親が口出ししないことで、サボり癖がついたのか? | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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「素行の悪い子を中3から受け入れる塾の経営方針に不安を感じます」
 



(2)サボり癖がついたのか

 これはいただいたメッセージの中からだけでは判断ができないため、お子さんを見てもいない以上いい加減な事は申し上げられません。
 どういう形であれ抑圧されてきた生徒は、抑圧が解けるとしばらくは気が抜けたようになりますから、そのままだらけてしまい、実際にサボり癖がついてしまう生徒もいます。一方で、気の抜けた期間が「充電期間」で、充電が完了した途端に頑張り始める生徒もいます。そして、どちらになるかは外見からだけでは見分けがつかないと思います。もちろん、どちらになるかで、今後の適切な関わり方も180度変わりますから、それを見極めた後で、状況に合わせた適切な対応を心がけたいですね。

 なお、どちらに転ぶかは「どういう抑圧のしかたをしてきたか」の影響が大きいです。抑圧のされ方が、「やった、これで自由だ。これからは何もやらないぞ」と思わせるものだったか、「やった、これで自由だ。これからは自分のやり方でやるぞ」と思わせるものだったかで、子供の気持ちが分岐するわけですね。

(もちろん、中には明確に定まっていない生徒もいて、その場合は充電期間になるように促すような関わり方が有効です)


 そして、いつも申し上げているように、「口うるさかった親御さんが、いきなり口うるさく言うのをやめると、短期的には確実に成績が下がる」ものです。これは、よほどの手を打たない限りは、ほぼ確実に避けられないことですから、今回については「下がってしまいました」と言われても、「もちろん、それはそうですよね」と返答するよりございません(笑)

 さらに、今回は修学旅行に絡む特殊事情もあったわけですから、仮に口うるさく言っていても「やらなかった」のでは無いでしょうか?

 勉強以前の精神状態からして悪いわけですから、私なら「どちらにしても、相当うまくやらないと下がって当然だ」と、テストの結果が出る前の段階から想定します。そして、「どうすればこのビハインドを取り戻せるか?」と考えて、手を打つわけですね。つまり、「口出しを続けるかやめるか」の選択の問題では無くて、どちらを選択しようとも、もう一歩踏み込んだ対策なり関わり方なりが要求されていたわけです。

 しかし、親子関係があまりにまずいご家庭では、修学旅行云々の話はそもそも親の耳に入りません。今回は前もって危険の芽を察知できていたわけですから、その点だけでも親御さんとしての務めの第一歩は確実に果たしていると思います。
 そして、おそらくお母様の中で「今回は口うるさく言わないほうが良い」と判断し、それによって(テストの点はともかく)お子さんの精神がさらに不安定になって、荒れ狂うような状態は避けられたわけですよね。
 ちゃんと危険を察知して、それに対処できているわけですから、総じて良い対応だったと思います。

 ただ、そこでさらに「成績も上がってほしかった」「せめて今までどおり維持してほしかった」と欲張る場合は、それに応じて話も変わってきます。(望むものが大きければ、求められる努力やコストも大きくなるのは当然ですよね)
 「口を出さない」と、「全てを生徒に任せる」とは、似ているようで全く異なります。口を出さなくても密なサポートは必要なわけで、全てを任せるだけでいきなり成績が上がるような幸せな例は数少ないです。そうなる生徒は、そういう素養があるわけで、特に今まで強く口出しをしてきたのであれば、手を離す際にはより一層の慎重さが求められます。

(今まで放し飼いにしていた鳥を野に放つのと、鳥かごから出したことの無い鳥を野に放つのとでは、同じはずがありませんよね?)

 今回のように、「命令口調を控え、全く勉強しなさいとは言わず、「大事だよ」だけ言えば、はっと気づいて取り組む場面があったので」の関わり方は、とても良いと思います。ただ、これは「勉強をスタートさせる」部分における関わりだけで、他の事には手が打てて無いですよね。そして、今まで親や教師が関わっていた部分を、お子さんに1人でやらせれば当然「質」は下がりますから、それが成績に反映されることも覚悟する必要があります。

 個人的には、本人に反省の機会として捉えさせ、「次からは頑張る」と思わせるように持っていけるなら、それはそれで良い形だと思います。ただ、どうしても下げたくない場合には、「口を出さなくても勉強の質を下げない」ような工夫や段取りが必要になるわけですね。


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