今日お届けするのは、大学入試に関する記事です。
文部科学省は25日、国立大82校と公立大87校の平成30年度入試の概要を公表した。書類や面接などによるアドミッション・オフィス(AO)入試を実施するのは全体で前年度より6校増の85校、推薦入試が2校増の162校で、いずれも過去最多となった。
国立大では、北海道大が入学後に学部を決める「総合入試」の文系と理系で、新たにAO入試を導入。九州大は、30年4月に新設する共創学部で推薦入試を取り入れる。
公立大では、横浜市立大が新設するデータサイエンス学部でAOと推薦入試の両方を実施する。
全体の募集人員は671人増の12万5591人。内訳は国立大が121人減の9万5327人、公立大が792人増の3万264人だった。
引用元:AO、推薦が過去最多 来年度の国公立大入試 (2017.10.25)
大学入試改革の中で、今のAO・推薦入試には問題があるという指摘があったばかりですが、真逆に進んでいるようです。
これは大学側だけの問題ではなくて、そもそも大学入試改革で示された中身が、AO・推薦入試を見直すと言っておきながら、実際はむしろ現状を肯定してさらに広げていくような内容になっているせいもあります。
具体的には、AO・推薦入試でも学科試験を課すようにしたわけですが、その縛りがかなり緩めである一方で、一般入試のほうでは学科試験以外の選抜方法を課すようにしたため、両者の中身が近づいていくという方向性です。
全ての入試が今の一般入試とAO・推薦入試を合わせたような形になることを思い描いているようにも見えますが、それもはっきり言っておらず、結局は3タイプとも名前を変えて残ることが決まっています。(このあたりは少し前のメールマガジンで詳述したとおりです)
そして、先々そういう動きがあるのなら、各大学がそれを先取りする形でますます加速するのは自然なわけで、このあたり本当にぐだぐだですね(苦笑)
いずれにせよ、こういう流れになってくると、AO・推薦入試が広がる傾向は止まらなさそうです。結果的にこれからの高校生は、今で言うAO・推薦入試を意識した受験対策と、一般入試を意識した受験対策の両方が求められることになりそうです。そういう意味では、今以上に戦略的な準備をした生徒のほうが有利になりそうですね。
ただ、こうした流れを別の視点で見ると、現状の受験でも学校だけではまともに教えきれていないのに、さらに教える内容を増やしてますます学校だけでは足りない状況にし、塾にお金をかけないと不利になる環境が作られていると言っても良いでしょう。奨学金やら幼児教育やら、家庭の収入格差による学力格差が問題になっている中、何とも矛盾した筋の悪さを感じますね。
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