2013年3月期中に、パナソニックが
トヨタやホンダや新日鉄住金などの株式の一部を売却する
ことが分かったそうです。
売却額は1000億円にもなるとのことですね。
紙面を見るとわかりますが、
トヨタ・ホンダ・新日鉄住金の株式は、
取引安定化のために所有していた株式ですので、
いわゆる「持ち合い株」にあたります。
この持ち合い株の売却によって得た資金は、
大半が有利子負債の返済に充てられる見込みです。
【基礎知識】========================
・持ち合い株
お互いの取引関係を長期間にわたって安定的に維持するため、
それぞれが取得した相手の株式のこと。
お互いに株主になるので、経営意思決定に参加することが
でき、当初の取引関係に基づく信頼を損なうような
行動がとれなくなり、現在の関係が将来的にも維持されやすい。
互いの信用を損ねてしまうことから、
短期的に売却する予定がないため、
貸借対照表の資産に表示する際には、
固定資産のところに「投資有価証券」という科目名で
記載する。
なお、決算日時点の評価額は、情報を利用する投資家の
情報ニーズにこたえるため、時価による。
・有利子負債
利払を伴う負債のこと。
具体的には借入金、社債およびコマーシャル・ペーパーから
構成されるのが通常である。
なお、コマーシャル・ペーパーを発行している会社は多くないので、
多くの企業は借入金と社債の合計となる。
有利子負債が多いということは、金融機関などから
運転資本・設備資本に必要な資金の不足があるための
資金依存が多いということにつながる。
つまり、株主から預かっている自己資本では足りない部分が
多いため、将来の返済負担が多くなるのが
有利負債が多い場合の問題点である。
有利子負債から手許資金(現金預金、短期で処分できる有価証券)
を引いたものを実質借金といい、これがゼロならば、
実質無借金であるという。
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簡単な計算例で見ていきましょう。
当期首に、次のような貸借対照表があったとします。
******当期首の貸借対照表(単位:万円)
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現金預金*****0|借入金******1000
:*********|資本金*******700
投資有価証券1700|利益剰余金*******0
(原価※)
※投資有価証券は、決算日時点では公表用に時価で評価するが、
翌日(翌期首)から次の年度の決算日の前日まで(364日間)は、
もともと売るつもりがないため、原価での評価に戻す。
このような評価の仕方を「洗い替え法」という。
借入金1000万円を返済するために、
投資有価証券の一部、すなわち原価700万円の分を
売却することにしました。売却時の時価は1000万円です。
******売却時の貸借対照表(単位:万円)
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現金預金**1000|借入金******1000
:*********|資本金*******700
投資有価証券1000|利益剰余金*****300
※仕訳例
(借方)現金預金1000(貸方)投資有価証券700
**************利益剰余金300
つぎに、売却代金1000万円を用いて、借入金1000万円を
返済しました。
******返済時の貸借対照表(単位:万円)
-------------------------
現金預金*****0|借入金*********0
:*********|資本金*******700
投資有価証券1000|利益剰余金*****300
※仕訳例
(借方)借入金1000(貸方)現金預金1000
このようにして、手持ちの投資有価証券を700減らし、
それを1000で売却して、借金の返済に充てることで、
返済時の貸借対照表を有利子負債ゼロの状態にでき、
貸借対照表がすっきりしましたね。
ここでの投資有価証券に含まれている株式が、
新聞記事でいうところの「持ち合い株」だったわけです。
有利子負債を早めに削減することで、それに伴う
将来の金利の支払いを節約できますし、定期的な
元本の返済額も減らすことができるので、次期以降の
運転資金の確保が楽になることが予想されます。
昨今の株価上昇を背景として、投資有価証券の売却が
バランスシート(貸借対照表)の改善に役立つと判断
したのでしょう。
パナソニックの財務戦略の一端がうかがえる
時事ニュースでした。
柴山政行