約束の面接は、電話があってから2日後の昼過ぎでした。
「どうも、はじめまして、所長で税理士の〇〇です。僕の隣にいるのは、副所長で人事を担当している××です」
「柴山と申します。よろしくお願いします」
ひとしきり、初対面のあいさつが終わると、さっそく所長さんが切り出してきました。
「履歴書を拝見すると、監査法人に5年近くお勤めだった、ということですが、お仕事は主に監査業務の補助をなされていたのですか?」
「はい。そのとおりです」
「そうですか。監査業務の過程で、法人税の申告書を扱うことなどはあるのでしょうか」
「ええ、決算業務の監査を行うさいに、会社で作成した申告書を見て、計算過程をチェックすることはあります」
「なるほど…実は、うちのお得意さんでも、ある程度の規模の株式会社が結構あるので、そういった面では、大企業の税務を見られていた、というのは好都合ですね」
そう言うと、所長さんは、ゆっくりとお茶を口に運びました。
そのとき、いちどは、これはいいかも、という感触を得たのですが…
「ところでですね」
私が書いた履歴書の資格欄を見ながら、おもむろに所長さんの口が開きました。
「柴山さんの経歴を見ると、公認会計士の資格が記載されていないのですが、試験はお受けにならなかったのですか?」
きたか、と思いました。
(つづく)