みんなは、なぜかその「パーフェクトな点数の優秀解答」をいっしょうけんめい覚えていました。
しかし、私はそれに非常な違和感を覚えました。
「そんな、全受験生の一番にしか書けない答案って、いくら覚えても平凡な自分の頭脳じゃ、本番で再現できないじゃない。同じ問題が本番で出るわけないんだから…」
だったら、現実的に、実現可能な「60点前後の答案」で、いろいろなパターンを見て慣れた方が得です。
当時の専門学校では、前回の採点答案は、試験の科目と回数ごとに分類されて、廊下の一角の引き出し(100個くらい引き出しが設置されているスペースがあったんです)から各自持って行っていたのですね。
この方式の場合、同じ回の他人の答案も見れます。
私はある時、自分が52点しかとれなかった回の答案と、偶然その下にある60点ちょうどの答案を比較して気づきました。
文章で答える問題で、答案のキーワードとおぼしきところに○がついており、その○の数かける一定の点数で、合計点が付いていました。
たとえば、その回は、単純に○が一個あたり2点だったようで、私は○の数が26個で52点でしたが、その下にあった60点の答案は、きっちり○の数が30個ありました。
これにショックを受けたのです。
「なんだよ。合格点と8点も差があると思ったら、たった○4つ分しかちがわないじゃないか。もうちょっと、基本的な用語の意味(=定義)とか、理由の説明をしっかりしていたら、すぐに60点に手が届くのかも!」
そう思ってから、私は戦略を転換しました。
具体的には、55点前後(あと一歩の答案)、60点(ぎりぎり合格)、65点前後(比較的余裕)の3パターンの答案を各回で見つけ、近くのコピー機でコピーをして、コレクションしていたのです。今から20年近く前のことです。
それと自分の答案を比較してみると、優秀答案や模範解答のような「きれいな答案」では想像もつかなかった、「合格への最短距離」が見えてくるのです。
これは、相当に目からうろこでした。
だから、専門学校や塾の実力テストなどで、参考答案をコピーして配るなら、優秀答案なんてものはいらないから、「ボーダーライン答案」と、「○があと1~2個(あるいは2~5点くらい)足りない答案」を配った方が、ぜったいに受験生のためになります。
自分の実力と本当に合格に必要な最低限の知識との距離感をつかむには、「ボーダーラインの受験生の答案」こそが、最高の教材なのです。
これは、今でも最強の実践的学習法の一つであると、信じています。