見守るだけで本当によいのか? | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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「素行の悪い子を中3から受け入れる塾の経営方針に不安を感じます」
 



 新メールセミナーでもお届けしていますが、お子さんのサポートにはバランスが必要です。

 今までご家庭で口うるさく言っていたとすると、それをやめれば厳しさが無くなります。しかし、単純に「厳しさを取り除く」だけではバランスが崩れてしまいますから、必ずどこかで別の厳しさを補わなければなりません。
 そのやり方はいろいろあるわけですが、一般的には、塾に厳しくしてもらうのが、簡単に実現しやすい選択肢となります。今までは「親が厳しくて塾が優しい」状態だったことになりますが、それもおかしな話で、高いお金をいただいているのですから、嫌われ役(下手な厳しさは嫌われますが、適切な厳しさは嫌われませんよ)は塾が引き受けるべきです。

 また、私が良く言うように、生徒に自立させるのも選択肢の1つです。ちなみに、自立した状態とは、すなわち「生徒が自分自身に厳しくなる」ことを意味します。親が厳しくしない分を、生徒の内面で補わせるのですね。
 これは、自分で自分を甘やかすような子供とは正反対で、多くの親御さんが望む姿だと思います。ただ、これは私が良く言う「自立的に学び」だけでは不十分で、精神的な自立も含みますから、その実現を意図的にやろうとするのは、とても高度で大変なことであるのは言うまでもありません。


 「腹を割って志望校を聞く」ことができたのは素晴らしいですね。それがなかなか難しいのが現実ですから、そこに踏み込めたのはとても良いことだと思います。
 こうして一歩目が踏み込めると、次の一歩も受け入れてくれやすくなりますから、継続的により深い話ができるようになっていきます。もちろん、一歩踏み込んだだけで満足して終わってしまうと意味が薄いですから、継続的な関わりを大事にしてくださいね。

 そして、本音を引き出すと、問題点が明らかになりますよね。今回は、志望校について楽観的な勘違いがあるようですから(笑)、まずはそこを正してあげることです。
 この時期の子供は、根拠の無い自信を持つものですから、基本的には自分で体験する中で気づかせるようにすべきですが、重要なことや緊急なことは適宜外から修正をしてあげることも必要です。
 ただ、それを親が指摘しても見直そうとはなかなかしません。ですから、学校か塾の先生に言ってもらってください。進路に関する話ですから、どちらもしっかり話してもらって当然ですから、一切の遠慮はいりません。投げやりになってしまわない程度に、今の厳しい現状をしっかりと突きつけてもらって、気合を入れ直してもらいましょう(笑)

 今までかなり細かいことまで口出ししていたのをぐっと我慢し、お父様の協力も取りつけるなど、お母様自らが一生懸命に変わろうとされているのですよね。その姿勢には、本当に頭が下がります。
 人が変わるのは時間がかかるものですが、お父様も変化をされてきたのですね。そして、進路に関する父子の会話が持てているのも素晴らしいと思います。まさにそうした積み重ねの先に、気づけば「いつの間にかこんなに変わっていた」という状態につながりますから、これからもたとえ小さくとも、1つ1つ積み上げていってくださいね。


 そして、最後の「見守るだけで本当によいのか?」は、もちろん「No!」です。

 何もしないでただ見守るだけでいるのは、見守りでは無くて「放置、放任」です。そんな「無責任な見守り」は、自分の都合のために建前を振りかざす大人や、大義名分を振りかざす儲け主義の塾と同じですよね。そうしたものは、真っ先に子供から見透かされるか、直感的に拒絶されます。

 しかし、今まで書いてきたように、お母様もとても頑張られていると思います。口出しをこらえながらも、今できるサポートを懸命に探っておいでです。これは正確には、「見守るだけ」では無くて、「支援もしている」と言えるでしょう。

 もちろん、すべきサポートの形は生徒の成長段階に応じて次々と変わっていきます。また、望みが大きければ大きいほど、そのために必要な適切なサポートは質、量ともに大きくなり、する側の親の方にも工夫や努力が求められます。
 特に、口出し、手出しを多くしてきた関わり方から、そうで無い関わり方に変えるのは大変ですから、壁にぶつかり、思い悩むことも多いでしょう。特に、成績についてはもう1段階下がる可能性もありますから、もしその気配があるようならば、勉強法の中身についても気にかけてあげる必要があるでしょう。
 手をかけるのでは無く、目をかけることを心がけて、これからも頑張ってくださいね。