在が起こすエネルギーの深さを改めて教え込む一曲である。





