・「坂道のアポロン」

 

期待 ○

没頭 ○

結果 ○

好感 ◎

リピート △

 

自分が好きそうな面白そうな雰囲気の映画かも、と思って観に行った。

 

ストーリー的にはすごくハマる感じでもないし、そんな深みがある感じでもなかったけど、個人的にはすごく好感のもてる映画で嬉しかった。

 

まず、ロケ地が良かった。話の舞台は佐世保だけど、ロケ地は大分の昭和を復元した町を使って撮影したらしい。そこがどこかということに関わらず、映画で出てくる坂のある学校や昭和の商店街だとか、神社や海辺や島とか教会なんかが、単純にその空気感とかが観ていて心地よかった。

 

そして、この映画はなんといっても、ジャズだよね。

 

僕はジャズってあまり馴染みがない。なんとなく「難しい」イメージ。そう、この60年代の終わりころの学生運動時代の世代の人たちが、ジャズ喫茶で格好つけて聴いてるイメージがあった。ロックのようにシンプルではなく、オシャレで難しく演奏するイメージがあってハードルが高かったのだ。

 

僕の持つジャズの面倒臭いイメージを気持ち良くかっ飛ばしてくれたのが、この映画だった。

 

ジャズのセッションというのが、なんといってもこの映画の一番の魅力だと思う。

 

何度か、ジャズのセッションというのが、「自然に」始まっていくシーンがあるのだけど、そこがすごく素晴らしい。観ているこちらまで楽しい気分になってくる。「あぁ、これがジャズってヤツなんだぁ」と初めてジャズの面白さみたいなものに気づいた瞬間でもあった。

 

あまり映画の裏話的なものは聞かないようにしてるんだけど、主人公の知念さんはピアノが初めてで譜面からでなくピアノを弾く姿を「ダンスのフリつけ」のようにして覚えていった、という話を知って、ジャズだなぁ、と感心した。音楽に限らずいろんな分野でいえることなのかもしれないけど、何かを表現していくことって、結局は感じたものを「そのまま」出していくことなのかもしれない。下手に「学び」から始めてしまうと、「感じた」ものをそのまま表現することから遠ざかっていくことになりかねない気がする。ロクに音符読めない人が音符の読み方から「学んで」いくと、感じたものを「迂回」して何度か「翻訳」することによって表現することになる。外国語の習得と似ている。最初に感じた空気感? フィーリング? で真似て発音して入るか、理屈から入って頭でっかちになって表現が通じないのと似ている。

 

時間をかけて「学んだ」ことを消化できれば、それは感じたものをより「正確に」表現することには繋がるとかもしれない。でも、たいていはそこにたどり着く前に、もう最初の「ときめき」が失せてしまうものだったりする。

 

なんだか回りくどくなってしまったけど、要するに「ジャズの本質」的なもの、「Feel」、感じたままに表現する、みたいなものを受け取ることができて、なんかとても嬉しく感じた映画だった。

 

あと、個人的には小松菜奈さんの「なまり」がすごく魅力的で可愛らしかった。彼女の役は横でセッションをいつも聴いてる立ち位置で、いつ一緒に入っていくのかなとも思いつつ、ボーカルで入るような話が途中出たものの最後までなかなか実現してなかった。個人的な先入観で申し訳ないんだけど、彼女のなまりの可愛らしさと反比例して、そのぶん、歌は下手そうだなと勝手に連想してしまってた。だから、変な話、逆にいつ歌い出してしまうのかドキドキもので観ていたので、エンディングは最高にツボにはまってしまった。声を押し殺すのに必死にエンドロールを観てました。いやいや、最高でした。でも、そういうところも含めて、小松菜奈さんは魅力的な女優さんですね。僕は個人的に大のお気に入りですよ。