先取り学習によくある勘違い | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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「先取り学習は、やらないよりはやったほうが良いのでは?」

「先取り学習をすれば、英才教育になるのでは?」

 

 先取り学習に関するこういったあたりの話は、昔からよく議論される重要テーマですね。

 しかし、先取り学習をさせる際に、心得ておいてほしいことが1つあります。


 それは「効果が無くなっても文句を言わないなら、どんどんやって良い」です。
 「効果が無いのにやる人がいるのか?」というのはありますけれども(笑)

 先取り学習については大きな誤解が1つあります。
 それは「先取りしても、センスや本質的な能力が伸びるわけではない」ことです。早いうちから始めればどんどん伸びる・・・と考える気持ちは分かります。ところが、実際はそう簡単なものではありません。

 例えば、プロスポーツがそうですよね。
 小さい頃から英才教育を施せば、一流のプロスポーツ選手になれる・・・かと言えば、必ずしもそうではありません。卓球の福原さんや平野さん、ゴルフの遼くんなど、確かにそういう成功例は何人もいます。

 しかし、途中で断念していった人たちがそれこそ山のようにいるのです。
 

 早く始めることは「才能を見つけ、育てる」ことにはとても有効で、特にスポーツや芸術の世界では英才教育がとても有効です。しかしそれは「もともと才能を秘めている」から見つかるわけで、「もともと才能がない子に才能を芽生えさせる」ものでは決してありません。
 早く始めれば誰でも成功できる・・・という甘いものでは無いのです。

 勉強はスポーツや芸術の世界と比べれば、まだやさしい世界です。才能が無くても努力でかなり挽回できますからね。
 勉強の場合は、早く始めればそれだけ「積み重ね」や「勉強量」が多くなるため、その意味では有利です。
 しかし、早く始めることがイコール才能を磨くことになるとは限りません。早く始めても途中で休憩すれば、うさぎとカメのように追いつかれてしまいますし、サボらなくてもある時期(主に中学後半から高校くらい)が来れば自然と追いつかれてしまうのが宿命です。

 それに、早く始めても磨き方が間違っていれば、伸びるはずの才能も伸びません。それどころか、悪い方に磨かれてしまうこともありますしね。

 最近「ヨコミネ式」がよく報道されていましたが、あれもそうですね。
 あそこに通っている間は劇的な変化をして、とても同じ年代の子供とは思えないような成長をします。しかし小学校に進むと、いつの間にか普通の子供に逆戻りです。
 おそらく、小学校でも同様の方式で指導すれば、その効果は先まで伸びるでしょう。しかし、それを中学、高校、大学と伸ばしたからと言って、超有能な人間ばかりが育つ・・・ということはありません。
 先取りすることで伸びる能力や感性はありますが、先取りすることで犠牲になる能力や感性もあります。人にはその年代ごとに適した成長というものがあり、また個々の生徒ごとに適した成長期と成長の志向性というものがあります。

 人を教育すると言うのは、植物を促成栽培するようにはいかないものなのですね。

 横峯氏が言うような「精神的に強くなる」などの内面の成長についてまで否定するつもりはありませんよ。しかし、表面上の能力的な部分については、先取りの効果はほとんどの生徒で次第に消えてなくなるのが普通なのです。

 先取り学習はただ単に先に進むだけであって、子供の根本的な力や素質を伸ばすとは限りません。
 もちろん、そういった素質を持った生徒なら、先取り学習をきっかけにどんどん伸びていきますが、そういった素質を持たない生徒のほうが圧倒的に多いのを忘れてはいけません。
 だからこそ、最初に「効果が無くなっても文句を言わないなら、どんどんやって良い」と書いたわけですね。

 先取りで才能が花開く生徒がごく一部いますから、子供が嫌がってさえいなければ、それに賭けてみるのは自由です。
 しかし、あくまでも「ごく一部」ですから、時間 がたって効果がなくなっても「むしろそれが当たり前なんだな」と思って素直に諦めてください。
 決して「子供に才能が無かった・・・」と落ち込んだり、子供を責めるようなことをしてはいけません。

 なお、小学生が私立中学入試をする際には、先取り学習は多くの場合で効果的だと思います。
 上にも書いたように、ある時期(主に中学後半から高校くらい)が来れば自然と追いつかれてしまうものですが、逆に言うとそれまでは先取り学習をしているほうが有利な場合が多いです。
(いつもでは無いですよ。先取りをすることで犠牲になることが存在するのも上に書きましたね)

 ですから、私立中学入試に向けて幼児教育なども「上手にやれば」一定の効果はあるでしょう。上手にやらずにひどい結果になってしまった例もたくさん見ているため、安易に奨めることは絶対にしませんよ(笑)
 ただし、それが大人になって役立つかといえば、また別問題だということは忘れないでください。
 先取りが必ずプラスになることばかりでないことは付け加えておきます。

 そして、中学生以降では、先取りはそこまで大きな効果は無いです。
 もちろん好きでするのは全然構いませんよ。例えば、「英語が大好きな生徒が英検の上の級をどんどん受けている」「数学が得意で、すでに大学への数学を読んでいる」というようなのは、モチベーションや自信アップにもつながるため、どんどんやってもらって良いと思います。
 しかし、親や教師が主導で「学力アップのために」「能力向上のために」と言って、意図的に先取りをしまくるのはあまり意味が無いですね。

 ただし、先のことを習っているというのは、一部の生徒にとってはそれだけでモチベーションアップにつながる面があるため、そういうモチベーションスキルの1つとして利用する分には大いにやってもらって良いと思います。
 ただ、くれぐれもバランス感覚は大切にしてくださいね。


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