教育に関連するニュースをお届けしています。
今日お届けするのは、部活動の民間委託に関する記事です。
学校の業務多忙化を改善するために、部活動の指導を減らそうと思ったら、民間委託するしかないというのが、理屈としては納得のいく流れです。
それに、一部の部活に熱心すぎる先生を除けば、ただの素人が教えている現状があったわけですから、それをプロや専門家に委ねるのも筋の通った話でしょう。
しかし、単純に全てを民間委託して、素直に「今より良くなるか」は、かなり疑問の残るところです。
とりあえず、記事内で最も気になったのは「会費」の扱いです。
これまでは部費として徴収されていたわけですが、それに追加で徴収することになるというのは、子育て家庭の負担軽減が課題となっている中、逆行するような話ですよね。
仮にそこまで有料化するなら、部活動への参加も完全に自由選択制にすべき・・・となるわけですが、果たしてそこはどうなるのでしょうか。
個別の学校や教育委員会が義務化したり、自由と言いつつ、実質的には強制という雰囲気が作られたりしたら、それこそ今より悪くなりかねません。
反対に、完全自由選択制で有料化するなら、最初から入りたい生徒が好きなクラブや団体に所属すれば良いわけで、部活動という体を残す意味があるのかどうかという議論も必要でしょう。
また、民間のスポーツ団体との連携はうまくいくのかという疑問もあります。
今でも、部活動に熱心すぎて、授業やテストに悪影響を及ぼす事例が多々あるわけですが、それが今後はどうなるのでしょう。
学校の先生の手を離れたから、部活動はあくまでも二の次となり、勉強のほうに子供を集中させようとするのか。
民間のスポーツ団体からすれば、学校の勉強など正直言って二の次ですから、今よりもさらに熱心に部活動をさせるケースが出てくるのか。
部活動の練習や試合と、学校行事などとの兼ね合いもややこしいところで、両者の間でうまく調整ができるのか、はたまた、せめぎ合いのようなことが起こるのか。
対象はあくまでも「土日祝日の部活動」のようで、平日はうまくいった地域が先に移行を進めるというような扱いのようだが、休日と平日の活動内容との連携はうまく取れるのか。
休日と平日の活動内容との連携や整合性がうまく取れたとしても、新たに学校の先生が外部のコーチや講師と定期的に連絡を取るという余計な業務が増えるのではないか。
ついでに、休日指導も希望する教員が民間スポーツ団体と個別に契約して報酬を受け取れる規定の整備も進めるということですが、学校との利益相反が発生したらどうするのか。
民間スポーツ団体が「善意の団体・指導者」という前提になっていますが、公務員として守られた学校でさえ非良心的な存在が多数いるわけで、それよりもさらに非良心的な団体・指導者が出たらどうするのか。
そもそも、現状ただでさえ学校教師の適格性が問題になっているのに、部活動のコーチや講師の適格性までどうやって担保・確保するのか。
疑問点と言うより、つっこみどころや将来の不安点が多すぎて、何とも心配にさせられます。
今回の議論は、どうも「学校の先生が大変だから・・・」というのがベースになっている気がしますが、本来最優先で考えるべきは「子供たちにとってどうか」のはずですよね。
仮に、上と同じ問題が生じることになるとしても、議論のスタート地点やベース部分が「教師の業務軽減」と「子供の教育環境向上」にあるのとでは、全く話が違ってくるはずです。
それに、部活動については、そもそも「熱心すぎる一部の顧問や部活動と、学校勉強とのせめぎ合い」のような、重大な問題がいくつもあったわけですからね。
そういった今ある問題をある程度でも解決してから、話を先に進めるべきなのに、そこには手をつけないまま(既存のまずいシステムは維持したまま)外部とつなげるというのは、どうにも浅慮に思えてなりません。
個人的には、初心に立ち返って「運動の機会確保」「チームワークを学ぶ場」「クラスや勉強以外の居場所づくり」あたりを目的に、一部の小学校でしている(た)ような、体育の延長程度の軽いクラブ活動のような形にしてしまったほうが良いような気もしますが・・・激変すぎて現場の先生が受け入れないでしょうね(苦笑)
果たして、今後どうなるのか。
引き続き見守っていきたいと思います。
「楠木塾 メール会員のご案内」
メールセミナーや教育相談など各種無料特典が満載です。
匿名でお気軽にご利用くださいませ。
~無料メールセミナーの例~
◇ 反抗期の対応法 ~中学生の親の心得~
◇ 成績アップの扉を開くミニセミナー
※配信セミナーは時期により異なります。
【 ブログで学ぶ 】
「ブログの歩き方」
重要記事を手軽に学べるブログ内ツアーや、
過去の人気記事ランキングをご用意しています。
疑問の点は、よくあるご質問をご覧くださいませ。
【 楠木塾 正会員 】
上記は全て無料でご利用いただけます。
公開に適さない内容については、
「楠木塾 正会員」にてお届けしています。