私だけが一生懸命で子供との間に温度差がありうまくいくわけがありません | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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 改善策の前に現状の問題点から見ていくわけですが、その点については「私だけが一生懸命で子供との間に温度差がありうまくいくわけがありません」と、お母様の中でもすでに答えは出ておられるようですね。

 メッセージからも、お母様のとても一生懸命なご様子が伝わってくる一方で、お子さんのやる気の無い様子も伝わってきて、完全に「空回り」の言葉がふさわしい状態になってしまっているようです。

 自転車のタイヤとペダルを思い浮かべてみてください。普通の自転車であれば、頑張ってペダルをこいだだけタイヤも回転します。ところが、チェーンが外れてしまっている状態でどれだけ頑張ってこいでも、ペダルが高速回転するだけで、タイヤは1ミリも動きません。熱心な親(先生)と、やる気の無い生徒との関係はこれに似ています。

 こうした状態に陥ると、かなり多くの親(先生)は焦ってしまい、「ペダルをもっと早くこぐ」ことをします。つまり、子供に強い言葉で勉強しろと言い、教材を与えて指示を出しては、いろいろやらせようとするわけです。しかし、肝心のチェーンの掛け違えを直さなければ、どれだけ頑張っても効果は上がりません。

 そこで、チェーンの掛け違えを無くそうと、「もっと効果のある勉強法や教材は無いか」「子供をやる気にさせる魔法のような言葉のかけ方は無いか」などと探すわけですが、もちろんそれもうまくはいきません。これらは結局のところ「ペダルのこぎ方」を工夫しているに過ぎず、チェーンの掛け違えを直すことにはならないからですね。

 親(先生)と子供の間の掛け違いの要因はいくつかあるわけですが、今回のような場合はかなりの確率で、チェーンならぬ「心」の掛け違いです。子供は子供で「親(先生)がうるさい。自分の気持ちを分かってくれない」と思い、親は親で「子供がやらない。子供のためを思って言っているのに分かろうとしない」と思っています。これでは、永遠に噛み合うことはありません。

 「何かでスイッチが入るのでは」と思って、様々な教育サービスを試したことも書かれていました。確かに、そういった「ツール」を変えることでうまくいく子供もいるにはいます。しかし、「チャレンジ・学研・秀英予備校・マナビックス・家庭教師・塾・・・色々試しました」については、「自分で取り組める子」や「それなりに勉強のできる子」であればうまくいく可能性はあるかもしれませんが、「勉強嫌いで、苦手意識の強い生徒」には不向きなものばかりです。

 もちろん、家庭教師や塾の場合は、お子さんに合わせた指導をしてくれる先生と巡り会えれば良いわけですが、多くの親御さんが悩まれているようにそれはとても難しいことです。少なくとも、こういった手当たり次第に近い試し方をするご家庭では、よほどの幸運に恵まれない限り見つかることはありません。

 この点については、まさに「何を与えても本人が必要としないので本人変わらずです。」とすでに書かれておいでのとおりです。そして、改善策もこのとおりで、すなわち「本人に必要にさせてから与える」ようにしなければならないわけですね。

 また、教材を与えてからの手立てについても、「教材ではなく本人のやる気次第とわかってます。」とすでに書かれておいでのとおりです。やる気が無いのですから、与えて「やりなさい」で何とかなるはずが無く、そこは「やる気にさせる」か「やる気が無くても行動させる」ための何らかの工夫や仕掛けが欠かせません。

 もちろん、それをするのは本来教師の役目です。ただ、親御さんが家庭で教える場合も、「口出しする」と決めたからには、適切な関わり方を心がけねばなりません。しかし、現実にはそこの覚悟無しに、安易に勉強に口出しして、状態を余計に悪くしてしまう親御さんが多いですから、メールセミナー「反抗期の対応法」などの中でも、親が勉強に口出しすることをあまりお奨めしていないわけです。

(これはつまり、「口出ししなくても良くなる」と言う意味では無くて、「反抗期の子供に、親が安易に口出ししても悪くなることの方が多くて危険ですから、口出しするならば、ちゃんと覚悟や準備をしてからにしてください」と言う思いも込めてのことなのですね)


 これをお読みのほとんどの親御さんも、「教材では無く、本人のやる気次第だ」「何を与えても、本人が必要としなければ意味が無い」などの「理屈」や「理想」は分かっておられると思います。しかし、それを実際に行動に移すのは難しく、教材を与える前にやる気を引き出すことも、本人に必要とさせることもできていませんよね。

 こうしたことはまさに「頭で分かっていても、実行に移すのが難しいこと」の典型例だと思います。

 そして、多くの勉強が苦手なお子さんも「勉強したほうが良い」「成績は良ければそれに越したことは無い」と分かっていても、行動に移せないわけです。ある意味で、似ているとは思いませんか?

 ただ、ここで理屈や理想を実践できないことを非難するつもりは毛頭もございません。そもそも、「やる気の無い子供をやる気にさせる」ことは、多くのプロでもできていないことですから、一般の親御さんに求めるのは無理があるでしょう。

 だからこそ、その無理を生徒たちにも求めないでほしいのです。

 勉強はできた方が良いに決まっていますし、嫌いになるよりも好きになった方が良いに決まっています。テストも良い点がとれた方が良いですし、テスト前も頑張って勉強したほうが良いに決まっています。決まっていても、それを行動に移すまでには、大きな段差があるものです。その大きな大きな段差を、ほんの少しずつでも登れるようにしてあげるのが、親(先生)に求められるサポートなのですね。


 「そうあるべき」はもちろんなのですが、そうしようと思ってもできない側の気持ちに立ってあげることで、はじめてチェーンがかかり、前に進めることができるようになるものです。まずは心構えのようなものとして、心の片隅に置いておいていただければ幸いです。


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