結論から言うと
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2011/10/17/01.html
(1)測定(特に下限値)については少し判らない点がありました。

(2)測定結果は(恐らくですが)特に新しい知見があるとは感じませんでした。

(3)番組の主旨は内部被曝のリスクを根拠無く過小評価しており適切ではないと感じました。


以下に理由を書きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<測定に関する疑問点>
・測定に使ったサンプルの重量は?
 (検出限界の0.3Bq/kgを「測れる」と放送した様ですがそれは正しいですか?)

・水分の除去は?、調理法の違いは?、地元産(新米)のおよその割合は?
 (他地域との比較として適切ですか?)

・なぜ福島市でなく郡山市ですか?伊達市や南相馬市で無く須賀川ですか?


をNHKに電話して聞いてみましたが、
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
「放送の内容以外については回答しかねますが、メール、FAX、お手紙で御意見として
 頂ければ、担当者の判断で回答する場合もあります」
との事でしたので、以下に私の想像の範囲で番組の内容を追ってみます。


①福島市や伊達市でなく、郡山や(地下水に染みこむのはまだ先なので)須賀川以下では
 農産物は概ね10~100Bq/kgの範囲に入ると予想されます。(新米の比率によりますが)
 平均的に20Bq/kg程度と仮定し、調理でさらに半減すると想定します。
 http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i20#17
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ

 更にサンプル容器に採取する時に水分を切ると汁に溶け出すセシウムは除去されます。
 郡山より低い地域を選べば、全国殆どの地域で5Bq/kg程度以下のサンプルになると
 思われます。(汚染食材が選択的に集中する給食や外食産業は恐らくもっと悪いですが)


②首都大に聞いてみないと判りませんが、番組では恐らく直径5cm×高さ5cmの
 小さい方のサンプル容器を使っていたようでした。ゲルマでの標準的な測定精度は
 下記の程度。この7ヶ月間の「測れvsイヤ測れない」の議論はおおよそこの水準
 でなされてきたと思います。
 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No24.pdf
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ

 性能や条件によりますが「定量できる」下限としては一時間の測定で10Bq/kgの程度で、
 二時間に延長しても核種あたり7Bq/kg程度。例えば福島県のコメの検査はこの程度で
 行われているものと想像します。(8時間測定でも3.5Bq/kg程度という感じ?)

④あさいちのデータの詳細も公開されています。首都大では二時間測定で3~5Bq/kgの
 「定量(検出限界はその10分の1)」までは頑張っているとの主張ですが、例えば、
 4.5±0.5[Bq/kg]の場合は検出限界以下と評価し「0(ゼロ)Bq/kg」と表示している
 様に見えます。(逆に4.0±0.3[Bq/kg]の場合は「定量」されます。)
 http://www.nhk.or.jp/asaichi/2011/10/17/images/04.pdf

つまり
・サンプル場所や測定手法を選び、
・あえて24時間測定をせずに定量限界をそこそこなレベルに設定すれば、
見たくないものを見ずにすむ「ヤミ鍋方式」の特徴が顕著に出ていると考えます。


今回の番組で私が確認できたのは、
・調理法によっては恐らく有意に(言われている様に半減か、もしかするとそれ以上)
 セシウムを除去できる可能性があることを示唆していること、

・汚染食材は着実に拡がりつつあり、
 「関東~東北の1000万人×10[Bq/日]」の汚染から、
 「流通を通じ、全国1億人×1[Bq/日]」の状態になりつつある懸念を感じました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上、測定自体は番組を見なくてもだいたいの顛末が予想できましたが、

・サンプル数が少ないとは言え、郡山と須賀川はちょっと低い感じがする。のと、

・東京で気を使って食材を選ぶ主婦を、
 「神経質で思慮が足らず、ムダに騒ぎ立てる風評被害の温床である」かの様な、
 番組の流れになっていることは不適切だったと感じます。


・また「原発事故前の日常食中のセシウム量は?」という視聴者への回答は
 不正確だったと思いますので、水準調査の結果を添付しておきます。
 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/08/soukatsu_lib/h20_suijun.pdf
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①横浜市の調査で側溝やマンション屋上の堆積泥から原発由来のストロンチウムが検出されました。
下記資料は横浜在住の一般の方が民間の検査会社に依頼した屋上の泥の検査報告書です。
(報告書ではSr90となっていますが分析法から考えて恐らくSr89とSr90の合算だと
 思われます。また両者の比率は10月現在およそ1:1と推定されます)
http://www.radio-isotope.jp/tech/Tech_Sr_remark.html
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同じ泥を横浜市でも調査しました。フリージャーナリストの岩上氏によると
「セシウムが、10万5600Bq/kg検出されたサンプルからは、ストロンチウムが236Bq/kg検出された。」
との事です。

②さらに、横浜アリーナ付近と市内の道路側溝の調査でも下記資料の様にストロンチウムが
 検出されています。
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これらのサンプルは雨水などにより周辺から泥が集まった場所から採取されました。
値が高いのはいろいろな条件により増幅されたからですが、問題はセシウムとの比です。

③保安院が6月に解析を行った1~3号機のストロンチウムとセシウムの大気への放出比と
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/20110606-1nisa.pdf
今回の横浜市の測定結果と比べました。Sr89は半減期50日ですので減衰を考慮しています。
横浜市が行ったマンション屋上のデータはセシウム合計しか情報がありませんので、
周辺のセシウム134と137の比率からCs137は全体の約54%と仮定しています。
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④Sr(89+90)/Cs137比が小さい事と(格納容器が破損した)2号機が「だだ漏れ」な事から、
 ・横浜のストロンチウムも2号機由来で、
 ・セシウム比が素直に0.5%程度の範囲が遠方の横浜まで拡がってる。
 とも考えられます。その場合「どこでも0.5%」ですし、まだマシだとも言えます。
 が、横浜の検出値は逆にストロンチウムの比率が低すぎる様にも感じます。

⑤つまり3号機の影響がなさ過ぎる?様に見えます。これは「良い事」でしょうか?
 関東地方(特に横浜)は3月15日と21日の降下が主成分なはずです。
 定時降下物のモニタリング(平成23年3月)
 http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_by_prefecture_fallout/2011/03/index.html

 原研WSPEEDIによる降下物の概況
 http://nsed.jaea.go.jp/fukushima/data/20110906.pdf
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しかも保安院の放出核種比の解析は3月18日頃までの試算であり、
21日の放出比がどうだったのか?はイマイチ判りません。が、
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⑥炉心パラメータから考えても21日の降下物には3号機の混入が考えられます。
 圧力容器は表示上100気圧を超える値を出し、温度も400℃を超えています。
 「東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所プラントデータについて」
 における操作実績の訂正について
 http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/06/230613-2-1.pdf

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 2号機がだだ漏れな事はその段階でも変わりませんので平均的には1.6%ぐらいの
 「白こしょう」ぐらいかもしれません。が、それに21日の三号機由来の「黒こしょう」
 が10%でも含まれれば東京~横浜方面では2~3%はあってもおかしくありません。
 http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-430.html
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⑦遠方まで移動する過程がセシウムと違うのか?、
 化合物の水への溶け具合に差があるのか?
 もしくはホコリや泥へ吸着する度合いが違うのか?
 それとも3号機からの放出割合が変わったのか?
 いろいろと判りませんが横浜ぐらいまで移動する間にストロンチウムが減っていたすれば、
 逆に茨城県ぐらいの近距離では横浜よりも黒こしょうの比率が高い可能性があります。

 ストロンチウムの農作物への移行はセシウムの2~10倍くらい高いとされています。
 http://www.rwmc.or.jp/library/other/file/kankyo1.pdf
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⑧さらに食べ物から摂取した場合の内部被曝の程度はICRPの試算で少年で6倍、
 乳児で10倍(成人で2倍~表のCs137の成人の値は書き間違いですが)です。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
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例えば横浜よりも原発に近い地域の
「土壌」にセシウムの2%のベクレル量のストロンチウムが含まれると
「野菜」にセシウムの20%のストロンチウムが入る可能性があり、
「内部被曝」は大人で40%~少年で120%という計算になります。


セシウム飛散が多かった、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、、などの
土壌および農産物のストロンチウム測定が(サンプル調査であっても)
必要ですが、当面は避けるしか無いと思われます。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<参考>

福島県内における6月採取の文科省調査でも
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0930.pdf

・セシウム137 に対するストロンチウム89 の沈着量の比率
 5.6×10-4~1.9×10-1(平均:9.8×10-3)
・セシウム137 に対するストロンチウム90 の沈着量の比率の状況
 1.6×10-4~5.8×10-2(平均:2.6×10-3)

とばらつきがあり、平均的には1%以下のオーダーながら、高い地点では5%程度と
高い比率が観測されている。3月21日に降下が多かった茨城ー東京ー千葉方面
は特に注意が必要と思われます。(黒こしょうによっては有り得るレベル)

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福島県産米の予備調査のデータが出そろいましたのでとりあえずまとめました。
内容を考えるのは明後日以降にしたいと思いますが、とりあえずのメモです。
東北農政局(平成21年~22年調査分)
http://www.maff.go.jp/tohoku/stinfo/toukei/nenpo/57_hukusima.html

今のところ
・測定点数は出荷量よらず概ね1市町村あたり5点となっており、かつ、汚染の
 少なそうな喜多方、いわき、田村が相対的に多くなっています。反対に土壌汚染が
 深刻な地域は測定が無いのか?公表しないのか?とにかく発表されていません

・検出限界も核種あたり5~10[Bq/kg]とのことですが実質的には7Bq/kg程度の様に見えます。
 移行係数を考えると、多数が入るように設定された「限界」のはずですが、それでも
 かなりの地点でセシウムが「検出」されました。

・今年の出荷がどうなのか判りませんが、高汚染地域の調査も行ったのであるなら浪江や
 飯舘も含め公表すべきですし、特に南相馬は生産量も多いので気になるところです。
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要するに
1)検出限界を予め高めに設定し、尚かつ汚染度の低い地域のデータと
   混ぜることで米への移行が少なかった様にミスリードしているものの、

(2)実際は予想外に高い米への移行が中通り~浜通りの広範囲で確認された。
   ということだろうと思います。
福島県産米の出荷時本調査に先立ち行われた「予備調査」の結果が
公表されています。9月15日分までをまとめてみました。
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=25324
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・NDの基準値は明確ではないですが、一応Cs134、Cs137のどちらかが検出された場合、
 相方は5[Bq/kg]程度と仮定しました。「それくらいはあるだろう」という推定です

・また検査に用いた米を栽培した土壌の汚染度は公表されていない様でしたので、
 福島県内の別の土壌分析から同地区の代表的な水田の測定値を使いました。
 http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110830.htm

・ですので土壌汚染と栽培された米の汚染度の比例関係が無いのは当然かも知れないのですが、
 ①移行係数はかなりばらつく様に見えること、と、
 ②国見、相馬、二本松、浅川、棚倉など、土壌汚染から見てそれほどで無い地域でも
  50~100[Bq/kg]といった高い値が出ること、が判りました。


・第3次航空機モニタリングと土壌汚染の測定結果
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/017/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/09/02/1310688_2
 に私からみて「かなり予想外だった」地域を示します。

これまでの公表値を見る限り、会津など「割と大丈夫そう」な地域を選んでいる
傾向がありそうですが(Cs134と137のどちらも不検出の地点が約80%)、
初年度ということもあるせいか?想定より汚染が強い可能性があります。

米と土壌の測定を個別に行っている?事と、検出限界を高めに設定している事、
がネックになり正しい移行係数を求めるのが困難になっています。

測定の目的と意味を熟考し有意義なデータの取得が望まれます。

ーーーーーーーーーーーーー<9月17日追記>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国や自治体の離散的なデータに加え、米の汚染度を早川マップと見比べました。
(四改訂版2011年9月11日:群馬大学早川由起夫教授
 http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-418.html)

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・国見、伊達、二本松、相馬あたりについては、やはり農業用水の流域等考えると、
 ある程度高い値が出ても不思議ではないことがイメージとして判りやすいです。

・ただ、白河ーいわきの間にある「棚倉」の検出値は「比較的助かった土壌と水源」の割に
 は、やはり予想よりも高めだったと感じます。逆に言えば同定度の汚染地域では(新潟、
 群馬等、宮城、栃木、山形、千葉、茨城など)どこでも同じくらいのレベルの放射性物質が
 米に移行している可能性がある、という事かも知れません。
東大の児玉龍彦先生は「徹底して除染」とのお教えですが、
私は「場所によっては除染は難しく、移住を優先せざるを得ない」と思っています。
その理由を記載してみます。

①ベラルーシの農地利用禁止基準55万5千Bq/m^2は1つの参考になります。
 農地なので換算係数を100とすると5000Bq/kgであり、農作物への移行係数を1%
 と思えば、おおよそ50Bq/kgの(現地の)食品基準を満たすことが期待されます。

 ただ日本では(混ぜて薄めればともかく単独で売るには)恐らく10~20Bq/kg以下
 が現実的には許容されるレベルで、最終的にその辺りに落ち着くと予想します。
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 とすると図の6万Bq以上の地域(濃い青)~10万Bq以上の地域(中くらいの青)が
 混在する地域がボーダーラインになると思われます。Cs134も合わせると今後数年は
 10万~20万Bq/m^2の土壌汚染。農作物は10~20Bq/kgの地域ということになります。
 これ以上の地域では農作物を出荷して経済を維持するのは難しいと思われます。


 ただし福島から郡山の新幹線・高速道路ルートは農業以外の経済活動もあり、除染を
 考えるべき地域かも知れません。費用は(児玉先生のカドミウム汚染の例を引用すれば)
 青の楕円内だけで100兆円規模かも知れません。これは農業地域では難しいと思います。

 仮に100兆円を50年で原価償却すると無金利でも年間2兆円です。福島全県の農業出荷額
 が0.1兆円/年のオーダーなので、それが2.1兆円になるという事です。100円で売ってた
 モノを2千100円で売る計算になります。それも「20Bq/kgの汚染を心配しながら」です。

 児玉先生に比べればはるかに卑しい考え方ですし、単純な比較はできませんが、
 100兆円というのは福島の全県民200万人に均等に配っても1人5千万円です。家族4人に
 2億円支給すれば充分に生活を再建できますし、街全体を再建することも可能な予算です。


(勿論、子供や妊娠可能な女性は避難権利を有する区域だとは思いますが)福島ー郡山の
 除染を考えるもう一つの要素として3~4年の間に土壌表面の汚染は10%から20%程度に急速
 に低下するのでは?という期待もあります。


 斑目委員長ら諸先生方が(8月24日の第64回原子力委員会で14:00から14:15までの
 たった15分間の会議で)納得した土壌汚染の減衰カーブは大気核実験の頃の国内調査を
 重視していて(現在と比べればですが)非常に微量の汚染、それも蓄積量に比べ有意な量の
 「注ぎ足しアリ」のデータです。実際の地下や周辺への移行を遅く評価していると考えます。
 ・第64回 原子力安全委員会「、、将来の空間線量率の予測について」
 http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan064/siryo1-1.pdf

 ・わが国の米、小麦および土壌におけるSr90とCs137濃度の長期モニタリングと変動解析
 http://www.affrc.go.jp/agrolib/RN/0000096962.pdf

 ・チェルノブイリ事故による環境の放射性汚染
 http://www.enup2.jp/newpage31.html

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 チェルノブイリの例も放射性物質は地下に潜ったり拡散しただけで「無くなった」わけでは
 ないのですが農作物への移行という意味では初期には急速に低下。その後は周囲や地下
 からの循環がバランスし?殆ど一定な状態が続くというモデルを示唆しています。


 つまり福島ー郡山ラインの農地は2~3年様子を見ながら生産を続けることで、
 現在の1/10程度までは(殆ど自然に)汚染レベルが下がる可能性があると期待します。


 理想的には多くが降り注いだ今年は耕作をせず、徹底して放射性物質を取り除く事に集中
 すれば将来的な平衡レベルはもっと下げられたかも知れませんが、現実的にはムリでした。

 とはいえもしも数年後に農作物が1~2Bq/kgのレベルで安定すれば検査と流通を誤魔化さず、
 正直な処置(汚染されていない作物と混ぜ、内訳を公表)をする事で農地としての利用も
 可能性があると考えます。つまり生活圏を含めた除染を検討しうる地域だと思います。


③問題は赤のカーブで囲った南相馬を含む「高汚染地域」の近隣です。例えば南相馬市は
 人口7万人に対し農業人口2万人です。これから観光や(補助金は無かったとはいえ)
 原発関連の就労、消費が無くなるとすると、もし「除染補助金」で暮らすので無いとすれ
 ばかなり厳しいと思われます。理由は「汚染地域に近すぎる」からです。
 1例として水系を考えます。上流域の殆どは飯舘村を含む超高汚染地域に含まれます。
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④南相馬の農地も運良く3年後に10%に低下したと仮定して、その時点の循環を考えます。
 上流域は手のつけようが無い山間部が主です。表層からは沈降しても、浸みだしに寄与
 する成分として半分は残るかもしれない?と想定してみます。
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 これからの3年に加えそれ以降も巨費を投じ続け、数m以上深いところまでの除染を
 継続したとしても高汚染地帯からの水系を通じた移行が0.1%でもあれば、減少どころか
 増える可能性すらある。そういう地域なのだと思います。

 (南相馬市の土地利用割合は以下の資料を参考にしました
  http://www.city.minamisoma.lg.jp/mpsdata/web/3012/2syou.pdf)
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 もともと地下水利用に頼り、地盤沈下が問題になった地域です。ダムや溜め池事業でやっと
 維持してきた農域の水が今回汚染されました。チェルノブイリでは地下水への浸透は少な
 かった様ですが、多雨であることや地層構造によっては地下水汚染は今後数十年から
 数百年のオーダーで続く恐れがあります。
 (環境省 全国地盤環境情報ディレクトリ
  http://www.env.go.jp/water/jiban/dir_h21/07fukushima/haramachi/detail.html)


 高汚染地域の周辺が除染し得るのかどうか?は困難な問題だと思います。その理由は
 経済的にも技術的にも不可能に近いからだと思います。除染か?移住か?はいつかは
 決断しなければならない問題だと思いますし、その決心は早ければ早い程ダメージは
 少ないと考えます。除染を優先するならするでそれなりの根拠とメドは示すべきだろう
 と考えます。

 ※捕捉:「まず測定ありき」という意見も正しいのですが、河川を経由した汚染移行
     の程度を判断する為には、それなりの測定精度が必要な様です。

     最低でも1Bq/kgの検出感度が必要なことと、泥をどれくらい含むかによって
     セシウムの汚染度はかなり違うと思います。水質の濁り具合の基準も定め
     何水準かのサンプルを採取する必要がありそうです。
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3月15日の原発事故から4月~5月にかけての東京の子供での体調不良を
心配している方が多いと思います。少し見積もりましたので記載します。

結論はいつものように「判りません」でしたが、
・放射能が皮膚に付着する直接効果は事故後1ヶ月の積算で1mSv程度以内
 なので、普通はそれだけで皮膚疾患がでるレベルとは思えません。

・ただし、ガス状のヨウ素まで考慮すると吸入による内部被曝が意外に多く、
 かつ、事故後10日程度と急速だったので多数の子供全員に「全く問題無い」
 と言えるレベルかどうかは怪しい様な気がします。

・3月~5月にノドや鼻や皮膚など、なんらかの体調不良があった子供の場合は、
 今後も食事内容やうがい、スキンケアなどに気をつけたらどうか?と思うレベル
 の様に感じます。少なくとも自分の子供だったらそうします。

ーーーーーーーーーーーー以下、簡単な見積りーーーーーーーーーーーーーーーー
①まず、東京(東部)~千葉(西部)の土壌汚染がどの程度か見積もります。
 航空機モニタリングはまだですが早川マップを参考にし、セシウム合計で
 3万Bq/m2程度はありえるだろう?と想像します。

・文科省航空機モニタリング(茨城県)
 http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110830_01/


・群馬大早川先生ブログ
 http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-414.html


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②つまり新宿の降下物の「倍」くらいの地域は普通にあるだろう。と思うわけです。
 さらにフィルター集塵方式ではガス状ヨウ素の評価が低かった可能性もあるので、
 適当な係数を与えて、都の測定の5倍(ヨウ素)、2倍(セシウム)と仮定します。
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・降下物の放射能測定(新宿)
 東京都健康安全研究センター
 http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/


・大気浮遊塵中の放射能測定(世田谷区深沢)
 東京都産業労働局:ホコリのみ?を捕集する→ガス状のヨウ素は過小評価??
 http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/whats-new/measurement.html


※大気中放射性物質のモニタリングに関する技術参考資料のp25では
  「粒子状ヨウ素は全体の20%程度、、」とあり、p65以降に詳しい。
  http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/RM1.pdf


※東電3月25日発表(第51報)の「現地モニタリング情報」p11~p16によると
  原発近傍では、ガス状のヨウ素131は粒子状ヨウ素131の約2~6倍程度?
  http://www.meti.go.jp/press/20110325006/20110325006.html


③こどもの1日の呼吸量10m3を用い、また室内に居る時間や鼻や気管でフィルターする
 ことなど考え50%が血液に取り込まれると仮定します。逆にヨウ素はガス状成分が多いと
 ゴミとして鼻で捕まりにくいですが甲状腺には3割くらいの集積と考え、大雑把に計算します。
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④次に「新宿の倍」の土に子供が触れた場合の皮膚の被曝を計算してみます。
 この図の様なモデルケースを想定してみました。
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⑤1日中汚れてもいないし風呂に入るとすると、急に何かの皮膚疾患が出る程の被曝とは
 思えません。と言っても1ヶ月で積算1mSvですし、セシウムによる被曝は蓄積してゆく
 ので皮膚の弱い人は気をつけた方が良いとは思いますが、、、
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⑥当然、確かな事は判りませんが、この1mSvの「外部被曝」よりは個人的には「内部被曝」
 の方が気になるわけです。呼吸に加え、事故当初は検査も管理もずさんでしたので、
 スーパーで福島、茨城、栃木、宮城産をある程度買って食べたとするとそれなりの
 蓄積はあったかもしれません。図は3月15日時点で1日あたりヨウ素200Bq、セシウム
 合計20Bq食べてしまった場合の体内への蓄積を計算したものです。まあまあいきます。
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⑦で、呼吸と食品を足すとさらに「まあまあ」いくわけです。図はヨウ素が当初1日200Bq、
 セシウム合計20Bqと40Bqだったパターンです。天然放射線のカリウム40の半分くらいの量
 がわずか10日程で甲状腺に溜まったり、2週間後からはセシウムが体内にどんどん溜まり
 もともとの2000Bqすら越えていきます。同じ試験を10万人の子供にやったとして、
 一切なんの症状も出ない、というのは逆に難しい様な気がします。
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⑧放射性ヨウ素が甲状腺に1000Bq溜まる事で放射線治療の様な「照射」は起きないと
 思います。ただ、何も起きないか?と言われるとそれは判りません。私は子供の
 内部被曝は1日1Bq以下のレベルで目標にすべきと考えていますが、もしも3~5月に
 なんらかの体調不良が起こった児童は、やはりそういうレベルを目指してみて、
 様子を見る(アトピーだったら保湿剤とステロイドなどで治療もする)という
 のが適切だろうと思います。
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1つ前の記事で茨城県でも頑張れば1日1Bq以下が可能なこと、
逆にずさんな食生活では10Bqの恐れもあること、

さらに、福島・茨城(恐らくは栃木、宮城なども?)の汚染食品を選択的に
用いることで40Bqを越える可能性もあること、などについて書きました。
http://ameblo.jp/study2007/entry-11005620547.html


その状態が2~3年継続した場合、体内でどの程度集積するかを計算してみました。
チェルノブイリ膀胱癌などの遺伝子変異の議論(1~6±14Bq/日が10年以上継続する
事による遺伝子変異)を持ち出すまでもなく、
体内の自然カリウム40による被曝との対比を見た
だけでも、「1日40Bq」が避けるべき量であることが
判ります。

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また「取り込んだセシウムの量=排出されるセシウムの量」(つまり平衡)
に達するのに生物学的半減期の4~5倍と計算されますが、子供の場合、
2ヶ月程度で平衡状態の半分くらいに達する点に個人的には注目しています。
(体調への影響が大きいだけでなく速い?。次の記事に載せる予定です)
夏休みの宿題「日頃食べてる食材の産地を調べよう」の集計をしました。
http://ameblo.jp/study2007/entry-10963926916.html

その結果、
1.九州や西日本など遠方では食材の心配は少ない(殆ど無い?)。が、
  外食や加工食品に汚染食材が混ざっている恐れを否定できない為、
  ずさんな食生活だと茨城で注意深く自炊するよりも悪い可能性がある。

2.福島、茨城(恐らくは宮城、栃木も同様?)における地産地消の方針は
  汚染食材を選択的に摂取する恐れが高く1食で10Bqを超過する可能性もある。

  特に給食は児童が摂取する事を考えると容認できず、「弁当」もしくは
  「主食(のご飯)のみ持参」が推奨され、リスクを10%~50%程度に下げられる。


と評価しました。うちの息子(小二)については二学期から対処する事にしました。
(一学期は新米の流通前でしたし、震災の影響で給食の回数も少なかったですので)

ーーーーーーーーーーーー<以下、結果の詳細>ーーーーーーーーーーーーーーー

(1)大分帰省中の息子の食生活。じいちゃんばあちゃんが極度に甘やかす為、
  「おもちゃ買い放題、寿司でも焼き肉でも食べ放題」という「不適切な対照群」。
   放射能以前の問題ですが一応積算しました。(T_T)
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ

(2)「帰省中イライラの極限だったヨメ」が茨城に戻って「シメた」状態。
   肉や野菜など福島産、栃木産が買えないとさすがに苦しい。
   当然ながら「主食穀物」が突出しておりここがずさんだと影響は大きそう。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ

(3)「ずさんな大分」vs「頑張った茨城」での不明な食材分(加工品や外食など)を比較。
   流通が発達してる分「逆に国内のどこでも10Bq/kgの恐れはある」という仮定。
   気をつければ茨城でも1日1Bq以下は可能だと考えます。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ

(4)「(別の意味の)がんばろう福島・茨城」に沿った場合の摂取量の見積り。
   福島、茨城などで小学生に選択的に汚染食材を集中させる「地元産の給食」は
   論外だと考えます。主食だけでも他地域に変えるか弁当持参などが推奨されます。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ
東大アイソトープセンター長の児玉龍彦教授
国会で参考人招致されました。

原発事故以来の問題を網羅した内容であるとともに、被災地の支援、被曝対策、
そして今後広く問題になるであろう内部被曝について重要な言及が多々ありました。

私も児玉先生の提案を支持するとともに、その内容を理解し家族の内部被曝の低減
(私自身の被曝はどうでもいいですが)に活かしたいと思います。

実はツイッター上で少しずつ情報を整理しており、ブログにまとめなおすところまで
達していないのですが、その過程を以下の3つの「まとめ(togetter)」に並べ、
加筆中です。
取りあえず羅列しておきます。


児玉龍彦教授の参考人質疑の内容を理解し内部被曝の低減に役立てるまとめ
http://togetter.com/li/167858



2011年8月12日東大最先端技術研究センター児玉龍彦先生の緊急提案(途中から)
http://togetter.com/li/173633



東京在住の方の北海道がんセンターのWBC測定データを見て多少判った事とまだ判らない事
http://togetter.com/li/173496
法学者の中山研一先生が永眠されたとのこと。

背中の痛みを何回かブログで訴えていたのでもしや?と思っていましたが
(前立腺からの転移かもしれませんが)肺癌だったとの事です。

あの確固たる論考がもう伺えないかと思うと残念の極みです。
http://t.co/i6Ub0tm