さて、それでは次に、現金預金の項目を担当する、会計士補Eさんの監査手続を例にとって、簡単に監査業務の内容を見ていきましょう。
現金預金のような財産項目については、監査を行う上で、次の3つが重要なポイントとなります(わたしが監査の現場にいた当時の状況の一例ですので、現在がかならずしもこのとおりではないことをご了承ください)。
1.会社の帳簿に書かれている現金の残高は、本当に「実在」するか?
2.会社の入金取引は、「正しく」帳簿に記録されているか?
3.会社の出勤取引は、「正しく」帳簿に記帳されているか?
1. のようなポイントを資産の「実在性」といいます。
2. や3.のようなポイントを記録の「正確性」といいます。
Eさんはまず、会社の経理担当者から、前月における1ヵ月の全ての取引を集計した「試算表」という表のコピーをもらいます。
上記の中で、「借方(かりかた)」というのは、ここでは現金・預金の入金取引と考えておいて下さい。したがって、右どなりの「貸方(かしかた)」は、現金・預金の出金取引となります。
<10月における1ヶ月間の現金の動き>
月初40,000+入金合計300,000-出金合計250,000=月末90,000
⇒ 10月の末日現在で、金庫の中に現金が90,000円あった。
そこで、さっき挙げた監査の3つのポイントを一度思い出してみましょう。
1. 10月31日現在の現金90,000円は、実在するか? (実在性)
2. 入金額300,000円は、取引を正しく記録したものか? (正確性)
3. 出金額250,000円は、取引を正しく記録したものか? (正確性)
実在性というのは、通常、決算日(1年の最後の日)現在における財産が実際にあるかという点が重要になるので、これは3月31日などの決算日に確かめにくることが原則となります。
以前、わたしが1年の途中で監査を行った時は、2.と3.の「正確性」を重点的に検証することが多かったです。
(次の記事では、出金記録の正確性に関するチェックのやり方について、具体例をご紹介しましょう。)
