府中・京王線沿線の家庭教師、戸田朝海です。
自分を愛する力(講談社現代新書):乙武洋匡
「五体不満足」の乙武さんが、子育てに関する本を出版されたと聞いて、早速購入してみました。
実際には子育てだけの話ではなかったのですが、乙武さんを育てたご両親のお話や、学校の先生から受けたご指導のお話。そして、乙武さんご自身が教員としてクラスを担任なさったときのご経験と、そこから得た教育観と指導に対する考え方。最後に、二人の息子さんの子育てに関する話です。
この本で、一貫して書かれているのが「自己肯定感」というテーマ。
「自己肯定感」とは、読んで字の如く、自分を肯定する感覚のことです。
この本では、手足がないという「超個性的」な身体に生まれた乙武さんが、いかにして自己肯定感を育んできたのか、そして、自分が自分らしく力を発揮するために、自己肯定感を持つことが、いかに大切であるか、余すところなく語られています。
「ほめる教育」「ほめる指導」「ほめる子育て」と、何度も耳にしたことがおありかと思いますが、これを読むと、なぜ子育てに「ほめる」ことが大事なのか、その理由がわかりますよ。
ほめる指導とは、単におだてることを指さないこと。
「厳しさ」は、優しさの中に含まれていること。
こうした「ほめ」と指導の本質が示されています。
何より共感したのは、以下のフレーズ。
教育とは、「何をしてあげたか」が重要なのではない。子供たちが「どう成長したか」が重要なのだ。
本当にそう思います。
私が教育関係者だと言うと、時々「今の子どもにはあれが足りない、これが足りない。もっとこういうことを教えるべきだ」みたいなことを、言われることがあります。
でもね、自分側が「教えたい教えたい」では、ただの独りよがりだと思うのです。
それは子ども達に必要なのか。それを子どもたちがどう受け取り、どう活かすのか。大事なのはそこだと思うんですよね。
教育において、主体は常に「子ども」側。これは、私が常に信じている教育理念でもあります。
そしてそして、この本の第二のテーマと言ってもいい
「みんなちがって、みんないい」
というメッセージ。
金子みすずさんの詩からの引用ですね。
この言葉もとても素敵ですが、私はこの本を読んで、
子ども達は、一人一人が皆 special だ!
と思いましたよ。
前にブログでちょろっとお話しましたけど、個性は一人一人違う。個性の小さい子も大きい子もいる。でも、一人一人を見れば、全員、ちょっとずつでも皆違います。
違いは「優劣」ではない。
と、私は前の記事で言いましたが、こう考えてもいいかも。
全員がそれぞれ特別なんだ。
全員が、皆 special なものを持って生まれてきたんだ、と思ったら、他の子と比べなくてもよくなりますよね。
これは、それぞれみんな素晴らしいって意味でもありますけど、それぞれが「別個」である、という意味でもあります。
それぞれみんな違う。みんな別々なんだから、比べなくたっていい。
改めて、そう思いました。
教育者の方も、子育て中の方も、子どもと携わる方には、ぜひ読んでいただきたい本です。
巻末の、泉谷閑示さんとの対談も、合わせて読むとより深い理解が得られますよ。

