12月14日の総選挙投票結果は、下記のように、自民、維新が微減、民主、公明、共産が増加した。地盤を持たない次世代、生活、無所属が議席を減らした。(内、前議席との増減)
自民 291(-2)、民主 73(+11)、維新 41(-1)、公明 35(+4)、共産 21(+13)、次世代 2(-17)、生活 2(-3)、社民 2(0)、無所属 8(-9)、合計 475(-5)


 安倍総理は、衆院解散の理由を、7-9月GDPの二期連続のマイナスが、4月の消費税増税だとして、来年10月からの10%への引き上げを延期することを国民に問うと解散に踏み切った。
http://ameblo.jp/study-houkoku/entry-11955473003.html
12月1日発表の法人企業統計では、在庫投資がプラスであった。
http://ameblo.jp/study-houkoku/entry-11959787376.html


 しかし、12月8日のGDP第二次速報値では、さらに悪化し、年率-1.6%から-1.9%に下方修正された。

内閣府、四半期別GDP速報(2014(平成26)年7-9月期・2次速報)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
記者広報資料
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf



四半期GDP実額、実質 523.8兆円、時系列データ(CSV形式:30KB)


 一次速報値と二次速報値を実額で比較してみよう。


内閣府の「統計表一覧(2014年7-9月期 1次速報値)」
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2014/qe143/gdemenuja.html
この「四半期」の下記データが速報値の「実質GDP」。
実質季節調整系列(CSV形式:30KB)


 総生産の第二次速報値は一次速報値より実額9283億円増えているのであるが、成長率が下方修正されていることが理解に苦しむ。


             第一次速報値   第二次速報値
国内総生産(支出側) 522兆8301億円  523兆7584億円
民間消費支出     306兆5798億円  307兆304億円
民間住宅         13兆91億円   13兆139億円
民間企業設備     70兆5986億円   71兆2462億円
民間在庫増加     -2兆9479億円  -2兆260億円
政府消費支出     102兆5661億円  102兆4992億円
公的固定資本      24兆33億円    22兆7630億円
公的在庫増加        377億円       399億円
純輸出          10兆4272億円   10兆5657億円

年率成長率      -1.6%        -1.9%


日本経済新聞(12月8日)
民間予測と再びずれ大きく 7~9月GDP下方修正
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H0A_Y4A201C1EAF000/
 「ある民間エコノミストは「結局は正解のない数値であり、GDPだけを見れば景気が分かるものではない」と指摘する。」


 近藤駿介氏の解説では、2014年7-9月期第2次速報で、2013年1-3月期の速報値が大幅に修正されたことが、その後の下方修正につながっているとしている。


経済統計の数字だけで経済を語るなかれ~20年遡って修正されるGDP統計
http://blogos.com/article/100808/
 今回の2次速報において実質GDP実額の修正幅が最も大きかったのは、偶然かもしれませんがアベノミクスがスタートした2013年1-3月期で、GDP総額は2兆6000億円ほど上方修正されています。一方、アベノミクス2本目の矢である「機動的な財政政策」に伴う「公共投資」は、アベノミクスが本格化した2013年以降下方修正幅が大きくなっており、7-9月期の下方修正額は1兆2400億円になって来ています。
今回最も修正幅が大きかった2013年1-3月期GDPの1次速報が発表された2013年5月16日以降どのように修正されて来たかのかその変遷を見てみると、今回の修正幅が2.6兆円と際立って大きかったことがわかります。時間の経過と共に修正を要する新しい情報は減っていくはずのなかで、1年半前のGDP統計に突然大きな修正がなされたことには違和感を覚えます。
 GDP統計の算出方法は公開されていませんから、どうしてこのような大きな修正が加えられたのか、その理由は定かではありません。言えることは、推計が難しく、何時どのような理由で修正が加えられるかが予想出来ないGDP統計で景気状況を判断するのは危険だということです。日本もそろそろ表面的な経済統計の数字だけで景気を語るのはやめ、米国のように「経済の質」に目を向ける必要がありそうです。
(以上、近藤氏投稿より)


 内閣府のGDP速報値は、推計であり、実態を表すものではない、計算方法も公表されていないので検証の方法も分からない。しかし、当てにならない数字をご覧になって、安倍総理は解散を決意した。そして、改選前勢力をほぼ保ち、消費税増税法案の修正法を通常国会に出そうとしている。
政治判断の元になるデータがその時々の政治情勢により修正されることがあり得るのではないかと、思った次第。一年後、どのような確定値を出すか期待する。