今の政治家にこそ必要か?「複式簿記」の基礎知識…(本日のメルマガ記事) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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本日7/28(木)の日経3面に、復興増税に関する民主党内の

混迷ぶりを表す興味深い記事が出ていました。

よかったらご一読なさってみて下さい。

記事からわかる状況は次の通りです。

民主党が東日本大震災からの本格的な復興策を盛り込む

政府の復興基本方針を巡る党内討議に入りましたが、

管内閣が考えている今後5年間で10兆円の臨時増税に

対する反対論が相次いでいるというものです。

いちおう、「政策決定内閣一元化」を前提としている民主党と

しては、自民党時代のような与党内の政策決定への権限の強さ

(政務調査会の存在)はそれほどないと思われているのですが、

それでもこれだけ政党内で強い反発などがあると、今後の法案

成立などに影響が出るだろうな、という気がするわけです。

ここで、注意すべきは民主党内での議論の方向性です。


複式簿記の原理で言うと、なんらかの「支出」をするには

それなりの資金が必要になります。

(借方)○○○費100億円(貸方)現金預金100億円

簿記のルールで、右側の(貸方)という欄に現金預金の名称を

記入するときは、「貸方⇒出し方」とうことで、お金が出る

ことを意味します。

費用が左にあれば、右に現金の支出がある、という感じですね。

仮に復興費用10兆円が今後何年間で必要になる、ということなら

とうぜんそれに見合った現金がなければなりません。

(借方)復興費用10兆円(貸方)現金預金10兆円

しかし、そのお金も、どこからか魔法のように「ポン!」と

とつぜん降って湧いてくるわけではありません。

誰かの懐から持ってこなければならないわけです。

そんなとき、複式簿記の原理では、大きく三つの調達方法が

考えられます。

1.誰かから出資を受ける(オーナーになってもらう)

(借方)現金預金10兆円(貸方)資本金10兆円

2.自分で稼ぐ(必死に働いて、稼ぐ)

(借方)現金預金10兆円(貸方)利益10兆円

3.誰かから借りる

(借方)現金預金10兆円(貸方)借入金10兆円


このうち、3.誰かから借りる方法による財源を、

「負債(ふさい)」と呼びますね。

これは、一時的な支払の猶予であって、実は

将来の利益で返済しなければなりません。

3-2.将来、借りた金を返す

(借方)現金預金10兆円(貸方)利益10兆円

(借方)借入金10兆円(貸方)現金預金10兆円

将来の利益を生むのは誰でしょう?

…はい、わかりましたね。

わたしたち国民一人一人が汗水たらして稼ぐ利益です。

つまり、上記2.の自分で稼ぐ、というところのポイント

は、「政府の役人や政治家がみずから商売をして稼いだ利益」

ではなく、「国民が商売をして稼いだ利益から税収として

吸い上げたもの(=政府の税収)」なのです。

でも、考えてみて下さい。

年単位では90兆からの支払があるのに、収入はわずか40兆、

したがって公債発行は税収以上になっているという現状で、

将来の借金返済に回す利益=税収があるとは到底思えません。

これは、キッズBOKIをやっていない小学生でも

分かる理屈ですよね。

これが企業なら、まずやるべきはコストカットです。

実は、財源を探すという行為の裏には、「コストカットは後」

という意識が働いています。

将来の財源はどう見ても枯渇しつつあるのに、

「歳出は増やしたい!」←これは民主党の賛成・反対いずれも同意

ということです。

じゃあ、何が議論として割れているのか、それは…

「財源は増税で」…政府方針

VS

「いやいや、財源は公債発行で」…党内反対派


中小企業の経営者から見ると、「何やってんねん、あんたがたは…」

という感じです。

会社が傾くから、さっさとコストカットやりなさいよ、

というごくごくシンプルな話です。

これができないのは、政治・官僚を含めた全体の体質の問題。

だから、日本株式会社は、会社という観点で財務分析すると

「なかなかヤバい」状況なんです。

それでも世界からの信用は意外にあるのはなぜでしょう。

「1億2千万人という国民の忍耐強さと勤勉さ」が担保になっている

からだと私は思っています。

その国民の資質という担保を政府は過大評価、あるいは過度に

楽観視しているように私には思えます。

そのうち、担保割れを起こしますよ、きっと…。

そうなったときに政治は国民を助けません。

だから、私たち国民は、今からでも遅くないですから、入門レベルの

経済と会計の数字的な知識・センスを身につけておくことが必要最小限

の個人防衛手段になると思うのですね。

私が、会計教育を柴山会計グループで行っている根底の理念は

ここにあります。

「身の回りの人たちの、会計・経済に関する数字的な知的水準を

少しでも高めて、『自分の頭で資産防衛できる個人の育成』をする!」

という理念ですね。

知らないということは、時として人生を大きく踏み外す元凶となります。

少なくとも、複式簿記の基本原理に関する知識と見識は、これから経済の

立て直しを急務とされている為政者の方々には、ぜひしっかりと

身につけていただきたい、と心から願うばかりです。



関連サイト http://bokikaikei.net