戸塚氏のブログで2番目に印象的なのは、「アバスチンによる転移促進の懸念」
についてである。これは近頃ネットで時々見かける話でもある。
だいたいのストーリーは、
「新生血管抑制剤であるアバスチンを投与すると、癌深部が酸欠になり、
遺伝子異常が起こり、癌が生き残る為に転移する」といった内容である。
大多数の抗癌剤治療において、この効果は問題になるとは思えない。
アバスチンにより変異した細胞が他所に移動し、画像で見えるまでの
時間から考えて、まずあり得ない。オーダーすら合っていない。
例えば最初の1粒の大腸癌が発生するのは5回程度の遺伝子変異が重なる
事が必要と想像されており、10~20年程度?などと噂されている。
確かに癌化した細胞は不安定な気もするので、(発見以前に既に)酸欠になったり、
刺激が重なり、分化が進み1~2年遅れで「転移癌」に移行する事もあるかも知れない。
さらに仮定を加え、その「転移癌」は成長速度も速くなるかも知れない。
結局、最初の転移癌に進化するまでの時間遅れとその後の成長速度の合計で、
転移が意外と早く出たり、あるいは何年も顕れなかったり、、、するのかも知れない。
「転移発生までの時間遅れ」、「転移癌の成長速度」、「部位による代謝の違い」、、
通常はハッキリしない事だらけなので、転移癌の発生タイミングや成長速度を
明確に議論するのは難しい。それゆえ、様々なインチキ商法の温床になっている。
・戸塚氏が最初にアバスチンを投与したのは2007年6月との事である。その後、
・骨転移は同年8月頃発生?、肝転移は2008年1月、脳転移は2008年3月である。
あらゆる仮定を無視し、仮にアバスチン「投与初日」に転移癌に進化したとしても、
半年~9ヶ月前後で1cm~数cmに成長することなど有り得ない。
仮に突然変異の結果、直腸癌であるにも関わらず、小細胞肺癌程度の「超高速性」
を得たとしても、恐らく「20日で倍増」がせいぜいである。結果、
12~13回程度の増幅とすれば、転移先の癌細胞数は1万個以下となる。
勿論、充填度などの個性はあるが、どう考えても「1mm以下」というところである。
これは「これ以上はほぼ有り得ない」という見積もりであり、通常は直腸癌の性質を大部分
受け継いでいるとすれは、転移癌がセンチ単位に成長するにはやはり数年を要していると
考えるのが自然である。(転移は丁度、抗癌剤治療が悔やまれる2002~2003年頃だったかも?)
アバスチン投与後5年程度たった頃に心配するならまだ判るが、予後が半年~1年という
癌腫、患者が、「酸欠転移」などという定性的かつ粗い「噂」に左右されレジメンを再考
するのは合理的では無い。
についてである。これは近頃ネットで時々見かける話でもある。
だいたいのストーリーは、
「新生血管抑制剤であるアバスチンを投与すると、癌深部が酸欠になり、
遺伝子異常が起こり、癌が生き残る為に転移する」といった内容である。
大多数の抗癌剤治療において、この効果は問題になるとは思えない。
アバスチンにより変異した細胞が他所に移動し、画像で見えるまでの
時間から考えて、まずあり得ない。オーダーすら合っていない。
例えば最初の1粒の大腸癌が発生するのは5回程度の遺伝子変異が重なる
事が必要と想像されており、10~20年程度?などと噂されている。
確かに癌化した細胞は不安定な気もするので、(発見以前に既に)酸欠になったり、
刺激が重なり、分化が進み1~2年遅れで「転移癌」に移行する事もあるかも知れない。
さらに仮定を加え、その「転移癌」は成長速度も速くなるかも知れない。
結局、最初の転移癌に進化するまでの時間遅れとその後の成長速度の合計で、
転移が意外と早く出たり、あるいは何年も顕れなかったり、、、するのかも知れない。
「転移発生までの時間遅れ」、「転移癌の成長速度」、「部位による代謝の違い」、、
通常はハッキリしない事だらけなので、転移癌の発生タイミングや成長速度を
明確に議論するのは難しい。それゆえ、様々なインチキ商法の温床になっている。
・戸塚氏が最初にアバスチンを投与したのは2007年6月との事である。その後、
・骨転移は同年8月頃発生?、肝転移は2008年1月、脳転移は2008年3月である。
あらゆる仮定を無視し、仮にアバスチン「投与初日」に転移癌に進化したとしても、
半年~9ヶ月前後で1cm~数cmに成長することなど有り得ない。
仮に突然変異の結果、直腸癌であるにも関わらず、小細胞肺癌程度の「超高速性」
を得たとしても、恐らく「20日で倍増」がせいぜいである。結果、
12~13回程度の増幅とすれば、転移先の癌細胞数は1万個以下となる。
勿論、充填度などの個性はあるが、どう考えても「1mm以下」というところである。
これは「これ以上はほぼ有り得ない」という見積もりであり、通常は直腸癌の性質を大部分
受け継いでいるとすれは、転移癌がセンチ単位に成長するにはやはり数年を要していると
考えるのが自然である。(転移は丁度、抗癌剤治療が悔やまれる2002~2003年頃だったかも?)
アバスチン投与後5年程度たった頃に心配するならまだ判るが、予後が半年~1年という
癌腫、患者が、「酸欠転移」などという定性的かつ粗い「噂」に左右されレジメンを再考
するのは合理的では無い。