共通点は、
「今後、百年の国民生活を脅かす重大な政策転換を、
十分な事前検証なしに実行しようとする政府の行動」
しかし、相違点は、
「原発再開にはデモが起き、消費増税にはデモが起きない」
これを、「あたりまえじゃん」の一言でかたずけていては、
いつまでたってもニュースを大所高所から見る力は
つかないと思います。
どっちも、国家存亡にすら係わる重大決議なのです。
じつはこれ、両者の違いを説明するひとつのヒントが
あるのです。
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今、わたしの手もとに、書店では売られていませんが、
特に中小事業者の経営者向けに売られている
広告宣伝文の専門書籍があります。
題して「現代広告の心理技術101」(ダイレクト出版)
(※書店では一般に売っていませんし、一般書の倍くらい高いです
が、非常に中身の濃い本です。中小企業経営者などで、いわゆる
ダイレクト・レスポンス・マーケティングを研究したい方などには、
お勧めの本です。ネットで検索すれば、出てくると思いますよ。)
チラシやパンフレット、新聞などの広告文を
書くにあたって、より読者からの反応を
大きくするためのコピーライティングテクニック
などが盛りだくさんの専門書です。
いいかえれば、「人は、どんな言葉に感情を揺さぶられるか」
ということをテーマにして、徹底的に研究された
本なのですね。
その中で、著者のドルー・エリック・ホイットマン氏は、
「人間には8つの欲求が生物学的にプログラムされている」
と指摘しています。
これは、もう本能レベルの欲求なので、
この欲求に真に訴えかけた文章から、人々が目をそらすこは
難しい、とされています。
それは、もともと無意識に備わっている生物学的な
本能にあらがうことになるからです。
ぜんぶで8つあるのですが(LF8と名付けられています)、
この本のポイントのひとつなので、必要な範囲で部分的なご紹介に
とどめます。
1番目は、
「生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。」
3番目は、
「恐怖、痛み、危険を逃れたい。」
7番目は、
「愛する人を気遣いたい、守りたい。」
です。(同著 p29より引用)
これらの本能的な欲求がもしも呼び起こされたら、
それは理屈抜きで人が積極的に行動する誘因となります。
「生き残りをかけて」、
「恐怖、痛み、危険から必死に逃げて」、
「自分の親子兄弟、夫婦などを守るために」、
時として自らの身をなげうって
行動を起こすのではないでしょうか。
「原発再稼働」とは、そういう3つの本能的な欲求を
まともに刺激する政府からの国民に対する挑戦状と
なってしまったのです。
だから、「事前検証をろくにせず、安全対策に対する
説明、準備が不十分」だと人々が悟った瞬間、
あれほどの大規模な集団行動に発展したのですね。
インターネットだのフェイスブックだのは、
たんに「ツール」の問題で、そこに本質はありません。
どうも、この時のコメントは、ネットがどうとか言っていますが、
それは「枝葉」です。
そして、同著では、こうも言っています。
以上の8つの生物学的に抗えない欲求とは別に、
よく広告主が勘違いするアピールポイントのターゲットにする
「欲求」があります。
もちろん、上記のLF8以外にも欲求は存在しますが、
それは後天的欲求(二次的な欲求)とよばれ、
そこに働きかけようとすると、効果はLF8にはたらきかける
場合にくらべ、遠く及ばないと断じています。
私もこの意見に賛成です。
代表的なものとして、9つがあげられていますが、
本メルマガのテーマに関連するものに限定してご紹介すると、
「情報がほしい」
「節約し、利益を得たい」
の2つでしょう。
情報を手に入れたい、という欲求は、先ほど申し上げた
LF8に比べると、生物学的に脳の奥底にプログラムされた
というほどではないですね。
また、利益を得たい、節約したい、という欲求も、
生き延びたいとか長生きしたいとか危険を避けたいとか
愛する人を守りたいなどと言った欲求に比べると、
やはりそうとうインパクトが落ちます。
利益が減っても、長生きはできるかもしれないですし、
べつに身体的な激痛をすぐに感じる家わけではないです。
そして、「消費増税」は、なんと後天的な欲求の部類に
はいるトピックだったのですね。
(つづく)