AFTERMOD E-PRESS 【vol.0039】 (2011年08月29日号)
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00【巻頭】『誰のためのメッセージなのか?』
01【特集】ライフリンク代表、清水康之氏インタビュー
『寄り添うために -報道を通して何ができるのか-』
02【特集】安田菜津紀『1本松に寄せる想い』
03【告知】矢萩邦彦 gapyear.jpにてコラム『タブラ・ラサの時間』連載開始!
04【告知】安田菜津紀 「クリンスイ」ラジオCM出演!!
05【告知】安田菜津紀 11月23-28日 フィリピンスタディーツアー
06【告知】矢萩邦彦 9月4日『鏡明塾』「陽明学入門」
07【後記】『多様に発信し、多様に寄り添う』
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00【巻頭】『誰のためのメッセージなのか?』
震災の影響は、何もかもに及んでいます。それは当たり前のことなのですが、
浸透しているからこそ麻痺してしまい、乱暴に扱われてしまう情報があります。
今回、佐藤と安田のインタビューに答えてくださったライフリンクの清水さんは、
メディアの報道について負の可能性を指摘します。
それは、いったい「誰のためのメッセージなのか?」
非常時だから仕方がないのではない。
非常時だからこそ、繊細にならなければならないことがあります。
無自覚思考停止状態を脱し、「情報」の前で立ち止まって考えることが必要なのだと思います。
知ることがみなさんの行動に結びつきますように、今週号をお送りいたします。
(矢萩邦彦)
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01【特集】ライフリンク代表、清水康之氏インタビュー
『寄り添うために -報道を通して何ができるのか-』(前編)
8月5日、内閣府は東日本大震災が直接の原因となった自殺者が6月だけで16人に上ると発表した。 調査は、(1)避難所もしくは仮設住宅、遺体安置所で遺体が見つかった、(2)避難所もしくは仮設住宅に住んでいた、(3)被災地から避難してきた、(4)自宅や職場が地震や津波で大きな被害を受けた、(5)震災の影響とする証言や遺書などがある-の5項目について警察庁の情報を基に、1項目でも該当すれば震災関連自殺と判断したものだ。
(参考URL:内閣府経済社会総合研究所 自殺分析班)
http://www.esri.go.jp/jp/archive/jisatsu/jisatsu_h2306.html
16人のうち、男性は11人、女性5人。年代は60歳代が6人と最も多かった。
家庭問題、健康問題、生活問題などが主な原因として挙げられている。
県別に見てみると、自殺者全体に占める震災関連自殺の割合は、
宮城県が最も多く45人中8人、岩手県が36人中3人、福島県が50人中2人。
今高まっている、被災地での自殺のリスク。
自殺を防ぐために、そして残された遺族のために、メディアができることは何か。
自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンク代表、清水康之さんにお話を伺った。
※インタビューは内閣府の発表前の8月2日に行ったものです。
―――まず震災が自殺問題に及ぼす影響について、現状を踏まえてお話いただけますか。
現在震災の影響による自殺で亡くなった方の統計をまとめている最中なのですが、
6月分の統計結果が来週出ます。7月分に関しては9月までには発表出来ると思います。
どこでどういう立場のどういう属性の方が自殺に追い詰められているのか、できるだけ早く実態を把握して、ハイリスクグループを特定し、そうした方々への支援を強化していきたいと思っています。
すでに、酪農家や高齢者の方々による自殺がメディアで報道されていますが、
亡くなっているのは氷山の一角で、例外的に例外的な方が亡くなっているのではなく、大勢の同じような属性、同じような立場の方々が似たようなリスクを抱えて困っていらっしゃるのだと思うのです。
特に衝撃的だったのは、高齢者の方が「お墓に避難します」との言葉を遺して自殺されたことです。
福島では原発の問題もあり、未だに災害が続いています。つまり、被害状況が確定していない。
被害がどこまで広がるのか、いつ自宅に戻れるのかも分からない。ずっと戻れない可能性もある。被害状況が確定していないため、行政や自治体の対応も決まりません。例えば保障に関しても、全体像が見えない限り、何の支援を得られて、逆に支援を得られないのかが分からない。避難者の中には、
いつでももどれるようにと福島県内にとどまっている方々も多くいらっしゃいますが、行政の対応が決まらない限り、将来を見通した行動の選択ができません。
例えば、行政の対応が決まっていて、「県内に留まっていればここまで保障します」、
「県外に出るのであればここまで保障します」、というふうに選択肢が明示されたら、
それに基づいて自分たちの選択ができます。
その選択肢が見えない状態が続いているため、止め処なくストレスが高まっていきます。
あえて例えるならば、受験の合格発表前夜がずっと続いているような状態です。
しかも、いつ発表になるのかも分からない。発表される時期すら分からない。
どぎつい表現かも知れませんが、言わば「生殺し」のような状態が続いているのです。
そのように地域社会全体でストレスが高まっていくと、
最もその影響を受けやすいのが社会的に立場の弱い人たちです。
特に子ども、高齢者、障がい者の方々。
「お墓に避難します」と遺して亡くならざるを得なかったというのは、
恐らく、地域全体のストレスの高まりの中で、高齢者が「自分が迷惑をかけている」、
「周囲の負担になっている」と思わざるを得ない環境に追い込まれたからではないか。
そんなことを感じます。
加えて、農林、漁業、畜産など一次産業従事者のリスクが高まっていることも、
個々の事例から実感するところです。
一方で中長期的な観点からすると、
「喪失体験」をしている人たちのリスクが高まっていくことが懸念されます。
これは新潟中越地震と自殺の関係をまとめた報告書をですが、重要なポイントとして挙げられているのが、喪失体験をした人たちがじわじわと自殺に追い込まれていったということです。
喪失体験と言うのは、家族を亡くしたり、仕事を失ったり、あるいは住み慣れたふるさとを離れるといったことも含みます。そういった様々な喪失体験が人々を自殺に追い込んでいった現実が、この報告書の中につづられているのです。
東日本大震災では、喪失体験を複合的に抱えてしまった方が大勢います。家族も、自宅も、仕事も、故郷も、地域の人間関係も、すべて一度に失ってしまった方がたくさんいるわけですから、そういった方々への包括的な支援が急務であることを、私たちは過去の経験から学びとらねばなりません。
このように、データを分析するまでもなく想定できる自殺のリスクもあるわけなので、
そうしたものに対しては早急に対策を進めていくこと。そして、統計を分析する中で分かってきたことを、そうした対策に付加していくこと。つまり、対策を走らせながら軌道修正を図っていくという「アクションリサーチ」の姿勢が重要なのだと思います。
―――そういった現状を取り巻く報道に関しては、どのようにお考えでしょうか。
これは被災地で活動をしている民間団体の方から伺った話ですが、
被災地で自殺が起きると、その地域社会全体にものすごく強烈な絶望感を抱かせるのだそうです。
平時に起きる自殺以上に、被災地で起きる自殺は、周囲に与える影響が大きいということです。
せっかく助かった命が自殺という形で失われていく、そうしたことが「みんなで生きていこう」という連帯感の中で起きると、連帯感が強い状況の中だけに周囲に与える影響も大きくなるのだと思います。
その点を考慮すると、被災地における自殺報道は平時にも増して、より慎重になるべきでしょう。
ただ、現在の震災関連自殺の報道の有り方については、問題を感じることが多々あります。
例えば、亡くなった現場からリポートしたり、亡くなり方を詳しく説明したりといった報道が多く見受けられます。平時の中で起きる自殺であっても、情動に訴える報道は避けるべきだと、WHOが自殺報道ガイドラインでの示しているわけですが、それが、被災地の自殺においても踏みにじられている。
それゆえ、震災関連の自殺に関する情報発信をする際は、非常に神経質にならざるを得ません。政府で現在把握している統計も、どこまで発表すべきかを慎重に検討しています。
―――それはその統計の発表によって、自殺が発生していることにショックを受ける方がいるからでしょうか?
もちろんそれも理由のひとつですが、情報を詳しく発表することによって生じる危険性もあるからです。例えば周囲の人たちが自殺と知らずにいた事例があったとしても、それを地域情報を詳しくを公表してしまったら、「あの人が亡くなったのは自殺だったのではないか?」と、不要な形で心理的な不安感をあおることになりかねません。現在のところ、県単位の公表であれば問題ないのではないかという方向で話を進めています。職業、年齢の公表は検討中です。
―――福島での酪農家の方の自殺が報道された際、「原発さえなければ」という遺書が写真付きで公表されたりしていました。その後、ものすごい数の反響がネット上で流れていたのを覚えています。あのひとつの報道が与えた影響というものが今後出てくるのではないでしょうか。
(※福島での酪農家の方の自殺――今年6月、福島県相馬市の50歳代の酪農家男性が、原発に対する不満を書いたメモを残して自殺した。この地区では、福島第一原発事故の後、原乳の出荷が約1か月間制限されていた。)
取材に行った方々は、その地域の方々にも多々インタビューを行っていると思います。同じ地域の人たちへの影響もありますし、本人と直接関係ないような方でも、過度な報道が心理的に与える影響は小さくないと思います。
―――逆に明るいニュースが、むしろ被災地の人々の心を追い詰めてしまっていることもあるのではないでしょうか。
「自分は頑張れていない」「自分は置いていかれている」と。
そういった報道を考えるにあたり、それが「誰のためのメッセージなのか?」よくよく見極める必要があると思います。「頑張れ日本」、「負けるな東北」というメッセージにあるような「前向きな声援」はもちろん重要です。けれどそれが誰のために発せられているのか、慎重になるべきだということです。というのも今回、被災地以外の場所で、メディアを通して疑似的に被災をした人が大勢いて、そうした人たちの心理的な不安が高まっており、それらを解消するために「前向きな声援」が被災地に向けられていると感じることがあるからです。「自分たちの不安を解消するために、被災者の方々が頑張っている姿を観たい」、「被災者が頑張ってくれれば、それを観て自分たちも元気になれる」と、無意識のうちに、実際の被災者を置き去りにした、擬似被災した人たち自身のための復興、頑張れという言葉になってしまっていないかということです。
それは、震災で家族を亡くした遺族の方たちの言葉から、強く実感させられます。私たちは5月1日から、震災遺族向けの電話相談事業を行っているのですが、その中で「復興と言うが、それどころではない」「がんばれと言われても、この状況でどうがんばればいいのか」といった言葉によく接するのです。ご家族を亡くされた方の中には、「津波で逃げるときに子どもの手を放してしまった。あのとき手を放さなければ」と自責の念にかられている方や、「私以外の家族は全員津波にのまれて亡くなった。なぜ自分だけ助かってしまったのか」と、茫然自失状態の方もいます。「頑張れ」というメッセージ、前へ進んで行こうという方向性は確かに大切なものです。しかし、「こうあってほしい」という願望を、「頑張れ」というひとつの言葉でしか発せられないというのでは、社会が貧弱だと言わざるを得ません。なかには頑張りたくても頑張れない人もいれば、放っておいて欲しいという人もいるわけで、一辺倒なメッセージを同調圧力として、「がんばらなきゃだめだ」と押し付けることは避けるべきです。あるいはそうしたことになっていないか、発するメッセージの検証を繰り返し繰り返し行うべきだと思います。
少なくとも私たちは、復興ムードが強まる社会の中で、決して置き去りにされる人がいないように、遺族の方々に少しでも寄り添っていければと思っています。一人ひとりが、社会の同調圧力に翻弄されることなく、それぞれのペースで回復していくことができるように、少しでも支えになれればと思っています。その意味で、電話や手紙による震災遺族向けの相談事業を、今後とも続けていく決意です。
(次号に続く)
(写真+聞き手:佐藤慧、安田菜津紀)
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※≪ライフリンク様相談窓口≫のご案内
[ホームページ ] http://www.lifelink.or.jp/hp/shien311/index.html
[フリーダイヤル] 0120-556-338
(受付時間 毎週日曜10~20時/毎月11日 10~24時)
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02【特集】安田菜津紀『1本松に寄せる想い』
高田松原。かつて7万本た日本百景の一つ。今はほぼ更地になってしまった中、たった1本、波に耐え抜いた松がありました。地元では「ど根性松」と呼ばれ、陸前高田市の復興のシンボルになりつつあります。
けれども震災後、1メートル以上地盤沈下があり、松の目の前まで海が迫ってきています。海水を吸った松の葉は今、赤茶色に変わり、根腐りも進んでいます。
震災前からこの松原の保全に尽くしてきた「高田松原を守る会」の代表、小山芳弘(おやまよしひろ)さんは、松を見上げながらつぶやきます。「希望が持てないことが何より辛い。たくさんの方に、ここに松を植えに来てほしいのです」。
松の上には今、鳥が巣を作って暮らしています。「枯れゆく木には、鳥は巣を作らないんです。」と小山さんは言います。市にはまだ、松を守るための余力はなく、「高田松原を守る会」が独自の活動を続けています。松は耐えることができるのでしょうか。
この街に暮らしていた方々の、心の支えができるまで。
(Photo)
(写真+文=安田菜津紀)
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03【告知】矢萩邦彦 gapyear.jpにてコラム『タブラ・ラサの時間』連載開始!
gapear.jp」のサイトにて、コラムを連載させて戴くことになりました。
『タブラ・ラサの時間~人生のキャンバスを作るために~』
第1回は、『日本を選択いたし申候』
思考停止状態で漠然と海外へ行く選択をしていないか、という問題定義です。
とりあえず行ってみるのも大事ですが、自覚があればまた違う時間を過ごせると思います。
大事なのは悩みながら過ごすことではないでしようか。
と言うわけで、お読み戴ければ幸いです。
第1回『日本を選択いたし申候』
http://gapyear.jp/?p=124
第2回『越境する勇気』
http://gapyear.jp/?p=495
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04【告知】安田菜津紀 「クリンスイ」ラジオCM出演!!
≪関東≫J-WAVE 毎週金曜6:40- 50am 「JK RADIO」 (ジョン・カビラさんナビゲート)
≪関西≫FM802 毎週日曜10:35-10:42am 「SUPERFINE SUNDAY」)
安田菜津紀が「クリンスイ」のCM出演をさせていただきます!!
お時間のある方はぜひお聞きくださいませ!!
http://bit.ly/qGnV18
クリンスイHP→ http://bit.ly/qGnV18
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05【告知】安田菜津紀 11月23-28日 フィリピンスタディーツアー
11月23~28日の6日間、
「フォトジャーナリスト安田菜津紀と行くフィリピン スタディツアー」
第2弾の告知を開始致しました!
フィリピンに生きる人々の今に、一緒に触れてみませんか?
詳細はこちらです!
http://amba.to/oFT3B4
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06【告知】矢萩邦彦 9月4日『鏡明塾』「陽明学入門」
さて今回は『陽明学入門』です。
日本の幕末、明治を駆け抜けた『陽明学』。
その学問と活動を両輪とする思想は現代においてもとりわけ効果的で
実践的な方法論です。
アフタモードのメンバーも重要視している陽明学の根本を解説します。
[世界科一般コース]13:05~14:50
・神奈川県民センター(307教室)
・テーマ『陽明学』
[世界科中高コース]17:05~18:50
・神奈川県民センター(302教室)
・テーマ 『日本史研究:平安時代』
★全ての講座とも先着20名とさせて戴きます。 (単発で受講されても大丈夫です)
・神奈川県民センター(神奈川区鶴屋町2-24-2)
「横浜駅西口」より徒歩5分
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/0051/center/access.html
参加費用は各コースとも一般・大学生2500円、中高小学生2000円(会費・教材費)です。
(※中高生が一般コース、一般の方が中高生コースを受講することも出来ます)
(※参加費は当日お持ちください。振り込み希望の方はお申し出ください)
申し込みはメールにて承ります。
タイトル【鏡明塾予約】日付・コース・名前(参加希望者全員分) で
yahagi.sa@gmail.com
までお願いします。ご要望、ご質問等もこちらまで。
では、みなさんの御参加、お待ちしております!
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07【後記】『多様に発信し、多様に寄り添う』
「頑張れ」という言葉は、本当に難しいですね。僕の関わっている受験生の中にも、「頑張れ」をプレッシャーに感じてしまう生徒もいれば、逆に言って貰わないと不安になるという生徒もいます。つまり、言葉自体が問題なのではなく、いかに相手のことを理解しようとして、かつ、気持ちをくみ取った的確な言葉をかけることができるか、ということが大事なのだと思いますが、言うはやすしですね。特にマスメディアのように不特定多数に発信する場合は、誰がどんな気持ちでその情報に接しているか分からないのですから、できる限りの誠意ある想定をしなければいけませんね。
無自覚に少数意見を切り捨てることのない、常に多様な価値観を視野に持ち続けようとすることが誠意なのだと思います。ではまた次号でお目にかかります。
(矢萩邦彦)
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編集 矢萩邦彦 笠原正嗣(ML) 佐藤慧(EXTRA)
執筆 矢萩邦彦 安藤理智 安田菜津紀 笠原正嗣 佐藤慧
発行 株式会社スタディオアフタモード
〒220-0072 神奈川県横浜市西区浅間町1-4-4 小泉ビル401
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