AFTERMOD E-PRESS 【vol.00019】(2010年1月11日号)
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00【巻頭】『自然を感じること、世界を感じること』
01【特集】安田菜津紀 『ウガンダからの風』
02【連載】笠原正嗣 『北斎流:江戸のイメージアップ奮闘記 vol.4』
03【回廊】佐藤慧『愛すること、愛されること』
04【告知】安田菜津紀 岩波書店『世界』2月号に記事掲載
05【告知】 1月17-25日 佐藤慧 写真展「Under the Same Sky」@九州巡回展
06【告知】◇◆2011 studioAFTERMODE 卓上カレンダー発売中!!◆◇
07【告知】 1月15日 安田菜津紀×佐藤慧トークセッション「同じ世界に生きる人々の生活と美」
08【告知】 1月16日 ヤハギクニヒコ 鏡明塾
09【告知】 1月20日 オリンパス写真展「She Has A "PEN"」(in大坂)
10【告知】 1月22日佐藤慧×松永真樹『行動するという生き方』vo.2
11【後記】『フレームの外の多様性へ』
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00【巻頭】『自然を感じること、世界を感じること』
現在横浜は0℃、冷たい風がすうっと吹き抜けてお
ります。去年の猛暑もそうでしたが、極端な気温は、
飾られたままのクリスマスツリーの電飾を横目に、着
物姿の新成人が行き交うような混沌とした都会にいて
も、自然を思い出させてくれます。その自然を辿ると
世界中何処へでも繋がっている。なんだか不思議な気
がします。
さて、予告通り今週からパワーアップして参ります。
安田からも帰国後早速記事が届きました。笠原の北斎
流も4回目にして次元に動きが見えてきました。回廊
には佐藤が登場です。今年のアフタモードは引き続き
HIVを巡る問題とアジア・アフリカにフォーカスを向
けつつ、更に広く世界を感じ、関わっていきたいと思
っています。
(ヤハギクニヒコ)
01【特集】安田菜津紀 『ウガンダからの風』
初めてのアフリカ、初めてのウガンダ。
やや緊張しながら足を踏み入れたのは、1ヶ月前のこ
とです。
思えば写真を始める前の大学2年のときから、ずっと
行きたいと思っていたウガンダ。
そもそもの切っ掛けは大学時代、「あしなが育英会」
で親を失った奨学生が体験をシェアする「つどい」に
参加したときのことです。
そこで初めて、ウガンダのエイズ遺児の留学生のリタ
さんに出会ったのです。
「私はウガンダの大統領になってみせる。
私が大統領になることを諦めるのは、
国を愛していないことであり、
家族を愛していないこと」。
エイズで父親を失うという逆境を乗り越え、ウガンダ
から早稲田に「あしなが育英会」の支援を得て留学。
血のにじむような努力だったはずです。
「日本に来たら皆私のことを可哀相って言う。
でもウガンダではそんなこと言われたことない、
ごく当たり前のことだったの」。
彼女の言葉に触れ、話す度に、彼女が育ってきた環境を
知りたいと思うようになりました。
昨年からカンボジアのHIVの取材に携わるようになっ
たのも、そして彼女に出会ったのも、
本当に何かのめぐり合わせだと思いました。
毎度のことですが、まだまだこの滞在を上手く言葉にま
とめることができません。
HIVの問題、と一口に言っても、それはただ単に病気
の問題という枠を超えて、社会の問題、貧困の問題、
そしてなにより、家族や心の問題でもあるように感じます。
一番多くの時間を過ごしていたのは、お父さんはエイズ
で亡くなり、お母さん、そして13歳のレーガンという
男の子が遺された家族でした。
レーガンには母子感染があり、肌は薬の副作用でぼろぼ
ろになっていました。
「体の病気と同じくらい恐いのは、希望と将来を失うことなんだよ」
13歳の少年の刺さるような言葉。
彼の言葉に触れながら、何度も自分に問いました。
写真で伝えることは、無意味なことなのだろうか。
自分は何の資格があって、人の領域に足を踏み入れさせ
てもらっているのか。
「写真、上手くなりなさい」と常々言われる私ですが、
その意味を今回噛み締めた気がします。
それは「写真を目的にしなさい」ということではなく、
「込めたい気持ちに技術が追いつかなければ、悔しいし
相手に失礼だ」という意味なんだと。
クリスマス・イブの日、レーガン一家からクリスマスに
プレゼントをもらいました。
拾ってきたらしいボロボロの靴箱と包み紙を開けると、
手作りのネックレス、そしてタイヤで作ったサンダル、
靴箱の裏には、家族3人からのメッセージがびっしりと
書かれていました。
レーガン一家を取り巻く過酷な環境、そしてその中に確
かに存在するあたたかさに触れ、
結局意味のあるものにできるかどうかは、自分次第なの
ではないだろうか。そう、考えるようになりました。
今回ご協力頂いた皆様、現地で偶然にも一緒になったフ
ォトジャーナリストの渋谷敦志さん、そして見ず知らず
の人間だった私に心の中を語ってくださった家族の皆様
に、改めて感謝です。
また今年も、ウガンダに必ず渡航します。
(写真+文=安田菜津紀)
02【連載】笠原正嗣 『北斎流:江戸のイメージアップ奮闘記 vol.4』
前回は北斎が江戸時代にご法度であったはずの銅版
画を大量に持っていて、しかも幕府からはなぜかおと
がめがなかったというお話で終わりました。また、脱
藩しないと日本中を気軽にウロウロ歩けなかった龍馬
のことを考えると、北斎が『富嶽三十六景』を描けた
ことが僕には不思議に思えるということでした。おそ
らく、北斎と江戸幕府はなんらかの接触があったのか
もしれないという想像できます。なにはともあれ、
『富嶽三十六景』は現在非常に評価が高く、日本人が
最も知っている作品と言えるでしょう。
この『富嶽三十六景』で一番有名な作品は、やはり
あの激しい波が描かれている『神奈川沖浪裏』でしょ
う。しかし、あの絵を筆頭に、富嶽三十六景では、明
らかに富士山よりも手前の方が目立っているような作
品が多いですね。『尾州不二見原』は明らかに不自然
に底がまだ取り付けられていない大きな桶越しに富士
が描かれていて、むしろ富士山がおまけのようにすら
見えます。『五百らかん寺さざゐどう』は、床がパー
スペクティブをにおわせつつ、建物全体がフレームの
ようになっています。
どうやら『富嶽三十六景』を見ていると、この作品
の中で北斎はフレームを意識しているように思えるん
ですね。フレーミング、もっと言うと構図composition
を実験しているのではないかと思います。最近のコン
パクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)は、基本的
にパンフォーカスが主流ですが、一眼を使っている写
真では、ピンフォーカスにして撮りたい被写体だけに
ピントを合わせ、背景はぼかしてしまう写真をよく見
かけます。
何が言いたいかというと、北斎も西欧的な絵画(銅
版画)に触れたために額縁というものを知り、また風
景に対する西欧の画家達の姿勢、つまりシームレスに
続く景色の中でどこを切り取って描くかという姿勢を
富嶽三十六景で試してみたのではないかという感じが
します。その一方で、応挙のところでも書きましたが
西欧のリアリズムの問題も絡んできます。要するに、
いかに本物に近い絵を描くかということですね。
最近再び『3D』という言葉を耳にするようになりま
したが、北斎もその問題にぶち当たったのではないで
しょうか。次回はそこに焦点を当ててみたいと思いま
す。
(絵=葛飾北斎/文=笠原正嗣)
03【回廊】佐藤慧 『愛すること、愛されること』
生後間もなくHIVエイズ陽性であることがわかっ
た彼は、親に捨てられ、孤児院へと送られた。この孤
児院には200人あまりの孤児たちと、修道女たちが
暮らしている。ここにいる6割以上の子供が、実の母
からHIVを引き継いでいた。毎日、ぽつり、ぽつりと
子供たちが亡くなっていくその孤児院で、修道女は最
大限の慈しみを子供たちに注いでいた。この少年の命
は、あと10年と持たないかもしれない。大人になる
ことなく、この世界を去っていくのかもしれない。人
は皆、生まれると同時に死というものを背負っている
が、それにしてもこの少年の命は余りにも儚いのでは
ないか。大きな家族のような孤児院で、真っ白なベッ
ドに横たわり、安心して寝息を立てている少年は、皆
にとても愛されているようだった。この少年の命は、
周囲の人々に「愛する」ということを必死に伝えてい
るのかもしれない。
(写真+文=佐藤慧)
04【告知】安田菜津紀 岩波書店『世界』2月号に記事掲載
1月8日発売の岩波書店『世界』2011年2月号に安田
菜津紀のフィリピン取材記事が掲載されています。戦
争について考える機会になれば幸いと思っています。
是非ご覧下さいませ。
05【告知】 1月17-25日佐藤慧
写真展「Under the Same Sky」@九州巡回展
佐藤慧の写真の個展としては、今回が初の本格的なも
のとなります。昨年ザンビアで共に活動した大学生た
ちの真摯な行動により、開催出来ることになりました。
この数年で感じたこと、それは、
世界とは「僕」と「あなた」の総和である
ということです。
少しでも、同じ空の下で営まれている生活に想いを馳
せて頂けたらと思います。
日時:2011年1月17~25日 9:00~18:00 (土日休館)
場所:立命館アジア太平洋大学 ステューデントユニオン1F パシフィックカフェ
◆『佐藤慧×安田菜津紀 クロストーク@立命館アジア太平洋大学(APU)』
テーマ「表現して伝えることの意義」
日時:2011年1月25日 17:00開場 18:00~19:30
場所:上記写真展会場にて
≪詳細≫(ムービー付)
http://ameblo.jp/keisatojapan/entry-10763676157.html
≪立命館アジア太平洋大学≫
http://www.apu.ac.jp/home/
06【告知】◇◆2011 studioAFTERMODE 卓上カレンダー発売中!!◆◇
今を大事に生きることと、
過去や未来を無視することは違います。
それは、長い歴史においても、ほんの最近のことでも変わりはありません。
関わりの中で、うねりながら流れていく僕らの、1つの物差しになればと願い、
今年もカレンダーを作りました。
ご購入希望の方は、
タイトル「アフタモード商品購入希望」とした上、
・お名前
・ご住所
・電話番号
・部数
・返信用メールアドレス
を明記の上
store@aftermode.com
までメールをお願いします。
折り返し代金の合計と、お振り込み先をご連絡いたします。
安田菜津紀作品集「アンダンテ」も販売しておりますので、そちらもよろしくお願いします。
詳しくはアフタモードホームページ
http://www.aftermode.com/
↓
上部メニューバーの【STORE】をクリックしてください。
07【告知】 1月15日 安田菜津紀×佐藤慧トークセッション
「同じ世界に生きる人々の生活と美」
2011年1月15日(土)午後3時開演(開場午後2時30分)
会場:SHIBUYA Cue702
東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル7F
ゲスト:安田菜津紀/佐藤慧
会費:2,500円(軽食とドリンクを含みます)
申込・お問い合せ:admin@cue702.com
【参加申し込みフォーム】http://bit.ly/hj9YVh
主催:Cue702
08【告知】 1月16日 ヤハギクニヒコ 鏡明塾
◆鏡明塾2011 第1回 1/16(日)
[一般]13:05~14:50(304教室) テーマ『カバラと錬金術』
[中高]17:05~18:50(1501教室) テーマ『原子力』
★全ての講座とも先着20名とさせて戴きます。 (単発で受講されても大丈夫です)
神奈川県民センター(横浜駅西口徒歩8分)にて、
参加費用は各コースとも一般・大学生2500円、中高小学生2000円(教材費等全て込み)です。
(※中高生が一般コース、一般の方が中高生コースを受講することも出来ます)
(※受講費は当日お持ちください。振り込み希望の方はお申し出ください)
申し込みはメールにて承ります。
タイトル【鏡明塾予約】日付・コース・名前(参加希望者全員分)
で
yahagi.sa@gmail.com
までお願いします。ご要望、ご質問等もこちらまで。
では、みなさんの御参加、お待ちしております!
09【告知】 1月20日 オリンパス写真展「She Has A "PEN"」(in大坂)
安田菜津紀がオリンパスギャラリー主催のグループ展
「日本カメラ社主催、7人の写真展」に参加させてい
ただきます。お時間があいましたら是非、足をお運び
下さいませ。
◆2011年1月20日(木)~2月2日(水)
オリンパスギャラリー大坂
(AM10時~PM6時/最終日午後3時/日曜・祝日休館)
10【告知】1月22日佐藤慧×松永真樹『行動するという生き方』vo.2
今回は聞くだけではありません。参加者の方々にも最
後には一緒に考えてもらいます。まずは考えるきっか
けを作るために、マサキとKが話します。3/15~3/26
までザンビアに渡航する「チームザンビア」。実際に
現地で地元民と一緒に何が出来るのか、お祭り?、授
業?、行く人もいけない人も、共に想いのままに考え
ていきましょう!
◆タイムスケジュール
18:00:開場
18:30:スタート
18:30:佐藤慧講演 「国際協力という言葉の意味-見えないデメリットを考える」
19:10:松永真樹講演「行動する生き方の中から生まれた障害、失敗、挫折」
19:50:チームザンビアを交えたトーク
20:30:質疑応答
20:50:終了
◆会場
東京都渋谷区代々木4-28-8 608号 イマジニ屋学校拠点
http://p.tl/TZxK
11【後記】『フレームの外の多様性へ』
知らず知らずのうちに、僕らはフレーミングをして
物事を見たり切り取ったりしています。本当は世界の
全てと連なっているはずなのに、一部分だけを見て、
それが全てだと思い込んでしまう。安田が出逢ったレ
ーガンという少年は、自分の運命を受け入れながら、
それでももっと世界を知り、希望へ向かおうとしてい
ました。僕らは僕らの尺度で、物事を見てしまいがち
です。いや、そうするしかないのかも知れません。し
かし、同じ人なんて誰一人いなくて、同じことなんて
何一つない。そんな当たり前のことをちゃんと認識す
ることが、僕らと世界をもっと近づけるような気がし
ます。誰かの写真と、誰かのテクストに世界の多様性
を感じつつ、また来週お目にかかります。
(ヤハギクニヒコ)
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『AFTERMOD E-PRESS』はいかがでしたでしょうか?
今回の記事についてご意見・ご感想など、
お気軽にドシドシと書き込みください。
アフタモードメンバー一同、心よりお待ちしております。
編集 ヤハギクニヒコ 笠原正嗣
執筆 ヤハギクニヒコ 安藤理智 安田菜津紀 笠原正嗣 佐藤慧
発行 株式会社スタディオアフタモード/ studioAFTERMODE Co.,Ltd.
http://www.aftermode.com/
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